貫之集 203
あしひきの やましたたぎつ いはなみの こころくだけて ひとぞこひしきあしひきの 山下たぎつ 岩波の 心くだけて 人ぞ恋ひしき 山麓の川の水が岩に当たって激しく流れるように、心が
貫之集 198
竹としごとに おひそふたけの よよをへて たえせぬいろを たれどかはみむ年ごとに おひそふ竹の よよをへて たえせぬ色を たれとかは見む...
貫之集 189
わかなおふる のべといふのべを きみがため よろづよしめて つまむとぞおもふ若菜おふる 野辺といふ野辺を 君がため 万代しめて 摘まむとぞ思ふ...
貫之集 165
白浜きみがよの としのかずをば しろたへの はまのまさごと たれかいひけむ君が代の 年の数をば 白妙の 浜のまさごと たれかいひけむ...
貫之集 159
十一月、葦刈りつみたるところなにはめの ころもほすとて かりてたく あしびのけぶり たたぬひぞなき難波女の 衣ほすとて 刈りてたく 葦火の煙 立たぬ日ぞなき...
貫之集 064
海のほとりに生ひたる松のもとに、道行く人の休みたるところいくよへし いそべのまつぞ む...
貫之集 050
池のほとりに、藤の花松にかかれるみどりなる まつにかかれる ふぢなれど おのがころとぞ はなはさきける緑なる 松にかかれる 藤なれど おのが頃とぞ 花は咲きける...
貫之集 049
人の家に女の桜の花を見たるわかやどの ものなりながら さくらばな ちるをはえこそ とどめざりけれわが宿の ものなりながら 桜花 散るはえこその とどめざりけれ...
貫之集 021
臨時の祭みやひとの すれるころもに ゆふだすき かけてこころを たれによすらむ宮人の 摺れる衣に ゆふだすき かけて心を たれに寄すらむ...
貫之集 019
十一月神楽おくしもに いろもかはらぬ さかきばに かをやはひとの とめてきつらむおく霜に 色もかはらぬ 榊葉に 香をやは人の とめて来つらむ...
貫之集 011
六月祓えみそぎする かはのせみれば からころも ひもゆふぐれに なみぞたちけるみそぎする 川の瀬見れば 唐衣 ひもゆふぐれに 波ぞ立ちける...