ひっくり返ったおもちゃ箱

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男でもなく女でもなく 私はいったい何者なのか~FCコミックス「とりかえ・ばや」1巻

2014-01-13 | マンガ&アニメ

さいとうちほ氏の「とりかえ・ばや」…3巻まで出ているのですが、まずは1巻の感想を。

 




<内容紹介>
衝撃の男女逆転いにしえストーリー!
男らしい姫君と女らしい若君
それなら いっそとりかえてしまいませう―――
ベテランのさいとうちほが、新たな衝撃作をスタート!
"男女逆転ドラマ"の原型である古典「とりかへばや物語」を大胆にアレンジ。
男として生きる女君・沙羅双樹と、女として生きる男君・睡蓮の禁断の運命は―――!? (フラワーコミックスより)



権大納言・近衛大将である藤原丸光には2人の奥方が居ました。
その2人の奥方に同時に子供が生まれ、西の姫君は「沙羅双樹の姫」と呼ばれ、東の若君は「睡蓮の若君」と呼ばれ、2人は双子でもないのに瓜二つで、姫は元気に男らしく、若は大人しく女らしく育ちました。
周りの人々は、あまりに元気な姫を若だと思い(だって、うりふたつだからね)大人しい若を姫だと思い、その噂は帝まで届き、若君に出仕をのぞまれ、後にひけなくなった父は姫である沙羅双樹を男として宮仕えに出すのでした。




氷室冴子さんが「ざ・ちぇんじ!」でアレンジした有名な古典ですので、ストーリーは承知の上で読んでおります…結果はわかってるのに、ハラハラドキドキ。




まずは…さいとうちほさんの描き出す世界の優雅さ、美しさにうっとりしますねぇ。
そう、これが少女漫画なのよ~~~~!・゜・(ノД`)・゜・

主役は黒目がち、そして男前は三白眼。
メイン級の登場人物は花をしょって出てくる、この華やかさ(身悶え)
これぞ!これこそが!少女たちが求めている世界なのよ~~~~!

背景が綺麗、衣装が優美で繊細。
なのに、大胆なコマ割り…やっぱり、すごいよ!と感嘆しています。

長く描いていると絵が変わってくる漫画家さんも多いのですが、この安定感…すてきだ。
よくよく見ると、多分、変わっているところもあるんでしょうが~全体の印象は殆ど変わらない…まさに「さいとうちほの世界」ですね。




それだけで、うっとりなのに。
平安ですよ、大きな戦争がなく400年続いた平安の時代に…男らしい姫と女らしい若君。
しかも同じ日、ほぼ同じ時間に生まれた姉弟。そして母は違うのに双子のようにうりふたつ。
同じ日に生まれる運命の子どもたち…使い古された設定ですが、どうしてこんなにときめくのでしょうか(*´д`*)

しかも、これ~作者不詳の古典なんですよね。
…素晴らしいよね!!!・゜・(ノД`)・゜・

…昔っから、こんな話が好きなお姉さんは居たのね、きっと。
…お姉さん(勝手に決めてる)心の底から、ありがとう。




 元服時の沙羅双樹です。





こちらが姉の変わりに女として生きる弟
 睡蓮ね。





さてさて。
お話を読んでて、気づくことは…姫の沙羅双樹は、最初から男になりたかったわけではないんですよね。
とても快活な性格で、自分の好きなことが男らしい遊びだったわけで。
利発で身体能力も高く、勇敢だった。

若君の睡蓮も同じです。
女になりたいわけではなく、好むものが女の子らしいものだったわけで。
人と競うことを好まず、優しく静かな性格だった。
それを親が娘と息子の性別を「とりかえたいなぁ…」と思っていた。

二人を「男らしく」「女らしく」する祈願の鞍馬参り時の事件がきっかけで、入れ替わった方が都合が良く、楽に生きていけると気づく二人。
ただ、二人とも幼く、貴族の姫君と若君なので、入れ替わって生きて行くことの大変さ、重大さには気づいていないのね。



沙羅双樹の出仕は「自分の力を試したい」と願って行っただけで、そこは男だけの世界で、女は自分一人ってことに本人は気付いてなかったからねぇ。
…「賢いと思っていたが、やはり子どもだな」と父の丸光のセリフがありましたが



いやいやいや、これは…親の責任だろう!



そこは教えといてやらなきゃ……いや、そこは止めるべきだろう。
どんなに賢くて元気で運動神経が良くても、女の子は女の子なんだから。
男だけの世界に放り込んだら、何が起こるか分からないよねぇ~丸光!それはダメだわ~危なすぎるわ。

成均館のユニも同じような境遇だったけどね、ユニの肩には母と弟の生活がかかってるし、女とバレたら家族まとめて死罪の覚悟で暮らしてたし、いつか弟と入れ替わるという大きな目的もあるので…ユニには迷いも悩みもない。ふと、悩みや迷いが生じても、その日その日が精一杯で「仕方ない」と思い切るしかない。
また、奎章閣では3人のアニキが守ってくれてたからねぇ…。

やっぱ、ここは親の丸光が止めなきゃダメじゃん。
ちゃんと帝に事情を話して…たら、話がそこで終わってしまうので、このツッコミはこのくらいで置いといてと(おい)。




睡蓮は「男らしくない自分」を親に対して申し訳なく思ってるんだよねぇ…(´;ω;`)
親は超が付く一流貴族だから、なんとしてもその期待に応えたい、でもそれが出来ないことに悩んでいた2人。
ま、沙羅双樹の方は比較的あっけらかんとしていて、宮仕してから彼女の苦悩が始まります。

「この世には陰と陽のきっぱり二分された世界しかないのか
ならば 陰でもあり陽でもあり 陽でもなく陰でもない自分はーどこにも居場所がない」という双樹の苦悩。

…それは彼らのせいではなく、きっと親や社会がそう思わせていたのだろうな。
そのままでいいんだよ、とやんちゃな姫として育っていたならば、こんなに苦しまなくても良かったのにね。

貴族の子だから、宮仕えしなくちゃいけない……これが、もし町の子や村の子であったならば、その「男勝り」や「大人しい」部分は個性として生きていけたのかもしれないね。




登場人物が素敵です。
沙羅双樹の同僚、石蕗の中将…トラブルメーカーなんですが、なんか憎めない。
「うつけ」と沙羅双樹に思われておりますが~恋愛に関しての、そのエネルギーはあっぱれです。
彼の自信を裏付けするルックスの良さが悲劇を招きそうです。
目下、双樹に瓜二つと噂の睡蓮に近づこうと目論んでおります。

 石蕗、こんなんだけど涙もろくてすぐ泣くのよ(笑)。






そして、この方!
東宮さま…素敵だわ。オトコマエよねぇ~~~このイケメンっぷりは反則。
雲と花をバックに出てらっしゃいました…雲はきっと薄紫とピンクよね(うっとり)

 帝への呪いを解いた(避けた?)時の素敵さといったら(らぶ)






そして東宮の奥方、梅壺の女御。
待ってましたぁ~~~~!こういう方が居ないと、話は面白くなりません(こら)

 梅壺の女御さまは沙羅双樹の秘密に気づき、それを明かそうとします。
彼女には双樹が「もののけの類」に見えるそうですよ…ふふふふふ。




素敵なキャラが揃いました。
凛々しい沙羅双樹を、娘を持つ貴族や女官たちが放っておくわけもなく…。
また睡蓮の美しさも噂が噂を呼んでいきます…2、3巻もわくわくです。

また近々、感想をアップします。

2 コメント

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こんばんは (naomama)
2014-03-28 18:53:05
さいとうちほさんの「とりかえばや」は素敵な絵ですね。
沙羅双樹と睡蓮は二人とも美しく描かれていて興味が湧いてきました。

美男ですねの韓国・日本・台湾版をすべて視聴して、氷室冴子さん原作のざちぇんじを思い出しました。この小説も双子の男女が入れ替わるお話ですよね。もちろん山内さんの漫画のほうも読んだ世代です。

台湾版の放送の後「ざちぇんじ」や「とりかえばや」などを検索したところ、さいとうちほさんが「とりかえばや」を連載されていると知って気になっていたところでした。

>ストーリーは承知の上で読んでおります…結果はわかってるのに、ハラハラドキドキ
ストーリーを知っていても楽しむことができるようですね~。
最近はドラマの視聴が忙しくて、漫画から遠ざかっていましたが、「とりかえばや」もパレアナ姉さんの記事で、読みたくなりました。今後の感想も期待しています。
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naomamaさん (パレアナ姉)
2014-03-29 05:33:18
naomamaさ~~ん、コメントありがとうございます、嬉しく楽しく拝見しました♪

「とりかえばや」の記事も読んでくださってありがとうございます~。
この記事も2巻以降、放置したままでした(^^ゞ がんばって続きをアップしなければ。

さいとうさんの絵、美しくて安定してますよね~これぞ「the少女漫画」です、いろんなマンガを読んできましたが~基本に立ち返った感じがします。

氷室さんの「ざ、ちぇんじ」、私も読みました~懐かしいです。その頃は、主人公たちに共感してワクワクして読んでましたが~今はほぼ親の目線です(笑)
丸光にツッコミながら読んでます~。

男装の美少女というだけで心躍るのに、双子の男の子が女装してる…というシュチュエーション、萌えますねぇ。
naomamaさんのご指摘どおり、結果が分かっていてもワクワクさせてくれる画力、筆力がさいとうさんにはあり、ホント、楽しいです~ぜひ、ご一読ください。
…という私も2巻3巻の感想をアップせねば。
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