今、さかんにマスコミが取り上げている中で、「退職後」の設計に頭を悩ませている人がおおいといういうことがあげられます。
退職してすぐに「自分の好きなこと」を見つけるのは容易なことではありません。
テレビでも「人生の楽園」という番組があり、関心のある方は見ていると思います。
由宇町に金重さんという方がいて、もう10何年か前に以前の「国鉄」を退職して、絵を描き続けています。
自分の「アトリエ」もあるようで、そこで絵を描いたり、公民館で「同好会」の世話をして活躍中の人です。
この方の個展が「柳井」であり、見に行きましたが、懐かしい感じの絵が多く、「故郷」というものが心に大きくウエイトを占めているように思われました。
この作品もそうですが、「面影のある家」を描いていますが、そこに「国旗」と「赤いポスト」や家に貼っている「ポスター」等に目が行き、かつての生活を忍ばせるような景観の中に、何かを思い出そうとしているように見えます。
この作品は「由宇町」を描いたのでしょうか、「夕焼け」の中に見る自分の町を、太陽の存在をおくことにより、「希望」のようなものを感じたのではないでしょうか。
「ふるさと」という存在は、若い頃には遠い存在ですが、年をとると誰もが身近な存在としてなくてはならないものになります。
そうした「ふるさと」を中心に描いている作品が多かったように思えますが、「身近なもの」でも、描いているうちに今まで気づかなかったものが見えてくるのが、「絵のおもしろさ」だと思います。
私は、会場に入ってこの「雪景色」の作品が一番気に入りましたが、やはり「日頃」とは違うものを見た時の人の感動は素直に出てくるようです。
「雪」の中に埋もれた「古木」が、やけにさみしくうつると同時に、「新雪」のもつ初々しさがとても対照的で、何かを暗示しているようでとてもおもしろいものを感じました。
「阿修羅像」を見に行ったのでしょうか、その面影を追うように描いているこの作品から、どこか「記憶」への挑戦のようなものが感じられます。
「植物」や「風景」を描いた小さな作品も展示されていましたが、「ワンポイント」の持つ良さを追求しているように見えました。
常に新たな題材を求めて動いていることがわかる展示会になっていますが、「続ける」ことの「楽しさ」と「難しさ」があるように思えます。
自分の道がこのように見つかれば、どんどん先へ向かって努力もできますが、それを見つけるのはかなり時間がかかると思います。
若い人は、現職のうちから「仕事」をやりながら、別のことにも興味を持って欲しいと思います。
また、それを「続ける」ことがとても大事で、「退職後」もすんなりと「自分の世界」へ入れるように思えてなりません。
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