経済なんでも研究会

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出始めた 貿易戦争の実害 (上)

2018-08-08 08:26:30 | 貿易
◇ まだ始まったばかりだが = 3つ殴られたから、3つ殴り返す。それなら次は5つ殴るぞ――いまどきは子どもでもやらないような喧嘩を、世界第1と第2の経済大国が繰り広げている。きっかけは、トランプ大統領が3月に発動した鉄鋼とアルミに対する輸入関税の引き上げ。カナダやEUと足並みを揃えて、中国も報復関税を導入した。7月になると、トランプ大統領は中国製品に的を絞り、輸入340億ドル分に25%の追加関税。中国も同等の報復関税を実施している。

さらにアメリカは今月23日に中国製品160億ドル分に追加関税、中国も同規模の報復関税。そのうえアメリカは9月以降、2000億ドル分に25%の関税を上乗せ。中国もアメリカ製品600億ドル分に25%の報復関税をかけると予告している。仮にこれらの措置が実行に移されると、アメリカ側の中国製品に対する制裁関税は総計2500億ドル分、中国の対米輸出額を上回ることになる。

いま実際に発効しているのは、アメリカ側の鉄鋼・アルミ関税と、中国製品340億ドル分にかけられた25%の制裁関税。それと同等の中国による報復関税だけ。したがって米中貿易戦争は、まだ始まったばかりと言うことができる。だが、それにもかかわらず、その影響は経済の各分野に出始めた。たとえば国際商品市場では、鉄鋼やアルミ、銅などが大きく値下がり。大豆の価格も急落した。

ただアメリカ国内では、鉄鋼とアルミの値段が急騰。自動車や機械類、住宅などのコストが急上昇している。そうしたなかでUSスチールなど鉄鋼メーカーの売り上げは大幅に増えた。中国製の自動車に高関税がかけられたため、中国で生産しアメリカに輸出している日本やヨーロッパの自動車メーカーも、苦戦を強いられている。

                           (続きは明日)

       ≪7日の日経平均 = 上げ +155.42円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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