経済なんでも研究会

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“第3次冷戦”への防衛線を構築

2022-05-27 07:29:29 | なし
◇ バイデン大統領がIPEFで目指すもの = また新しい経済同盟が誕生した。バイデン大統領が東京で、その発足を宣言したIPEF(インド太平洋経済枠組み)である。アメリカや日本、それにインドなど13か国が参加した。貿易の円滑化・供給網の強化などを掲げているが、関税の引き下げはない。この点でTPP(環太平洋経済連携協定)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)とは、性格を異にしている。だが、それでも屋上屋の感は免れない。

ロシアの無謀なウクライナ侵攻で、NATOを中心にロシアを包み込む西側の体制は整った。しかしアメリカがいま最も警戒する中国に対しては、目立った防衛ラインがない。特にインドが、大きな抜け穴になっている。そこでインドが嫌がる関税引き下げ抜きのIPEFを結成、インドを強引に引き入れた。これがバイデン大統領の真意に違いない。

第2次大戦直後から、世界はアメリカ中心の西側とソ連中心の東側に分かれて激しく対立した。戦争一歩前の緊張状態。これが Cold War、冷たい戦争である。このときの西側の戦略は、ソ連と中国を封じ込めようとするものだった。その後1979年にソ連がアフガニスタンに侵攻、第2次冷戦と呼ばれる緊張が再燃した。いまバイデン大統領の頭のなかには、第3次冷戦の文字がちらついているのだろう。

ただ当時と現在とでは、状況が全く異なる。それは中国が軍事的にも経済的にも、超大国に成長したからだ。特にその市場の大きさから言っても、中国を完全に封じ込めることはムリ。それでもIPEFの設立で、なんとか最低限の形だけは整った。これから、どうやって中国のアジア・太平洋への膨張を防ぐのか。バイデン大統領の手腕が問われることになる。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -72.96円≫ 

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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