ThinkPad220,its Very first.

ちょうど31年前の昨日
At very yesterday, 31 years back――31年前の昨日がまさしくThinkPad220が日本で発売の最初の日である。この日は土曜日で、当時は会社は半ドンだった。IBMと特約契約の大手家電量販店には受け渡し専用のレジが設けられ、後ろに積み上げられたパッケージを前に予約注文者が列を成していた。その群れに私も紛れていた。
その光景は見る側にこのサブ・ノートの確かな成功と日本のPCユーザへの大きな影響を肌で感じさせた。それでも、あるいはこの発売日、いや、このIBMの日“Sat, Aug 7, 1993”がこの“ThinkPad“ブランドのファースト・ステージ(記念的発売日)と記憶の人はほとんどいないかもしれない。
そのようなThinkPad220は一般販売されることなく、当初は「先行予約制」であった。このため並の販売店では売りたくも取り扱いができず、売り手に天下のIBMが選んだのは上新電機――が半ば優先的に販売権を獲得した。また一方、広報・宣伝関係ではパソコン誌の筆頭、ASCIIではなく孫氏率いるSoftBankが指名された。かくして刊行されたのがThinkPad220の事実上の“広報誌”『Dos/V Magazine』であった。
そのようなThinkPad220は一般販売されることなく、当初は「先行予約制」であった。このため並の販売店では売りたくも取り扱いができず、売り手に天下のIBMが選んだのは上新電機――が半ば優先的に販売権を獲得した。また一方、広報・宣伝関係ではパソコン誌の筆頭、ASCIIではなく孫氏率いるSoftBankが指名された。かくして刊行されたのがThinkPad220の事実上の“広報誌”『Dos/V Magazine』であった。


ThinkPad220の売価、245,000円はメイン・フレームを商売にコンピュータ界を闊歩のガリバーにしては破格のロー・プライスだった上に、さらに先行予約者には198,000円で提供した(当時は現在と異なり、建値の時代、販売店は異なっても価格統一され、雑誌や宣伝物、パンフレットには必ず売価が明記されていた)。
日本も貧乏人からカネをとる時代に転換
198,000円に消費税3%の加算は、アメリカなどとちがって「大型間接税」のない消費スタイルに慣れた日本国民にとっては痛手だったが、それから4年後の1997年、消費税5%時代を迎え、日本は税制でもアメリカに同意してしまった。昭和の頃、世界が日本経済を褒めちぎった根幹には金持ちからたっぷり税金を取るという直接税方式の税制だった。日本では1980年代まで消費税のような誰からも税金を取るという“不公平”はなかった(1989.04導入開始)。
それまで何度となくの懸案事項だったが、歴代の総理は一貫して「国民の生活権を守る」としてハネつけてきた。
そのように日本は唯一、他国と異なり一般庶民への負担となる大型間接税の導入は“否決”されてきたが、偶然にもPC版「黒船来襲」を契機に、実質は「金持ちからは金は取らず、庶民から金を取りまくる」――という「金持ち庇護の税制」へと“転換”していった。そして今では10%という狂気に至っている。そして中小は淘汰され、大企業は悠然と経済成長に浴している。
奇しくも国民機、NECPC98の終焉と時機を同じくして日本が誇ってきた直接税制度もそうして費えた…



HandHeldPhone as “TP220”
「蜜月時代」最後の一滴
ThinkPad220にはDOSv4が付属していたが、DOSv5にしてWindows3.1を載せることができた。Windows3.1はThinkPad220の日本上陸の数カ月前にやってきた。言い換えれば、Windows3.1というソフトにThinkPad220というハードが両軸で日本へ“黒船”したともとれる。ノロノロだったが、ユーザはそれまでなれ親しんだCUI(Letters interface)ではなく、一般には真新しいGUI(Pictures interface)の道を選んだ。今、顧みれば、ハードとソフト共に絶対的な力の世界のガリバーが日本に降臨し、制圧は時間の問題かに見えたが、ところが実際はそのパートナー・シップのOS制作会社、マイクロソフトであった…NECという日本の「伝統PC」が淘汰され、IBMという「世紀の巨人」もまた堕ちたのである。これはPC関係の専門家、世界的権威の著名人ら誰一人もが予想し得なかったPC史上、後にも先にもない歴史的事件であり、そして大判狂わせだった。
してのけたのはマイクロソフトのBill Gates(当時36才、US版Win3=1992、日本版は翌年1993)。かくしてWindows3.1はIBMとMSの両雄が並び立った「蜜月時代」最後の一滴となった。
IBMとは――International.Business.Machineの略である。
V-Text、Win3の軍門に下る…

“ガリバー”IBMと歩調を乗じた“革命児”SoftBankの「V-Text」
日本語版Windows3.1の上陸が
もうあと数カ月、遅ければ時代はV-Textだった?
ちなみに私が31年以上も昔の「昨日」について憶えていたのは、偶然にもクレジット・カード払いの明細書が残されていたからである。当時はカード払いはまだ一般的ではなかったし、またデジカメ(1996年頃のカシオから「QV-10」発売)もまだなかったので、ThinkPad220の日本における発売日、そんなものを記録に留める行為も普通はなかったと思う。(続く)
(Oh, It wasn't 31 years back, but it took place in 32 years.)
あ、32年前のことだった…