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ぺるりの今日

観たもの、読んだもの、主観をたっぷり交えて感想書いてます。
藤原竜也さん、superflyにどっぷりはまり中。

中谷美紀×フランソワ・ジラール「猟銃」

2012-01-20 | 舞台の感想
久しぶりに、ずしりと重い舞台を見ました。(ただしWOWOWです)

アングラ劇だと、感覚で掴めばいいので、とくに台詞を集中して聞いていることはないんですが
(台詞のリズムや美しさを味わうのでね)
この作品はもともと井上靖の短編小説「猟銃」が原作とだけあって、しっかり台詞を聞いていないと
状況がつかめないなので、かなりの集中力が要りました。

3人の女のつづった手紙によって構成される芝居で、
「女」という生き物があぶりだされるような作品でした。
キャストは2人、男と女ですが、男には台詞はなく、女が手紙を語っていくので
実質一人舞台といってもいい感じです。

主演の中谷美紀さんが3役をこなします。

三杉穣介という男からみた関係からいうと
愛人の娘である薔子
妻のみどり
愛人の彩子
(登場順)

の三人。

そしてみどりと彩子は従姉妹にあたります。
つまり、従姉妹の夫と不倫しているのが彩子ということですね。

その他に
門田礼一郎:医師。彩子の離婚した夫で、薔子の父。
女:門田が過去に関係していた女

明石のおじ、おばも出てきたと思います。

薔子の手紙、みどりの手紙、彩子の手紙と話は進みます。

・薔子は無知で無垢な女
・みどりは決して愛されないことを知りながらも、鉄の仮面をかぶり続けた悲しい女
・彩子は愛されながら、愛することを貫いた強い女

だと、感じました。

薔子は、まだ若く、愛は美しいものと思っていましたが、母親と三杉の関係を知り
愛は、優しい母を極悪の罪人に変えるものだということを知ります。
母と三杉の愛は、みどりに絶対に知られてはいけないと、みどりを恐れ、また
三杉とも会うこと拒み、母亡き後、一人で生きていく決心をします。

みどりは、女の勘で、夫の不倫に気付き、また2人が一緒にいるところを見てしまいます。
しかし、一目彩子を見て、女として何一つかなわない敗北感に打ちひしがれます。
そして不倫には気がつかないふりをして、13年間三杉と形だけの夫婦を演じます。
「家庭というよりは、城塞」この言葉が示す通り、冷え切った夫婦となります。
そして、みどりは彩子と対峙し、三杉に本当は不倫に気づいていたことをぶちまけて
別れを宣言します。その姿は、いっそ殺してくれればという悲しみと怒りに満ちていました。

彩子は、13年前に三杉との不倫を決意します。三杉が「悪人になろう」というと、
「いっそ極悪人になりましょう。みどりさんだけでなく、世間も、全てをだまして」と答えます。
しかし、その胸中には「蛇」が潜んでいました。
その蛇とは、分かれた夫、門田を想い続ける心でした。それが彩子の宿命だったのでしょう。
「全てをだます」この中に、三杉も、そして、門田を愛する自分自身も含んでいたのです。
「愛されることを望むか」「愛することを望むか」女学校時代、授業の最中に回ってきた紙。
「愛されることを望む」に連なる○印。彩子もその一人でした。しかし、たった一人だけ
「愛することを望む」に○をした学生がありました。
そして彩子は、門田を愛した。そして、三杉に愛されながら、それを貫いた。
強い女の姿でした。

男は悪人にしかなれないけれど、女は極悪人にもなれる
そんな違いも感じました。
そして、猟銃とは、愛のために心に潜んだ殺意でしょうか。

愛は、女を極悪の罪人に変え、かくも、強く、狂おしく、そして美しくするものかということを
感じさせてくれる作品でした。

男である井上靖が、よくぞこれほどまでに女を描けたものだと驚くばかりです。

しかし、この作品、理解もできるし、それぞれの女性の気持ちを感じることもできます。
けれど、この芝居に女の真実をみるには、私はまだ若すぎます。
女として生を全うしなければ、真に全てを受け取ることはできないと感じました。

あと、40年か50年かして、晩年を迎えたときに、原作を読んでみたいと思います。
本当に女を生きたかどうかを試される気がしますね。

3役を演じた、中谷さん。
これが初舞台だったそうです。
発声と台詞まわしは、まだ舞台のものに慣れきっていない感じは受けました。
感情が高ぶったときに、声がかすれたり、台詞のリズムがほんの少しつまるような印象を受けましたが
それは、撮影した日がたまたまそうだったかもしれませんし、
中谷さんほどの女優さんなら、訓練でいくらでも上にいけます。
ほとんど朗読劇のような舞台でしたから、それで余計につまりを感じたかもしれません。

しかし、中谷美紀という女優の存在が、それを補ってまだ余裕がありました。
薔子、みどり、彩子、それぞれの女性の感情を、きちんと追体験して、舞台の上で輝きを放っていました。
特に彩子は秀逸で、自ら死装束を纏ながらの演技でしたが、その白い着物に包まれた姿が際立っていました。
着物をこれほど美しく纏える女優は、そうそういないと思いました。
ただ、その凛とした美しさに見惚れていました。

フランソワ・ジラールも、海外の演出家の演出に違和感を感じなかったのは初めてです。
私は、海外の演出家と相性が悪いようで、微妙・・・ということが多いんです。
心の奥底をえぐり出してくれなくて、ただ表面だけをみせるような演出が気に食わないんです。
でも、今回は、しっかりと内面を映し出してくれました。

3人の女性の立つ場所が、薔子は蓮の咲く水、みどりは石、彩子は木となっていて、それぞれの女性を
見事に描きだしていました。
薔子の純心、みどりの激情、彩子の真情を舞台からも感じました。
白い死装束の使いかたも、感心しきりでした。

ただ、一つ気になったのは、台詞のない男の役、おそらく三杉なのですが、
なんで日本人ではないのだろうということ。
外国人の役者にやらせることで、三杉を普遍的な男に仕立てたかったのかなとも思いますが
外国の方は、目を引くので、気になってしかたなかったです。


ちょっと気になる点は、ありますが、どっしりと重い、良質な作品を見せてもらいました。
感想もまとめるの大変でした。。。

それと、関西の馴染みのある地名もたくさん出てきましたよ。
芦屋など。


ここから、完全に余談ですが
藤原くんが、将来一人舞台に立つなら、こういう重厚な作品がいいなと。
そんなことも思いつつ。

スターズ・オン・アイス2012

2012-01-15 | 舞台の感想
スターズ・オン・アイス
ブラウン管越しですが、観劇致しました!

いや、もう素晴らしい。
氷上の芸術でした。
フィギュアはアートですよね。

選手権などの競技のときの、ピリピリした雰囲気も好きですが
アイスショーの伸びやかな空気もいいですね。

出演者の皆さん、解き放たれたかのような、美しいパフォーマンスでした。
ショーの構成も、エンターテイメント性とアート性の両方が楽しめるナンバーで
あっと言う間にエンディングでした。

高橋選手の抜群の安定感と存在感。まさに「王者」でした。

浅田選手の風のような軽やかさ。

みなさん素晴らしかったです。

涙でそうになった。


大好きな荒川さんや、サーシャ・コーエンも見られて
贅沢な時間でした。
サーシャ・コーエンってキュート・アンド・セクシーでたまらないです!


浅田選手がジュピターの曲に合わせて舞っているときに実況の人が放った言葉


「表現するとは、尊いことですね」


この一言に、もう、胸を射抜かれました。
とても人間が発した言葉と思えない。


「尊いこと」

自分の喜び悲しみ全てをさらけ出してね。

まさに、そう、尊いですね。

これ以上に、適切な言葉はない。


今日、本当見れてよかったです。


アイスショーと演劇って、確かに同じかも。
シアターガイドの特集、ますます楽しみです。



「身毒丸」新・撫子決定

2011-05-01 | 舞台の感想
「身毒丸」の新しい撫子が決定しました。

なんと

大竹しのぶさん!!



今回の「身毒丸」は今までのように身毒と撫子の2人主演から

撫子1人を主演にして、演出を大幅に変えるとのことです。

蜷川さんは、前進を止めないですね~!!!

まさか、ここまで大幅に演出を変更するなんて。

もしかすると「女」の全てが暴き出される作品へと生まれ変わるかも知れないですね。

私の勝手なイメージですけど。



本当のところ、撫子役が変わるというニュースを聞いて、

少しほっとしたという思いもあるのです。

藤原竜也と白石加代子によって体現された

あの狂おしいまでの恋をする身毒と撫子が、

自分の中に永遠に刻まれたような感じがします。

08年のワシントン公演で、完全な「男と女」として、異形の世界へと

消えていった2人の後ろ姿。

その姿は2人の物語の完結として強烈に自分の中に残っています。



今回の大幅なプラン変更は

あの公演を超えるには、作品を生まれ変えさせる以外に方法はない

ということもあるかもしれません。

(プラン変更したもので、前作を「超える」と表現していいものか迷いますが)

あくまで私の勝手な思いですけどね。


でも、別作品へと生まれ変わる「身毒丸」

どんな作品になるのか楽しみです。

ロンドン、ワシントンを旅して、今度は欧州へと旅をするのですね


「海辺のカフカ」蜷川さんが舞台化!

2011-02-04 | 舞台の感想
村上春樹氏のベストセラー小説「海辺のカフカ」が、
演出家の蜷川幸雄氏(75)により舞台化されます!
来年5月、埼玉・彩の国さいたま芸術劇場で上演。

村上氏の小説が日本人の演出により国内で上演されるのは初めてで
今回は08年に米国で舞台化された際の、フランク・ギャラティ氏の脚本を使用するそうです。

主役のカフカ少年は、公募によるオーディションを検討中!


うわ~~お!!!

さすが蜷川さん!!

なんてゆうビッグニュース!

「海辺のカフカ」は、私も読みましたよ。
村上春樹の小説の中で一番好きです。
読んだときに、もしも、作品を深く解釈できて
美しい画がとれる監督がいたら映像化してほしいな~と
思った作品だったんです。

しかし、舞台化!
これは思いつきもしなかった!
いや、でも確かに
舞台は映像と違って、時間と空間を自由に行き来できるのか!
しかも、海辺のカフカは、ちょっと幻想的というか。
登場人物も、なんか叙情的なんですよね。

カフカに選ばれるのは誰でしょう。
これは楽しみですね~。

そして、私的に一番気になるのが
大島さん。
だれが演じるのかしら~。

もし映像化するんだったら、藤原くんだな~と
思っていたんですよ。
(すみませんね~。好き勝手キャスティングして、妄想するの楽しいんです)

ただの直感で、理由がないわけではなくて、
大島さんの独特の雰囲気を、台詞なしで表現できるとしたら彼かなと。
んで、あのビッグな秘密ね。(別に秘密ではないけど)
読んだとき「ええ~!!そうだったの~!!」ってなったよ。
藤原くんなら説得力を持たせられるだろうと思うんだけど。

ん~でも今回は舞台なんだよね~。
舞台か~。
蜷川さんの中では誰をイメージしてるんでしょう。
来年5月であれば、そろそろオファーだろうしな~。



華やかなる夢の世界~宝塚雪組「ロジェ」

2010-07-19 | 舞台の感想
行ってきましたよ~
宝塚~

あの手塚治虫さんが毎日のように通い詰めたという大劇場へ!
人生2度目の宝塚。

実は、大劇場は初めてだったんです。
人生初の宝塚はバウホールだったので。


観たのは雪組公演「ロジェ」
水夏希さんの退団公演です。

母の同僚の方の友人が雪組に所属されてるとかで
チケットを手配して下さいました。

なんと、三連休初日の11:00開演で
前から8列目という良席!
(S席の一番前)

素人がこんなとこ座っていいのかしらというくらい良い席でした~!!
実は、雪組のトップが誰かも知らずに、もちろん退団公演だということも
知らずにチケットが取れたからくっついていった私。
(ファンの方ごめんなさい~)


でも、もう夢中でした~~!!!
ほんとに素敵なショータイムでした!!!
いまだ、若干夢の中です~

普段ストレートプレイばかり観ている私。
慣れないミュージカルで、とまどいつつも、途中から楽しくてのりのりでした!

ストレートプレイと違ってびっくりしたのは
カーテンコールがない!!
終わった瞬間、客がバッと立って帰る!!
あれ!?カーテンコールは???
と一人客席でキョロキョロしてました(笑)

休憩時間が長い!
30分!!
皆、ホールから出て、食事に!!
グッズ売り場とか。パンフ購入。

飲食OK!!
ホール内で、飲食OKなんですよ!!
私知らなくて、思わず確認してしまった。

トップの登場とともに大きな拍手が!!
えええ~!!?なに!?なに?誰??
ってオロオロしていた私(恥)

セットが回る!回る!!!
そんなとこにも驚き!


さてさて、私の素人丸出しの行動はおいときまして
中味ですよ!中味!!!

ミュージカル「ロジェ」とショー「ロック・オン」の二本立て。
間に30分の休憩があるのです。

ミュージカルはあんまり観た事がないのですが
宝塚は、とにかく“トップをいかに魅せるか”に徹し抜かれています。
戯曲も、演者も、全てがトップに集約さていくんです!

今回だと水夏希さんがステージ上で輝きを放つように、全てが存在してるんです。
んでまた、水さんが、なんといったらいいか、華やかなんですけど
落ち着きというか貫禄があって、トップってすごいんだな~と。
雪組の皆さんが、水さんを尊敬しているのが、伝わってくるんです。

ストーリーはとてもシンプルに感じました。
まあ、普段、複雑に入り組んだ戯曲を見慣れてるから、余計そう感じるのかも。
家族を殺された主人公が、普通に生活しながらも、
復讐の念を抱き続け、手がかりを探っていく。
そして、ようやく見つけだすけど、その人物も悪鬼羅刹ではなく
一人の人間。
復讐の念に駆られた悲劇のヒーローの方が、逆に悪鬼に感じたり。
もっと公演が進んで、交差する善と悪がより鮮明に舞台上に浮かび上がって
くれば、もっとすごいことになりそう。
まだ、発展途上にある印象を受けました。


で、心底楽しめたのは、ショー「ロック・オン」
出演者が通路を駆け抜けていきました~!!
しかも、両手広げてくれて、タッチOK!!!
まるで、ライブです!!!

次から次へと、場面が転換され、華やかなショーでした!!!
大階段も堪能してきました。
いや~これ、何でかわからないですけど、昭和のかおりがしたんですよ。
階段から。
歴史があるからかしら。
とても懐かしい感じがしました。

このショーも水さんを中心に、進んでいきます。
見せ場のオンパレード。
あれだけ動いて息切れしないのがすごい。

演者の歌とダンスを心行くまで堪能できます。


そして、そして、私、今回ひいきのジェンヌを見つけてしまいました~
その人は

音月 桂さん

歌唱力、存在感がはんぱない!!!
いや~この人の出演作はこれからも要チェックですね~。


今回、再確認しましたけど、舞台では、ストレートプレイでも
ミュージカルでも、存在感が大事だわ。
舞台空間を支配できるオーラ。
観客を沸かせます。

また、行きたいな~宝塚。
ハマる人の気持ちがわかる。

実は、大劇場ではないですけど、
梅田芸術劇場で、「ロミオとジュリエット」やってるんですよ!
宝塚版観てみたいな~~。
チケットとれるかな~???日がないし。。。汗)




ANJINの感想(キャラクターについて)

2010-01-30 | 舞台の感想
またまた忙しくて、書きたくても書けない毎日でした。。。

あ~~やっと書ける。

ANJINの感想つづきです。

(ネタバレめちゃめちゃしてます)



家康
按針

家光
ドメニコ

の順に印象的な場面など書きとめておこうと思います。
ちなみに私は藤原くんのファンなので、藤原くんに関するとこは
やっぱり一番長くなりました(笑)


■家康(市村さん)

印象的なシーンは、国松とのシーン
国の平和のために死んでくれというところは
天下人というより、一人の父親だった。
本当に泣きそうになった。

全体を通して今回の家康像は「父」だったと思う。
こういう家康って新しいなと。
西田敏行さんの演じた家康も好きだったんですが、
市村さんの家康も好きです。
父だったり、孤独を抱いていたり、世界に飛び出してみたかったり
人間としての深みのある家康でした。

市村さんは演技の安定感がすごい!
劇場全体が、やさしい空気に包まれる感じがします。
カーテンコールは3回あったんですが
手を振ってくれました!そして投げキッスももらっちゃいました(笑)
観客ものりのり❤


■按針(オーウェンさん)

物語の感想にも書いたけど、商売が目的ではなくて
「世界に出て、そこで人と出会い、その国を知りたい」
という、ある種の冒険心を持った人。
だから、商売目的にやってくる外国人からは特化した
存在でした。

この気持ちは個人的によくわかる!
海外に行って何が楽しいって、人の出会いなんですよね。
だから私は海外に旅行では行かないです。
大体ホームステイをさせてもらう。
現地の人の生活を見たいですから。

そんなアダムスだったから、日本で按針として生きていくことに
なったんだと思いました。
この部分は、何だかとても説得力があった。


オーウェンさんはおやさしい雰囲気でした。やわらか~い。
何があっても怒らなさそう。。。
でもやっぱり演技は、言葉を超えたものがあって、
家康を見舞うシーン、地球儀をプレゼントするあの場面。
長きに渡って支えあってきた友との残された僅かな時間を
本当に大事に大事にしているのが伝わってきました。
この場面の家康の「浄土で待ってる」という言葉。
クリスチャンの按針にとっては、これ以上ない別れの言葉ですよね。
キリスト教に浄土はないですから。
その言葉を聞いたときの按針の表情は忘れられません。

前半のコミカルな場面はとっても可愛らしかったです。
ばいば~いって手を振るとことか(笑)

家康亡き後、その子秀忠に家の存続を約束されるも
親友を亡くした寂しさはずっと心にあって、
もう一人の友ドメニコに救いを求める姿は、
家康の孤独にも重なる。
英語で詠んだ歌は、多分家康のうたった詩吟と同じだったと思う。
この部分は二人の抱えた孤独が同じだったんだと感じて
とても印象深かった。


■淀(床嶋さん)


床嶋佳子さん演じる淀も印象的でした。
関ヶ原に敗れて、討ち取られた光成の首を抱くシーン。
言葉では、負けた光成をののしっているんだけど
淀は光成を愛していたのではないかと感じました。

それでパンフレット読んでて、床嶋さんのインタにそのことが
書いてあってびっくり!


■家光(植本さん)

今回の俳優陣はどの人もとても力があったんですが
独特の雰囲気を放っていたのが植本潤さんの家光。
家光って男色好みで有名なんだけど
その雰囲気ばっちりでした~!
よかったドメニコとの接点がなくて(笑)


■ドメニコ(藤原くん)

周りがみんな歴史上の人物の中で、一人架空の人物というのは
ものすごく大変な役だったのではないかと勝手に想像。

藤原くん以外の方のパンフのインタには、
こうゆう資料を読みましたとか、こういう説があるそうですって
あるんですが、ドメニコに関してはなんの資料も情報もない。
周りの人の演技を受けてのまさに直感勝負の役だったのではないかと
これまた勝手に想像してます。

演出家グレゴリー・ドーランのインタを読んでたら、
ドメニコは藤原くんありきで誕生したキャラクターだったということが判明。
確かにこの役は藤原くん以外は、考えられない。

コミカルなところが、とっても自然体になっていて驚きました。
藤原くんに唯一苦手があるとしたら、コミカルな部分だろうと思ってたのですが
今回は心置きなく笑わせてもらいました(笑)

「(大砲)打ちまくれ~~!!」って、、、司祭さま!?
もう十分っていわれてるのに
「まだ打てますケド・・・」って(笑)

訳せなくて家康に扇子でパシッてしばかれ(笑)
前半のコミカルな部分全部担当って感じでした。

後半、キリスト教を捨てて武士になったところからは
ガラリと雰囲気が変わってました。
真田を切るシーンは圧巻でしたね。
刀抜くのも、早くて所作がきれいだし。
そうだな、この人はほんとにきれいでした。
司祭の格好してても、武士の格好してても、よろいつけてても
ラストのシーンも。
ものっすごく細くて(特に今回は回りがおっきいからよけいに)
細いんだけど観客の目を引く存在感はピカイチなんですよね。。。
登場すると観客は思わず彼の方見てるんですよね。

私の席、藤原くんの足の裏が目の前でした(笑)
あ、足の裏もきれいでした(←なんの話だ

グレゴリーさんって、俳優さんの本質をものすごく正確に掴まれてる感じがします。
ドメニコも、男性のように荒々しいときや、やんちゃなときもあるんですが
時にものすごく女性的に見える場面も多かったんですよね。
私はどこか性別を超えた美しさを持つところが藤原くんの魅力だと思っているのですが
その両面が、今回の舞台では観られたなと。

按針をプロテスタントからカトリックに改宗させようとして
いやみな通詞(笑)に「ばか」っていわれるとことか。
キスされちゃうんじゃないかと思ってしまったし(私の脳ミソの問題かしら?)
もうキリスト教を信じることができないとすがるシーンも
そのシーンの相手役(男性)は、まるで女性に対するような
雰囲気をされてるんですよね。

あと、本当にすごいと思ったのがラストシーン。
一紙纏わぬ。。。一紙は纏っているんですが、キリスト教徒として捕まって
はりつけにされて。でも
まるで、それが絵画か彫刻でも見てるような感じだったんです。
しかも、西洋の宗教画。
レオナルド・ダ・ヴィンチとかミケランジェロの。
はりつけに使ってる木は和って感じの木材ですし、ふんどしなんですけど。
あの一瞬は、美術館の中にいるみたいだった。
この人は肉体自体が、芸術みたいなもんだな。

そして、そのはりつけられた姿から私の脳裏をかすめたのは国木田独歩だった。
藤原くんのドメニコは、国木田独歩を彷彿とさせる。
敬謙なクリスチャンだった独歩は、死を前に神を祈れない自分に絶望する。
その姿が、重なって見えた。
国木田独歩のことを藤原くんが知ってるかはわからないけど、
やっぱり、この人はすごいなと思った瞬間だった。
ドメニコが捕まってから、はりつけになるまでの経緯は一切描かれていないんですが
最後のはりつけられた姿だけで十分に伝わってきました。
彼の演技には、説明的な場面や言葉はいらないんだろうな。
信仰に迷ったままの姿は、痛々しかった。



最後にカーテンコールのことを少々。
カーテンコールは三回ありました。
え!こんなけしか人いなかった!?
って思ってあとでパンフみたら主要3人以外は一人4役とか5役だった。

市村さんが手を振って、さらに投げキッスまでプレゼントしてくれました
笑顔でしたけど、いつもどおりあっさりな感じの藤原くんでしたが
私は目撃してしまった。
そでにはけた瞬間スキップしたのを(笑)
私の席は、角度があったから袖の中まで見えたのよね。
もう、ちょっとオモシロ過ぎて、笑いをこらえつつ劇場を出た(笑)



舞台装置も、物語も、俳優さんの演技も満喫できました。

司祭の服ってガバッてかぶるだけなんですかね?
はりつけのとき、手首も縄で結構ぐるぐるでしたけど
カーテンコールに間に合うってすごくないですか?
イリュウージョン並みの脱出と早着替え!!

あと、最初のシーンのはりつけられてる人って、あれも藤原くんですかね?
藤原くんにしては背が低かったように思ったんですが、
よくよく思い返すと、あれ?あれも藤原くんだったんかな?と。


とにもかくにも、楽しい一日でした

ANJINの感想(物語について)

2010-01-26 | 舞台の感想
ANJIN大阪公演見てきました~~!

前から2列目で!

予想以上の面白さでした!


ここからはネタバレありますよ。御注意ください。





大河ドラマを舞台にしたらこんな感じなんだ~~と思いました!

常用漢字じゃない漢字が字幕に出ると、ついていけなかったとこもありましたが

「磔(はりつけ)」とか。一瞬、これなんて読むんだっけ??って字幕にびびった

自分がいた(笑)

まあでも、ストーリーを追うのに障りになるほどではありませんでした。



実をいうと今回そこまで期待してなかったんです。

その一番の理由は、脚本を担当したのが外国人であること。

外国の人が日本を描くと、ものすっごい勘違いされた日本を

押し付けられる感じがして、拒絶してしまうんですよね、私。

『SAYURI』だったか、チャン・ツイイーが主演した映画。

あれは、開始20分でテレビの電源切った。。。

なぜ日本人を主演に起用しないかがまず意味不明だったし、

日本の家屋から衣装まで、全く日本のそれとは違ってた。

時代考証とか、衣装や習慣なんか、ちゃんと調べてんの??

って、そっちばかり気になって、イライラしてしまって。。。

私のこころは狭いんですね~。



ところが、ANJINに限っては、全くそれがなかった。

普通に自然と舞台の世界に入って行けました。

実はあまりにひどければ、せっかくの藤原くんの舞台だけど

途中退出も考えてた私。

杞憂だったわ~~。



外国人の脚本家がなぜここまで日本を描くことができたか

その理由をちょっと考えてみたんですが、


民俗的なことも含めて時代考証がしっかりしていたことが一つにはあると思います。

淀君の衣装はちゃんと夏服、冬服と時期に合わせて変わっていました!

座敷のシーンでは全員裸足だったりとか。

大道具、小道具に到るまで細部にこだわって緻密に作られていたなと思います。



そういう歴史的、民俗的なこともそうですし、

思想面でも仏教的な部分から逸脱しなかった。

これは一番大きかったと思います。

今の日本は無宗教の人が多いといっても、仏教思想に触れる機会は多いのです。

徒然草、方丈記、源氏物語、平家物語を学校で読みますし、

冠婚葬祭とか。

現代の生活の中でも、日本人の習慣というのは仏教に依拠するところがたくさんあって

とくに、私なんかは海外留学もしてましたから、そういうところは意識することが

多かったですね。


家康、按針、ドメニコの三者に共通していたのが「因果応報」だったと思う。

家康は長男を切腹させて、今の地位を手にしたけれど、

自分の曾孫である国松を殺さねばならなくなった。


按針は、日本を愛してしまったが故にイギリスへの帰国はかなわず。

不貞から、お雪との仲に亀裂が入ることになる。


ドメニコも、司祭として多くの人をキリスト教へと導きながら

信仰よりも己の血をとった。けれども、最後はキリスト教徒としての処刑が待っている。


めぐりめぐる因果というのを3時間半の芝居で見せてもらった気がします。



天下を統一し、全てを手にした家康が、その全てを、按針という友まで失って

孤独の中死んでいったのも、無常そのものだった。

また、按針の生きながらの孤独もそう。



キリスト教徒がたくさん出てくるけど、物語の根底に流れていたものは

日本人の、それこそ血に流れる仏教の思想だったように思う。



そういったことから、今回「日本」の歴史物語として、違和感なく見れたのだと思います。



それと、物語の中でコミカルな場面を生んだのが、異文化への接触や、通訳の場面。

正座はまずできないでしょうね(笑)

戸惑う按針さんや、必死で教えるドメニコくんに笑わせてもらいました。

しかし!ドメニコくん!

あのスピードで同時通訳できれば、あなたは天才通詞です(笑)

ここは、舞台の進行をスムースにするためでしょう。

あの速さでの通訳は、現実には無理かと。

家康に扇子でバシッてされる「訳せません」というのもコミカルでした。

でも実際に訳せない言葉はたくさんあるのよ。

日本に対応するものがない場合とか。

通訳者本人はわかるけど、言葉にはできないってのが。

その辺の通訳事情もリアルだったな。

あと、字幕とドメニコの訳は違います。ドメニコは同時通訳なので

スピードについていけないときは、かなりはしょったり、意訳したりしてます。

これもまたリアルな感じ。



キャラクターたちは家康を主軸として、按針、ドメニコが

トライアングルを形成するような相関関係だった

と思います。


                家康
             (日本人:仏教)


    按針                    ドメニコ   
(半英半日:プロテスタント)       (半日半英:カトリックと仏教)


民族的にもトライアングルですけど、宗教的にもトライアングル。

当時の大名は、ほとんどが仏教を信仰していたはずなので、

ドメニコの中での、司祭か侍かは、キリストか仏かにもなってくるんですよね。


そして、家康と按針に共通していたのが、

「世界を見たい」という思い。

その点で、按針は他の商人たちと、まったく違っていた。

按針は「トレード」という言葉を口にしてないんですよね。

そういう部分を家康は気にいったんだろうなと納得。

そんな按針だから、日本の文化や芸術や伝統や礼儀といったものに

感動して、どんどん日本を好きになって、しかし逆に英国人仲間には

理解されなくなっていく。

望郷の念と、日本での現実との間で揺れる按針は、見てるのがつらかった。

「どうしたらいいんだろう」

っていう言葉しか出ないよな。



国際共同プロジェクトだった今作。

私は成功だったと思いますね。

イギリス人も日本人も両方が携わったから、

物語はフィクションだけど、その根底の部分に嘘がなかったと思う。



え~~~もう一回みたいな~~。

WOWOWやってくれんかな~~。

DVDでもいいし。


次回は、俳優さんの感想をアップしたいと思います




『ムサシ』(wowow)

2009-07-19 | 舞台の感想
さすがWOWOW

特典映像がてんこ盛り

オープニングで稽古や記者会見、雑誌取材の一コマが見られる上に、

エンディングで、3人と蜷川さんのインタビュー、その合間には

鎌倉旅行の様子まで入っている

贅沢でした~~

やっぱりWOWOWはいいわ~~



ラジオで言ってた、小栗くんがバシンバシンと叩かれてる横で、

吹いてる藤原くんが見られました(笑)

↑このあと、志願もしてないのにバシンバシンされるとこもバッチシ



今回は東京公演の収録でしたが、やっぱり

大阪公演の方が、進化してますね

笑わせるところは笑わせて、落とすところは落とす

メリハリが大阪は効いていたと思います





舞台みいったときは、ありえんくらいいい席で見させてもらったんですが、

一生分の運が尽きたんじゃないですかね。



5人6脚は映像でも笑わせてもらいました。

今回は藤原くんの上に大の男が3人ものっかるという、

大丈夫か~~

と思わず言ってしまう状態に

さすがの藤原くんも、重さに耐え切れなかったか、「おのれ」が

どもってしまって「お、お・・・」って言えなかった(笑)

どもったの初めてみた


↑このとき多分小栗くん吹いてる気がする!!


最初は沢庵和尚が、藤原くんの膝に顔をうずめ。(膝枕!!)

その上に平心がのっかり、さらには小栗くんまでのっかり

おもっって感じに。

このとき沢庵和尚は呼吸できてたんでしょうか??

ようやっと解放されたときには、ここぞとばかりに、

藤原くん平心を扇子でバシーーン

さらに、自分に倒れかかってくる沢庵和尚をバシーーン

と打った瞬間、扇子吹っ飛ぶ 客席へ

(多分お客さんが拾ってくれたのでしょう)


ここはやっぱり毎回違うんでしょうね。

観客は笑ってるけど、やってる本人たちは足は結ばれてるわ、

上から人はのっかってくるわで、大変だろうな~。

沢庵和尚にのられたら、息できないらしい。




すり足のシーンも何度みても笑える・・・




無策の策は藤原くんの見せ場ですね!!

ここの演技で、武蔵がものすごい剣豪であることがわかる。

生で見たときも、その所作の美しさで観客を圧倒してました。




あとは、王位継承権第18位(笑)

ここの、藤原くんと小栗くんのやりとりは、なんだか微笑ましい。

この18という数字は、仏教では重要な数字だから、

井上先生って、ほんとに色んなことにお詳しいんだなって思いました。

仏教書だいぶ読み込まれてるのではないでしょうか。

今の日本語の「十八番(おはこ)」も実は、仏教の十八から来てるのです。



ラストシーンはやっぱり感動で、

「もっとも大きな禅寺なのです」という平心の言葉が、胸に響いてきますね。



さてさてここから、リピートな日々が始まります~