経済なんでも研究会

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2017-12-31 07:45:46 | SF
第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪13≫ クーデター = メンデール教授の講義は淡々と続いた。
「ダーストン星には、この島以外に陸地はありません。つまり、バカげた領土争いをするような相手国がないのです。このため私たちの祖先は武器や弾薬をいっさい作らないことに決めました。それでロボット戦争も、工事用の鉄棒を短く切って振り回すだけでした。この様子を見て、当時の人々はロボットがちゃんと働いてくれる限り、放置しておいても大きな危険はないと判断したのです。

ロボット戦争から15年後のダース65年の秋に、一人の若い研究者が書いた報告書が科学院に届きました。ロボットが夜間に使用する電力量が異常に増えているという内容でした。当時の科学院長だったワーグネル博士がこれを重視。秘かに探らせたところ、ロボット同士の夜の通信量が激増していたのです。さらに調べてみると、ロボットのヤクザ集団がますます勢力を拡大し、秘かに人間に対するクーデターを計画していたことが判明しました」

当時の記録によると、あるマスコミがこのことをスクープしたために、世の中は大混乱。政府は議会を召集して対策を講じようとしたが、議論ばかりで何も決まらない。そのうちにロボット側は食料と飲料水の製造工場を占拠、人間を日干しにする作戦に出た。これに対してワーグネル博士は6人の賢人を集めて秘密の委員会を組織。素早く数百人の若者を動員して、北部と南部の2か所にある中央蓄電所だけを管理下に置いた。

そして全国への送電をストップ。この蓄電所はロボット軍団に取り巻かれたが、高い塀に囲まれていたので何とか守り切った。また電気を止められた国民からも苦情が殺到したが、ワーグネル博士らは頑として停電を強行。約3週間の停電で、ロボットはすべてバッテリーが上がって動けなくなった。

メンデール教授は、フーっと息をついて、こう断定した。
「あのとき、もしロボット側に負けていたら、人間はロボットに支配されることになったろうね。なにしろ彼らは人間並みの知能を有している。体力では、人間は敵わない。だから本当に危ないところだったんだ。そして250年前の祖先たちは、この事件を教訓にいくつかの改革を断行したのです」

――そんなことがあったんですか。危ないところだったのですね。
ぼくは地球の冷却化が本当に止まったのかどうかを聞きたかったが、メンデール教授の熱心な説明を妨げることが出来なかった。

「改革の1つは、議会制民主主義を停止し、賢人会による統治制度に改めたこと。もう1つは、男性ロボットを製作せず、すべてのロボットを女性だけにしてしまったことでした」

                      (続きは来週日曜日)
   

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