経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

貧富の差は 1対287 / アメリカ

2020-01-25 08:09:29 | なし
◇ 日本は1対35 = アメリカ最大の労働組合AFL-CIOの調査によると、主要500社のCEO(最高経営責任者)が18年中に取得した報酬額は、1人平均で1450万ドル(約16億円)に達した。この金額は、従業員1人当たり収入の287倍になるという。企業の経営トップは、従業員287人分の給料をもらっていることになる。ちなみに同様の方法で日本の場合を計算してみると、トップの収入は従業員の約35倍だった。

年間の収入がこんなに違えば、蓄えた資産の差はもっと格段に大きくなる。FRB(アメリカの中央銀行)の調査によると、全世帯を資産の大きい順に並べたとき、上位1%が保有する資産の合計額は34兆5000億ドル。全体の32.2%を占めた。これに対して下位50%の合計額は1兆7000億ドルで、全体の1.6%しかない。

またOECD(経済協力開発機構)の調査でも、上位5%の富裕層が保有する資産の割合はアメリカが68.1%で断トツ。ドイツは46.3%、フランスは37.3%、日本は27.7%となっている。しかも、こうした貧富の差はこの30年間に急拡大し、今後はさらにスピード・アップする見込みだという。

近年、世界の各国・各地域で盛り上がってきたポピュリズム。特に政治や経済の現状に対する若者の不満は大きい。この傾向を背景に各国で右派や左派の政党が進出、いわゆる中道派は押し込まれた。ポピュリズムの出現には、貧富の差の拡大が強く影響している。したがって今後も貧富の差の拡大が続くとすれば、ポピュリズムはさらに勢いを増す公算が大きい。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +31.74円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】  

“トランプ流”の 先を読む (下)

2020-01-24 08:10:28 | アメリカ
◇ すべては大統領選挙のために = いまトランプ大統領の頭のなかは、11月の大統領選挙でいっぱいだ。その視点でみると、今回の米中“第1段階”の合意も、トランプ大統領にとっては不可欠だったことが判る。民主党が候補者選びを始めたこのときに大きな“得点”をあげれば、選挙民に存在感をアピ-ルできるからだ。株価も上昇するから、経営者も投資家も喜んでくれる。

だが大統領選挙は11月3日。まだ時間がある。投票日が近づいた9-10月ごろに、もう1度なにか“戦果”をあげる必要があるだろう。そのためには3-5月ごろ、いったん状況を悪化させておかなければならない。緊張を強めておいて、一気に緊張を解く。この戦術はこれまで中国だけではなく、各国との外交交渉で使って成果をあげている。

では、どうやって緊張を強めるのか。たとえば5月ごろになれば、中国が本当にアメリカ製品の輸入を増やしているかどうかが判明する。増え方が十分でなければ、また関税を引き上げるぞと脅せばいい。もし輸入が順調に増えていたら、中国に“第2段階”の交渉に乗り気がないと文句を付けよう。緊張を生み出す口実は、いくらでもある。

こうして秋口になったら、ムリにでも合意を取り付けて緊張を解除する。人々は安心し、株価も上昇する。そんな状態で、投票日を迎えるのが最も望ましい。ただ注意すべきことは、選挙戦の途中で劣勢にならないこと。再選が難しい状況になると、中国も様子見に転じて言うことをきかなくなる。すると緊張を解除できなくなってしまうかもしれない。ー-トランプ大統領の頭のなかである。

       ≪23日の日経平均 = 下げ -235.91円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

“トランプ流”の 先を読む (上)

2020-01-23 08:21:45 | アメリカ
◇ 中国はそんなに輸入を増やせるのか = トランプ米大統領と劉鶴中国副首相は15日ホワイトハウスで、経済交渉に関する「第1段階の合意文書」に署名した。その内容は、①中国は今後2年間でアメリカからの輸入を2000億ドル(22兆円)増やす②アメリカは制裁関税のうち1200億ドル分の関税率を15%から7.5%に引き下げる――というもの。この結果、中国の対米輸入額は、約1.5倍に跳ね上がる。一方、アメリカの制裁関税は、中国製品の7割弱に対しては継続されることになった。

アメリカが問題視して鋭く追及していた中国の補助金政策などは合意に至らず、協議を続けることになった。したがって米中経済戦争が終息したわけではない。しかし18年7月に始まった関税戦争のなかで、今回はじめて引き下げが実現したことは事実。またアメリカが中国を“為替操作国”の指定から外したこともあって、市場には大きな安心感が生まれ、ダウ平均株価は連日のように史上最高値を更新した。

最大の注目点は、中国がそんなに輸入を増やせるかだろう。合意書によると、中国はことしだけで工業製品の輸入を329億ドル、農産品を125億ドル、エネルギーを185億ドル、サービスを128億ドル増やさなければならない。しかし中国経済は鈍化しており、自動車やLNG(液化天然ガス)が、そんなに売れるのか。アフリカ豚コレラで1億頭以上の豚が死んでいるので、大豆の需要も減っているはずだ。

もし中国政府がムリにでも合意を守ろうとすると、こんどは第三国がとばっちりを受ける可能性がある。たとえばブラジルは大豆の中国向け輸出が減るかもしれない。同様に日本やEUは自動車、オーストラリアはLNGといった具合に。したがって中国がどんな輸入政策をとるかは、世界的な影響を持ってくる――というのが、米中の第1段階合意を巡る現状の解説だ。さて、その先まで予想してみると・・・。

                                  (続きは明日)

       ≪22日の日経平均 = 上げ +166.79円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

原発 4基しか動かない!

2020-01-22 07:31:48 | エネルギー
◇ まったく無責任な経済産業省 = 広島高裁は先週、四国電力の伊方原発3号機に対して「運転を差し止める仮処分」を決定した。近隣住民の訴えを認めたもので、理由として「活断層や火山の噴火に関する四国電力や原子力規制委員会の判断は不十分だ」と指摘している。伊方原発3号機はいま定期検査中だが、この決定により検査が終わっても稼働できなくなった。

原子力規制委員会が科学的に調査して出した「合格」のお墨付きを、裁判所がひっくり返したことになる。これについては「住民の気持ちを汲み上げた判断」「あまりにも完璧主義」など、賛否はいろいろだ。しかし東日本大震災以来、人々の心に原発の安全性に関する疑問が深く刻まれたことは確かだろう。このため合格しながら住民の同意を得られず、再稼働できない原発も少なくない。

これまでに原子力規制委員会が「合格」を出した原発は15基。そのうち再稼働している原発は、現在9基ある。ところが川内原発1-2号機(九州電力)と高浜原発3-4号機(関西電力)の4基は、テロ対策工事が期限までに間に合わず、ことし中に運転を停止する。そこへ伊方原発の仮処分決定で、ことしの後半には4基の原発しか動かなくなってしまう見込みだ。

これが原発を巡る現在の“事実”である。だがエネルギー問題の責任官庁である経産省は、この事実を直視しようとはしない。いまだに「30年の電源に占める原子力の比率を20-22%にする」という計画にこだわっている。この比率を達成するには、30基前後の原発を動かすことが必要。そんなことは出来そうにないのに、対策を考えない。経産省は職務放棄の無責任官庁になっている。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -218.95円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

出来過ぎ? の成長鈍化 / 中国

2020-01-21 08:19:18 | 中国
◇ 6%成長の確保に必死の姿 = 中国統計局が発表したGDP速報によると、昨年10-12月期の実質成長率は年率換算で6.0%だった。7-9月期と同じなので、昨年下期の成長率は6.0%だったことになる。この結果、19年の成長率は6.1%にまで落ち込んだ。前年に比べると0.6ポイントの低下で、この水準は天安門事件が起こった1990年以来29年ぶりの低さ。ピーク時だった10年1-3月期の12.2%に比べると、ちょうど半分に減速している。

同時に発表された19年の主要な経済指標をみると、小売り売上高は前年比8.0%増で18年の9.0%増より鈍化した。また鉱工業生産も5.7%増で、前年の6.2%増を下回った。設備や不動産を含めた固定資産投資額は5.4%の伸び、これも前年の5.9%増から縮小している。この結果、実質GDP成長率も0.6ポイント鈍化した。

成長率が鈍化した主な原因は、アメリカとの関税引き上げ競争で経済が混乱したこと。輸出の減少で生産が落ち込み、経済の先行きに不安を生じたことから個人消費が縮小した。加えて海外企業が撤退したことも、打撃となっている。習近平政権はこれまで経済が下向きになると巨額の財政を支出し、景気を支えてきた。だが結果として地方政府や国有企業の債務が膨れ上がってしまったため、今回は思い切った対策を打てずにいる。

習政権は3月に予定される全国人民代表大会に、20年の成長目標を提示しなければならない。そこでは何としても「6%成長」を堅持する必要がある。そう考えると、19年の成長率が6.1%で下げ止まったのも、何かしらの意味があるように思われてくる。GDP統計に手が加えられたとは言わないが、あまりにも“整合性”を持った数字に見えてくることは確かだ。

       ≪20日の日経平均 = 上げ +42.25円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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