生きづらい私のこと 自閉症グレーゾーンの人生行路

アスペルガーっぽい私のこれまでのこと、そしてこれからのことを自己分析しながら書き記していきます。

良寛の生き方から

2020-09-20 21:20:55 | いろいろ

 良寛は江戸時代、現在の新潟県に、名主(なぬし)の家の長男として生まれました。しかし、自分には社会性が乏しく一般社会、「定型発達」の人びとの間で生きてゆくのはむずかしいと、若くして感じとったようです。そして、出家者として生きる道を選びました。その後は、自分の理想を大切にしながら、短歌・俳句・漢詩を作ったり、近所の子どもたちと毬(まり)つき遊びをしたりしながら暮らしました。当時の人びとからも敬愛され、質素に自由にその人生をまっとうしました。
 良寛の生き方は、今でも自閉症者の生き方のヒントを与えてくれているように思います。一般社会からほどよく距離をおいて、できるだけ自分らしく心おだやかに生きていくというのもいいかもしれません。

「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候
死ぬる時節には死ぬがよく候
これはこれ災難をのがるる妙法にて候」
 良寛がある人に宛てた手紙に書いている言葉です。
今、感染症の流行におびえている私たちにも響いてくる言葉です。

急増する自死者、追いつめられる人びと

2020-09-20 21:11:01 | いろいろ
 8月の自死者は1849人、昨年より15%の増加です。自死未遂者、自死念慮者も急増していると推測できます。困難な状況に置かれている人々への具体的な支援策が不十分であるとうかがえます。

8月の自殺者 大幅増加 1800人超
  NHK


 住居を失いつつある方が増えて、自治体の相談窓口には支援を求める人びとが殺到して、現場の職員は疲弊の極に達しています。現金支給政策で膨大な事務作業が公務員に押しつけられ、相談支援に必要な態勢が整えられていません。

ローン破綻!家賃が払えない!・・・身近に迫る”住居喪失クライシス”
   NHK


母子家庭の困窮も深刻になっています。
しんぐるまざあず・ふぉーらむの調査結果です。
 減収・無収入の割合が7割超。
 自分が感染することで家族のケアができなくなる懸念から休職・退職する方が多い。
 食事回数や食事量の減少。栄養が不十分な食事になっている。

しんぐるまざあず・ふぉーらむ


 住居や食事といった、生存の土台を支える支援、メンタルヘルスへの配慮も含めた支援が急がれます。ボランティア団体やNPOと各種専門家、行政機関が連携、協力して支援活動を継続できる仕組み作りが必要だと思います。

狩猟採集社会と自閉症

2020-08-27 20:10:51 | いろいろ
 ある自閉症の少女が描いた動物の絵と3万年以上前の洞窟壁画に描かれた動物の絵が驚くほど似ていることに気づいた研究者がいます。数万年前にも自閉症の特性をもった人びとが生きていたのでしょう。
 人類はその長い歴史のほとんどを狩猟採集社会で生きてきました。狩猟採集社会において人びとがどのように生きていたのか想像してみましょう。その時代においては、観察力、注意力、集中力、記憶力などにすぐれた特性をもっていた人たちが集団社会に貢献していたのではと想像できます。
 まだ文明が発展していない時代には、食べられる動植物を識別できることは生存にかかわる課題です。生物の特徴、生態を脳の中に「図鑑」のように記憶したり、食料や飲み水を得られる場所を「地図」のように記憶できる人たちは貴重な存在だったはずです。自閉症の子どもたちのなかには図鑑や地図を好んだり、恐竜や昆虫などに詳細な知識をもっている子がしばしばみられます。石器の材料として適した石を夢中なって探した人たち、時間がたつのも忘れて石器づくりに熱中した人たち。そうした人たちは自閉症の特性をもっていたのではと思います。
 自閉症の特性をもつ人たちは人類の生存において欠かせない役割を果たしてきたと考えられます。自閉症の特性には遺伝的要因もあることが指摘されています。その意味では自閉症は生物学的にも存在理由があるのかもしれません。

ニューロダイバーシティ(1)

2020-08-23 20:22:16 | いろいろ
 定型発達者を標準として形作られた社会においては、発達障害の特性をもった人びとはさまざまな困難を感じることが多く、また発達障害の特性は「欠陥、異常」として理解されがちです。
 それに対して、人間の脳機能のあり方は多様であり、自閉症スペクトラムなど「発達障害」と呼ばれる状態を脳のあり方の多様性の現われのひとつとして理解する考え方が提唱されています。ニューロダイバーシティと呼ばれています。

 アメリカのテレビ教育番組として有名なセサミストリート。ここにも、数年前、ジュリアという自閉症スペクトラムの少女が登場しました。この番組自体が「多様性とインクルージョン(包摂)」をひとつのテーマとしています。セサミストリートジャパンのウェブサイトがジュリアについて紹介しています。
セサミストリートジャパン

 ちなみに、以前は「色覚異常」と呼ばれていた色覚のあり方も、「色覚多様性」と呼ばれるようになってきました(2017年に日本遺伝学会が用語改訂)。
 また、続きを書きたいと思っていますのでよろしく。

『「自閉症」の時代』(竹中均、講談社現代新書)を読んで

2020-07-12 11:57:35 | いろいろ
 本書は自閉症者を社会に適応させるという一般的な発想に対して批判的な視点を提供しています。著者はさまざまな芸術(美術、音楽からアニメまで)や学問の中に自閉症的な特性を見い出してゆきます。自閉症的特性は人類の文化の重要な要素となっていることがわかります。著者はいわゆる定型発達の「定型」は唯一絶対のあり方ではないという発想を提起しています。そして、定型発達者と自閉症者がおだやかに共存できる社会を模索することを提案しています。「ニューロダイバーシティ」と呼ばれる考え方に通じるところがあると思いました。
 ちなみに、社会学の研究者である著者も自分は自閉症的傾向があることを自覚しておられます。