なんだか物騒な雰囲気をかもし出す記事ですが、
マスコミの色眼鏡から見えた描写と考えたいところです。
検討会のメンバー構成がわからないけど、
「事故報告範囲検討委員会」名簿
稲垣 克巳 一般有識者
大井 利夫 上都賀厚生連上都賀総合病院名誉院長
川端 和治 弁護士
岸 洋人 読売新聞東京本社解説部長兼論説委員
堺 秀人 東海大学医学部付属病院副院長
辻本 好子 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長
星 北斗 日本医師会常任理事
前田 雅英 東京都立大学法学部長
宮崎 久義 国立熊本病院長
山浦 晶 千葉大学医学部教授
が引き継いでいるのかな?
関連の過去ログ→医療版事故調査委員会 、医療版事故調査委員会 その後
*****************************
2007年04月20日23時50分 朝日新聞
医療版「事故調」創設へ 厚労省検討会が初会合
医療行為中の患者の死因などを調べる医療版「事故調査委員会」の制度創設に向け、厚生労働省の検討会(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)が20日、初会合を開いた。医療関連死の調査は現在、刑事事件や民事裁判の中で行われることがほとんどで、迅速な原因究明や再発防止のためには課題が多い。検討会は約1年かけて調査委のあり方や事故の届け出の義務化などを論議、新法の制定も視野に、早期に新制度をスタートさせたい考えだ。
検討会のメンバーは医療団体の代表や弁護士、大学教授ら14人。03年に医療ミスで子どもを亡くした母親も加わった。法務省と警察庁からは担当者がオブザーバーとして参加した。
新制度の創設は、医師が相次いで刑事責任を問われて危機感を強める医療界が、厚労省などに要請してきた。検討会では、調査によって医師の過失がはっきりした場合の行政処分や、医師が刑事訴追される可能性がある場合の調査結果の取り扱いなどが焦点となりそうだ。民事紛争への調査結果の活用についても話し合う。
医療機関が届け出る事例の範囲や、「異状死」を警察に届け出ることを医師に義務づけている現行の医師法との整合性についても協議する。
厚労省の試案では、解剖医や臨床医、弁護士らで構成する「調査・評価委員会」を地方ブロックなどの行政機関ごとに設置。解剖結果やカルテ、関係者への聞き取りなどから治療内容などを評価する。作成した報告書は医療機関や遺族に交付するほか、個人情報を除いて公表する。
この日の検討会では、日本医師会の木下勝之委員が「(医師の)刑事処分の方向に歯止めをかけ、安心して医療に取り組める制度にしてほしい」と発言。これに対して前田座長が「制度によって医師が事故を隠せると国民に思われたらマイナス。そうした議論が出てこない形にしたい」と指摘した。患者を支援するNPO理事長の辻本好子委員も「国民が納得できる、という視点を忘れないで議論してもらいたい」と注文をつけた。
*****************************
日本医師会の木下勝之氏の他の活動↓
*****************************
(2007年1月29日 読売新聞)
出産時事故 過失無くても補償
脳性マヒに2000~3000万円 8月にもスタート
妊婦を超音波検査で診察する産科医(26日、都内の昭和大学病院産婦人科で) 出産に伴う医療紛争を早期に解決するため、産科の「無過失補償制度」が近く導入される。医師らの過失の有無にかかわらず、医療事故の被害者を救済する仕組みで、当面は原因の特定が難しいとされる脳性まひが対象になる。厚生労働省や財団法人「日本医療機能評価機構」などによる準備委員会が2月に発足、8月にも新制度が始まるが、対象拡大など課題も多い。(政治部 川島三恵子)
希望一致
「当面は制度を機能させることに全力を挙げ、産科から小児科へと、一つ一つ対象を広げる視点を持ってやっていきたい」
日本医師会(日医)の木下勝之常任理事は16日、都内で開かれた都道府県医師会長協議会で、産科の無過失補償制度の実施に意欲を見せた。
脳性まひ児の親らによる「愛知県重症心身障害児(者)を守る会」の松田昌久会長も、「脳性まひ児の親は介護などで経済的負担が重く、訴訟で白黒つけなくても解決できる制度はありがたい」と評価する。
無過失補償制度は、医師側に過失が認められない医療事故について、患者に金銭の補償をするものだ。裁判を起こさなくても患者は補償を受けられ、医師側には訴えられるリスクが減る利点がある。
自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」は2006年11月、日医が公表した案をもとに制度の枠組みを決定。政府は今国会に提出されている06年度補正予算案に、制度設計のための調査費1億1000万円を計上した。
制度導入の背景には、患者側にとって過失の立証が難しい医療訴訟の現状と、産科医師不足に悩む医師側の事情がある。
昭和大学医学部産婦人科の岡井崇教授は「産科関係の中でも、脳性まひは原因の特定が難しく、過失があるかどうかの判断も困難だ。親はとても気の毒で、医療裁判の問題点が凝縮されている」と指摘する。
最高裁判所によると、医療訴訟の新規受け付けは04年は1110件と、1996年の575件から倍増。医師1000人あたりに換算すると、産科は12・4件で、外科(10・9件)や内科(3・8件)などを上回り、最も多い。
こうした事情も絡み、医師が確保できずに産科を閉鎖する病院が全国で相次ぎ、産科を選ぶ医学生も減りつつある。岡井教授は「昼夜を問わない過酷な勤務に加え、『産科は裁判が多い』と敬遠される」と言う。日医の木下氏も「出産は正常が当たり前と思われているが、ある確率で不幸な結果も起きる。それが訴訟になると、医師の心労も多い」と漏らす。
対象や防止策 急ごしらえ 課題も
懸念と注文
しかし、急ごしらえとなった今回の制度には不安も多い。新制度創設の場合、審議会などで議論することが多いが、今回は予算編成に間に合わせるため、自民党の検討会は発足からわずか3か月で制度の枠組みを決め、政府・与党として容認した。今後検討される医療紛争の処理策の試金石となるにもかかわらず、患者側からの意見聴取も十分でなかった。関係者からは「なぜ、脳性まひだけ救済されるのか」「2000万円程度の補償に納得できず、訴訟を起こす親が多いのではないか」との懸念が出ている。
今後の対象拡大について、厚労省は「補償対象を広げれば、財源をどう手当てするのかという壁がある」と難色を示している。他の医療事故も含めるとなると、事故原因を詳しく調べる中立的調査機関も不可欠だ。「今回の制度は医師が安全な医療を心がける仕組みがない。過失があった場合、研修義務を課すなど処分も必要だ」との声もある。
患者側弁護士らによる医療事故情報センター(名古屋市)の堀康司弁護士は「患者側が求めるのは金銭補償だけでなく、事故の原因究明や再発防止だ。きちんと患者の声を聞いて制度を設計してほしい」と注文を付けている。
制度の仕組み
病院などの第三者評価を行っている財団法人「日本医療機能評価機構」に、厚労省や日医、損害保険会社などが加わる「運営組織」を新設。損保会社は専用の保険商品を設け、病院や助産所が保険料を支払う。
脳性まひの場合、2000~3000万円が親に支払われる。病院が負担する保険料(2~3万円の見込み)は出産費用に上乗せされ、補償の原資は出産した親が負担することになる。自民党は親の負担を増やさないよう、将来的に出産育児一時金(現行35万円)を保険料と同額程度引き上げたいとしている。
スウェーデン・仏で導入 医療事故全般 幅広く補償
無過失補償制度はスウェーデンやフランスなどですでに導入されており、早期の患者救済の道を開いている。厚生労働省研究班などによると、スウェーデンでは1975年に導入、97年に法制化され、医師や看護師らすべての医療従事者が加入する制度として定着している。補償対象は検査や治療、医療機器の欠陥による事故のほか、診断ミス、投薬ミスによるものなど幅広い。
申請は年間約9000件に上り、45%で補償が認められている。財源は公費と医療従事者が払う保険料で賄われ、年間補償総額は約45~50億円。1件あたりの補償額は160万円程度とそう高額ではないが、「充実した福祉制度が土台にあるので、国民の合意は得られている」という。
フランスも、2002年制定の「患者の権利及び保健衛生システムの質に関する法律」で、患者への補償制度を導入した。医師らに過失があれば各自が加入する賠償保険で支払うが、過失がない時は「国立医療事故補償公社」(ONIAM)が公費で患者を救済する。05年の補償総額は調停中の事案も含め、556件で2275万ユーロ(約35億円)。
スウェーデンやフランスなどでは、金銭補償をする組織とは別に、医師や医療機関に過失があるかどうかを判断したり、医師の処分を検討する組織が設けられたりしているのが特徴だ。
訴訟社会と言われる米国では、バージニア、フロリダ州などで、出産時の脳性まひに補償する制度が導入されている。
*****************************
4月23日追記
ロハスメディカルブログで傍聴記がありましたね。
チェックが甘かったです。
マスコミの色眼鏡から見えた描写と考えたいところです。
検討会のメンバー構成がわからないけど、
「事故報告範囲検討委員会」名簿
稲垣 克巳 一般有識者
大井 利夫 上都賀厚生連上都賀総合病院名誉院長
川端 和治 弁護士
岸 洋人 読売新聞東京本社解説部長兼論説委員
堺 秀人 東海大学医学部付属病院副院長
辻本 好子 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長
星 北斗 日本医師会常任理事
前田 雅英 東京都立大学法学部長
宮崎 久義 国立熊本病院長
山浦 晶 千葉大学医学部教授
が引き継いでいるのかな?
関連の過去ログ→医療版事故調査委員会 、医療版事故調査委員会 その後
*****************************
2007年04月20日23時50分 朝日新聞
医療版「事故調」創設へ 厚労省検討会が初会合
医療行為中の患者の死因などを調べる医療版「事故調査委員会」の制度創設に向け、厚生労働省の検討会(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)が20日、初会合を開いた。医療関連死の調査は現在、刑事事件や民事裁判の中で行われることがほとんどで、迅速な原因究明や再発防止のためには課題が多い。検討会は約1年かけて調査委のあり方や事故の届け出の義務化などを論議、新法の制定も視野に、早期に新制度をスタートさせたい考えだ。
検討会のメンバーは医療団体の代表や弁護士、大学教授ら14人。03年に医療ミスで子どもを亡くした母親も加わった。法務省と警察庁からは担当者がオブザーバーとして参加した。
新制度の創設は、医師が相次いで刑事責任を問われて危機感を強める医療界が、厚労省などに要請してきた。検討会では、調査によって医師の過失がはっきりした場合の行政処分や、医師が刑事訴追される可能性がある場合の調査結果の取り扱いなどが焦点となりそうだ。民事紛争への調査結果の活用についても話し合う。
医療機関が届け出る事例の範囲や、「異状死」を警察に届け出ることを医師に義務づけている現行の医師法との整合性についても協議する。
厚労省の試案では、解剖医や臨床医、弁護士らで構成する「調査・評価委員会」を地方ブロックなどの行政機関ごとに設置。解剖結果やカルテ、関係者への聞き取りなどから治療内容などを評価する。作成した報告書は医療機関や遺族に交付するほか、個人情報を除いて公表する。
この日の検討会では、日本医師会の木下勝之委員が「(医師の)刑事処分の方向に歯止めをかけ、安心して医療に取り組める制度にしてほしい」と発言。これに対して前田座長が「制度によって医師が事故を隠せると国民に思われたらマイナス。そうした議論が出てこない形にしたい」と指摘した。患者を支援するNPO理事長の辻本好子委員も「国民が納得できる、という視点を忘れないで議論してもらいたい」と注文をつけた。
*****************************
日本医師会の木下勝之氏の他の活動↓
*****************************
(2007年1月29日 読売新聞)
出産時事故 過失無くても補償
脳性マヒに2000~3000万円 8月にもスタート
妊婦を超音波検査で診察する産科医(26日、都内の昭和大学病院産婦人科で) 出産に伴う医療紛争を早期に解決するため、産科の「無過失補償制度」が近く導入される。医師らの過失の有無にかかわらず、医療事故の被害者を救済する仕組みで、当面は原因の特定が難しいとされる脳性まひが対象になる。厚生労働省や財団法人「日本医療機能評価機構」などによる準備委員会が2月に発足、8月にも新制度が始まるが、対象拡大など課題も多い。(政治部 川島三恵子)
希望一致
「当面は制度を機能させることに全力を挙げ、産科から小児科へと、一つ一つ対象を広げる視点を持ってやっていきたい」
日本医師会(日医)の木下勝之常任理事は16日、都内で開かれた都道府県医師会長協議会で、産科の無過失補償制度の実施に意欲を見せた。
脳性まひ児の親らによる「愛知県重症心身障害児(者)を守る会」の松田昌久会長も、「脳性まひ児の親は介護などで経済的負担が重く、訴訟で白黒つけなくても解決できる制度はありがたい」と評価する。
無過失補償制度は、医師側に過失が認められない医療事故について、患者に金銭の補償をするものだ。裁判を起こさなくても患者は補償を受けられ、医師側には訴えられるリスクが減る利点がある。
自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」は2006年11月、日医が公表した案をもとに制度の枠組みを決定。政府は今国会に提出されている06年度補正予算案に、制度設計のための調査費1億1000万円を計上した。
制度導入の背景には、患者側にとって過失の立証が難しい医療訴訟の現状と、産科医師不足に悩む医師側の事情がある。
昭和大学医学部産婦人科の岡井崇教授は「産科関係の中でも、脳性まひは原因の特定が難しく、過失があるかどうかの判断も困難だ。親はとても気の毒で、医療裁判の問題点が凝縮されている」と指摘する。
最高裁判所によると、医療訴訟の新規受け付けは04年は1110件と、1996年の575件から倍増。医師1000人あたりに換算すると、産科は12・4件で、外科(10・9件)や内科(3・8件)などを上回り、最も多い。
こうした事情も絡み、医師が確保できずに産科を閉鎖する病院が全国で相次ぎ、産科を選ぶ医学生も減りつつある。岡井教授は「昼夜を問わない過酷な勤務に加え、『産科は裁判が多い』と敬遠される」と言う。日医の木下氏も「出産は正常が当たり前と思われているが、ある確率で不幸な結果も起きる。それが訴訟になると、医師の心労も多い」と漏らす。
対象や防止策 急ごしらえ 課題も
懸念と注文
しかし、急ごしらえとなった今回の制度には不安も多い。新制度創設の場合、審議会などで議論することが多いが、今回は予算編成に間に合わせるため、自民党の検討会は発足からわずか3か月で制度の枠組みを決め、政府・与党として容認した。今後検討される医療紛争の処理策の試金石となるにもかかわらず、患者側からの意見聴取も十分でなかった。関係者からは「なぜ、脳性まひだけ救済されるのか」「2000万円程度の補償に納得できず、訴訟を起こす親が多いのではないか」との懸念が出ている。
今後の対象拡大について、厚労省は「補償対象を広げれば、財源をどう手当てするのかという壁がある」と難色を示している。他の医療事故も含めるとなると、事故原因を詳しく調べる中立的調査機関も不可欠だ。「今回の制度は医師が安全な医療を心がける仕組みがない。過失があった場合、研修義務を課すなど処分も必要だ」との声もある。
患者側弁護士らによる医療事故情報センター(名古屋市)の堀康司弁護士は「患者側が求めるのは金銭補償だけでなく、事故の原因究明や再発防止だ。きちんと患者の声を聞いて制度を設計してほしい」と注文を付けている。
制度の仕組み
病院などの第三者評価を行っている財団法人「日本医療機能評価機構」に、厚労省や日医、損害保険会社などが加わる「運営組織」を新設。損保会社は専用の保険商品を設け、病院や助産所が保険料を支払う。
脳性まひの場合、2000~3000万円が親に支払われる。病院が負担する保険料(2~3万円の見込み)は出産費用に上乗せされ、補償の原資は出産した親が負担することになる。自民党は親の負担を増やさないよう、将来的に出産育児一時金(現行35万円)を保険料と同額程度引き上げたいとしている。
スウェーデン・仏で導入 医療事故全般 幅広く補償
無過失補償制度はスウェーデンやフランスなどですでに導入されており、早期の患者救済の道を開いている。厚生労働省研究班などによると、スウェーデンでは1975年に導入、97年に法制化され、医師や看護師らすべての医療従事者が加入する制度として定着している。補償対象は検査や治療、医療機器の欠陥による事故のほか、診断ミス、投薬ミスによるものなど幅広い。
申請は年間約9000件に上り、45%で補償が認められている。財源は公費と医療従事者が払う保険料で賄われ、年間補償総額は約45~50億円。1件あたりの補償額は160万円程度とそう高額ではないが、「充実した福祉制度が土台にあるので、国民の合意は得られている」という。
フランスも、2002年制定の「患者の権利及び保健衛生システムの質に関する法律」で、患者への補償制度を導入した。医師らに過失があれば各自が加入する賠償保険で支払うが、過失がない時は「国立医療事故補償公社」(ONIAM)が公費で患者を救済する。05年の補償総額は調停中の事案も含め、556件で2275万ユーロ(約35億円)。
スウェーデンやフランスなどでは、金銭補償をする組織とは別に、医師や医療機関に過失があるかどうかを判断したり、医師の処分を検討する組織が設けられたりしているのが特徴だ。
訴訟社会と言われる米国では、バージニア、フロリダ州などで、出産時の脳性まひに補償する制度が導入されている。
*****************************
4月23日追記
ロハスメディカルブログで傍聴記がありましたね。
チェックが甘かったです。