国の医療費抑制のための制度導入が着々と進められているようです。
2007年03月03日11時31分 asahi.com
75歳以上に「かかりつけ医」 厚労省、新制度を検討
厚生労働省は2日、75歳以上の高齢者向けに、
公的な「かかりつけ医」制度を08年をめどに創設する方向で検討に入った。
特定の開業医が患者の心身の状態を普段から把握し、
外来診療から在宅ケア、みとりまで対応する。
患者が信頼できる医者をもつことで、入院から在宅治療への高齢者医療の転換を促し、
医療費を抑制する狙いもある。患者への協力を求めると共に、
かかりつけ医に支払う診療報酬を手厚くして普及をはかる考えだ。
06年の医療改革で、75歳以上の後期高齢者を対象とした
新しい保険制度を08年に創設することが決まっている。
厚労省は今秋までに独自の診療報酬体系の骨格をつくる予定で、
すでに方針を固めている外来の「定額制」とともに、
かかりつけ医の導入をその柱とする。
かかりつけ医の条件は
(1)高齢者が抱える複数の疾患を総合的に診断・治療し、
必要なときには心のケアも行える
(2)介護保険のケアマネジャーらとも連携をとり、
患者の生活に合わせた在宅療養のアドバイスができる
(3)積極的な訪問診療を行う
(4)痛みを緩和するケアなど末期医療に対応できる、など。
厚労省は、こうした条件を満たす医師を公的に認定。
患者の合意を得たうえで「かかりつけ医」として扱い、
診療報酬体系上、それ以外の医師に比べて優遇する。
かかりつけ医の認定については、麻酔科医のように厚労省が認定する資格とする、
学会や日本医師会が認めた資格を法律上でも効力を持つものとする、
などの選択肢があり今後検討を進める。
かかりつけ医を持つかどうかは高齢者本人の意思に任せるが、できる限り利用を勧める。
かかりつけ医がいる場合でも、病院など他の医療機関も直接受診できるようにする方針だ。
また、24時間往診や短期入院、終末期の緩和ケアなど、
かかりつけ医だけでは対応しきれない場合の支援態勢も整え、
在宅を基本とした長期療養の体制整備も進める。
日本医師会は今年1月に発表した指針で、「住民の住み慣れた地域での在宅療養」
を支えるため「かかりつけ医機能の充実」を提言。
だが、開業医でも専門分野ごとに細分化が進んでおり、
患者の心身を総合的に診断できる医師は少ないのが実情だ。
このため、かかりつけ医に必要な緩和ケアなどの技能を身につけられるよう、
開業医に対する研修制度も充実させる。
~以上抜粋~
診療報酬誘導型の医療費抑制政策の典型的な例です。
終末期は病院で管理するよりも在宅の方が圧倒的に低コスト。
研修医制度のときもそうですが、社会的なコンセンサスや
制度が変わってもそれに対応しうる基盤が不完全な段階で
泥縄式に新政策をぶちあげて、医療業界に余計な労力と疲労を与え、
結果的には医療そのものを破壊しています。
政策をぶちあげている当人達は医療の破壊が、社会保障費の抑制つながることを
意図しているのかそうでないか両者がいるのかなんともいえませんが、
ストレスを現場にすべておしつけて、きれいごとだけ並べて
あとは知らんぷり。全く羨ましい商売です。
私見ですが、今まで脳卒中を診てきて患者さんの御家族は当初は
頑張って家でみるという話が徐々に逃げ腰になり、
リハビリ算定期間も切れて、行き場所探しに苦労するという
のはいやというほど経験しました。
療養型病床群を潰して、在宅も無理、
行き場所に困るあふれかえる老人の姿が目に浮かんできます。
行き場所が無くなったら、御家族は病院に置けとごねるでしょうね。
この場合、我々はどう対応したらいいのか非常に不安です。
家に帰さなければ、病院として成り立たなくなるのは明白ですし、
家に帰って何か問題が起こればまた病院の責任にされる。
かかりつけ医をと政府はおっしゃってますが、
田舎に24時間対応可能な開業医集団を組織するのは困難だと思われますし、
そんなの飛び越えて患者さんが救急車で直接病院に来てしまうでしょう。
肺炎はかかりつけ医の管理が悪いと訴えられる。
八方ふさがりもいいところです。
何回も言いますが、社会的なコンセンサスや制度が変わっても
それに対応しうる基盤が必要です。
変わってしまってから後悔しても後戻りはできません。
かかりつけ医制度が、今の日本の国民性に本当にマッチしているの?
という議論は聞こえてきません。
2007年03月03日11時31分 asahi.com
75歳以上に「かかりつけ医」 厚労省、新制度を検討
厚生労働省は2日、75歳以上の高齢者向けに、
公的な「かかりつけ医」制度を08年をめどに創設する方向で検討に入った。
特定の開業医が患者の心身の状態を普段から把握し、
外来診療から在宅ケア、みとりまで対応する。
患者が信頼できる医者をもつことで、入院から在宅治療への高齢者医療の転換を促し、
医療費を抑制する狙いもある。患者への協力を求めると共に、
かかりつけ医に支払う診療報酬を手厚くして普及をはかる考えだ。
06年の医療改革で、75歳以上の後期高齢者を対象とした
新しい保険制度を08年に創設することが決まっている。
厚労省は今秋までに独自の診療報酬体系の骨格をつくる予定で、
すでに方針を固めている外来の「定額制」とともに、
かかりつけ医の導入をその柱とする。
かかりつけ医の条件は
(1)高齢者が抱える複数の疾患を総合的に診断・治療し、
必要なときには心のケアも行える
(2)介護保険のケアマネジャーらとも連携をとり、
患者の生活に合わせた在宅療養のアドバイスができる
(3)積極的な訪問診療を行う
(4)痛みを緩和するケアなど末期医療に対応できる、など。
厚労省は、こうした条件を満たす医師を公的に認定。
患者の合意を得たうえで「かかりつけ医」として扱い、
診療報酬体系上、それ以外の医師に比べて優遇する。
かかりつけ医の認定については、麻酔科医のように厚労省が認定する資格とする、
学会や日本医師会が認めた資格を法律上でも効力を持つものとする、
などの選択肢があり今後検討を進める。
かかりつけ医を持つかどうかは高齢者本人の意思に任せるが、できる限り利用を勧める。
かかりつけ医がいる場合でも、病院など他の医療機関も直接受診できるようにする方針だ。
また、24時間往診や短期入院、終末期の緩和ケアなど、
かかりつけ医だけでは対応しきれない場合の支援態勢も整え、
在宅を基本とした長期療養の体制整備も進める。
日本医師会は今年1月に発表した指針で、「住民の住み慣れた地域での在宅療養」
を支えるため「かかりつけ医機能の充実」を提言。
だが、開業医でも専門分野ごとに細分化が進んでおり、
患者の心身を総合的に診断できる医師は少ないのが実情だ。
このため、かかりつけ医に必要な緩和ケアなどの技能を身につけられるよう、
開業医に対する研修制度も充実させる。
~以上抜粋~
診療報酬誘導型の医療費抑制政策の典型的な例です。
終末期は病院で管理するよりも在宅の方が圧倒的に低コスト。
研修医制度のときもそうですが、社会的なコンセンサスや
制度が変わってもそれに対応しうる基盤が不完全な段階で
泥縄式に新政策をぶちあげて、医療業界に余計な労力と疲労を与え、
結果的には医療そのものを破壊しています。
政策をぶちあげている当人達は医療の破壊が、社会保障費の抑制つながることを
意図しているのかそうでないか両者がいるのかなんともいえませんが、
ストレスを現場にすべておしつけて、きれいごとだけ並べて
あとは知らんぷり。全く羨ましい商売です。
私見ですが、今まで脳卒中を診てきて患者さんの御家族は当初は
頑張って家でみるという話が徐々に逃げ腰になり、
リハビリ算定期間も切れて、行き場所探しに苦労するという
のはいやというほど経験しました。
療養型病床群を潰して、在宅も無理、
行き場所に困るあふれかえる老人の姿が目に浮かんできます。
行き場所が無くなったら、御家族は病院に置けとごねるでしょうね。
この場合、我々はどう対応したらいいのか非常に不安です。
家に帰さなければ、病院として成り立たなくなるのは明白ですし、
家に帰って何か問題が起こればまた病院の責任にされる。
かかりつけ医をと政府はおっしゃってますが、
田舎に24時間対応可能な開業医集団を組織するのは困難だと思われますし、
そんなの飛び越えて患者さんが救急車で直接病院に来てしまうでしょう。
肺炎はかかりつけ医の管理が悪いと訴えられる。
八方ふさがりもいいところです。
何回も言いますが、社会的なコンセンサスや制度が変わっても
それに対応しうる基盤が必要です。
変わってしまってから後悔しても後戻りはできません。
かかりつけ医制度が、今の日本の国民性に本当にマッチしているの?
という議論は聞こえてきません。