NPO法人POSSE(ポッセ) blog

ホンダが期間工600人を雇い止め


4月27日、ホンダの埼玉製作所で約600人の期間工労働者の雇い止め(有期雇用契約の更新拒否)が行われることが明らかになりました。
雇い止めの対象になる期間工はもともと3か月毎の有期契約を結んでいました。しかし、会社側は今後、6か月以上の更新をせず、9月までに期間工全員の雇い止めを完了するという方針を出しています。

今回の期間工の雇い止めの問題は、2008年のリーマンショックのときに行われた「派遣切り」と同じ構図にあります。つまり非正規労働者が強いられる不安定雇用の問題です。日本の企業では業務の繁閑や景気の変動に対応するために、非正規労働者が「雇用の調整弁」として活用されることが少なくありません。震災や不況といった大きな社会変動に際しても、人件費がコスト削減の対象として最初に手を付けられます。そして、その影響を大きく受けるのが最末端に位置し、いつ雇用が打ち切られるかもしれない非正規労働者なのです。

雇用保険や生活保護、職業訓練など失業者への保障が不十分な日本において、雇い止めや派遣切りによって職を失い収入源がなくなれば、生活が苦しくなることは避けがたいです。労働者が企業の行動に振り回され、一方的に使い捨てられてしまうような事態はこれまでも繰り返し起きていましたが、震災によってその問題が如実に表れたといえます。

労働者の生活が立ち行かなくなる可能性があるとすれば、震災という有事であっても会社側の意図がそのまま追認されてしまうことは妥当ではありません。
たとえば、600人全員を雇い止めにするほどの経営上の必要性があるのか、会社が雇い止めを回避する努力義務を果たしたか、労働者と十分な協議をつくしたか、あるいはこれまで長期的・継続的に雇用契約が更新されていて、労働者が契約更新を期待する権利が発生していたのか、といった内容が法律的な争点になります。
こうした点から、はたして今回の雇い止めが合理的なものであるのかどうかが、厳しく問われなければなりません。そして、企業の意図次第で働く人の生活までもが崩壊してしまうことを許さない、企業に十分な雇用責任を果たさせるような社会的な規範を形成することが求められます。今回の期間工の雇い止めは、震災により顕在化した重要な労働問題のひとつとして今後も注視していく必要があります。

参考:http://www.asahi.com/business/update/0428/TKY201104280568.html



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