goo blog サービス終了のお知らせ 

Paraiso Bookshelf

友だちに、こんな本がよかったよとお知らせできるようにブログを始めましたが、途中で普通の日常報告&旅メモと化しています。

2003年の移行分

2007年12月11日 | 本棚(ぶんがく)
『木のぼり男爵』
イタロ・カルヴィーノ/米川良夫訳
白水社
前々から気になってた本。タイトルのキバツさに対して、なかなか密度の高い(長かった!)歴史小説といった趣き。<2003.12.29.>

『4U』
山田詠美
幻冬社
曰く「恋愛の化学反応(=ケミストリー)」を書いた小説集。この人の短編はやっぱり面白いなあ、と思う。読ませる。<2003.12.29.>

『壜の中の手記』
ジェラルド・カーシュ/西崎憲 他訳
晶文社
「本の雑誌」読者サークルの読書会で読まれた本、と先輩に聞いて図書館で見つけてかりた。短編はあまり好きじゃないのに、面白い!最近はあまり電車で本を読まないけれど、これは読めた。本の雑誌のホームページには「夢幻紳士」(高橋葉介、だっけな)が好きな人は好きだろう、と書いていたけど確かに。<2003.12.8.>

『THE ZOO』
リチャード・カリッシュ/海野めぐみ訳
講談社
装丁が目について…と思ったら山本容子の絵だった。上野動物園に行ったこともあって図書館でかりる。人間社会の風刺なんだろうなあ。いろいろな動物の名が出てくるのは楽しいけど、パンチはいまひとつ?<2003.12.2.>

『異邦人たちの慰め』
イアン・マキューアン/宮脇孝雄
早川書房
黄昏れきったカップルが、異常な人につかまるのが不気味。どうしてこの人の話はこんなに静かで恐いんだろうなあ。<2003.11.16.>

『西瓜糖の日々』
リチャード・ブローディガン/藤本和子訳
河出文庫
なんというか、わけがわからないのに、一日で読んでしまった本。ユートピアとかヒッピーとかいう言葉が浮かぶのだが、ヒッピーが登場する前に書かれた本だそうで。訳文が美しい。<2003.11.8.>

『どすこい』
京極夏彦
集英社
笑えます。京極さんはデブ専だったのか!?『四十七人の刺客』が読みたくなった。<2003.11.3.>

『静かな大地』
池澤夏樹
朝日新聞社
何でもいいからいい小説を読みたくて、分厚いのにヤケクソ気味に買った本。装丁も山本容子だったし。この人は本当に長い物語が好きなんだなあ。沖縄の本も面白かったし、この北海道の話もいいです。<2003.10.19.>

『スコットランドの黒い王様』
ジャイルズ・フォーデン/武田将明訳
新潮社
アミン大統領の話。野田秀樹が表4に推薦文(?)を書いていて、即借り!(図書館の本)池澤夏樹あたりが書きそうなファンタジーのようだったが、現実にいた人なんだよなあ、アミン。<2003.8.31.>

『タマや』
金井美恵子
河出文庫
目白4部作の中でも、もっともユーモアのある作品かもしれない。キャラクターが面白くて、『インディアンサマー』の女達も出て来て楽しい小説。<2003.8.3.>

『リセット』
北村薫
新潮文庫
待ってましたの三部作の最終文庫化。この人の書く女性って、本当に美しい。化粧がうすくて、髪がサラっとしてて、肌が白くて、体は細すぎずスマート、って感じです。<2003.7.28.>

『アムステルダム』
イアン・マキューアン/小山太一訳
新潮社
なるほど、それでアムステルダム。筋がドロドロなわりに、しんみりとした文体のためか不思議に余韻が残るタイトル。やっぱり面白いぞ、イアン。<200.3.7.28.>

『セメント・ガーデン』
イアン・マキューアン/宮脇孝雄訳
早川書房
『愛の続き』で気になったイアン二本目。思春期の少年はイマイチ気持ち悪いのだけど、この読みやすさは訳文なのか、原文なのか。一見普通っぽくて、中身が歪んでいるところがこの人の特長だろうか。<2003.6.29.>

『働く女』
群ようこ
集英社文庫
出張の新幹線で読む本がなくて、泊めてもらった先輩の家でかりて帰った。お得意のオムニバス短編、勢いのある文章である。<2003.6.28.>

『すばらしい新世界』
池澤夏樹
中央公論社
「マシアス・ギリ」以来、久々に長篇を読んだけど、やっぱり面白い。環境問題のことが書いてあるんだけど、お話としても楽しくて、寝る前に読むのによい本だった。しみじみ読めて、ふんわり眠くなって、明日もまた続きが読めると楽しみにできる、そういう本。<2003.6.15.>

『花粉の部屋』
ゾエ・イェニー/平野卿子訳
新潮社
ニューウェーブというのか、アゴタ・クリストフをもっと若くした感じというか、きっと文体がきれいなんだろうなあ、と思う。あまり私の今の気分じゃない、というのが正直なところ。<2003.6.15.>

『菊葉荘の幽霊たち』
角田光代
ハルキ文庫
これまた今ドキな若者、な感じ。しかし、若くなくてもこうやってスルっと人の家に住みつけるタイプの人っていますね。<2003.6.15.>

『愛の続き』
イアン・マキューアン/小山太一訳
新潮社
無気味な神経症ストーカー(?)の物語に、まさに裏表紙の文句通り、やめられないで読み続けてしまった。面白い!しかし、こういうの萩尾望都が書きそう。<2003.6.8.>

『最後の瞬間のすごく大きな変化』
グレイス・ペイリー/村上春樹訳
文芸春秋
表紙のホッパーの絵がとてもアメリカ的でハマっていい雰囲気の本。しかしやはり短編は難しい。かなりフェミニズム的にコレクトな作家らしい。<2003.5.29.>

『道化師の恋』
金井美恵子
河出文庫
半分読んで放ってあったものを読み出したら止まらなくなった。生意気な新人作家や、いかにも「若い人妻」が出て来て、どこがどうとは言えないが可笑しい。『文章教室』などと合わせて目白4部作というらしい。<2003.5.19.>

『娼年』
石田衣良
集英社
何となく目につく作家の、図書館にあった本を借りて来た。悪くないのだが(←えらそう。好みだ、ということです)、この年で読む本でもないかなあ…。しかし、この人の名はやっぱり大島弓子の作品から取ってるんでしょうかね。<2003.5.19.>

『金曜日の別荘』
アルベルト・モラヴィア/大久保昭男訳
角川書店
前半はモラヴィアだなー、と思うエロ話(おい)、後半はちょっと奇妙な物語、の短編集。飽きずにちょっとずつ読める。<2003.5.13.>

『マーティン・ドレスラーの夢』
スティーブン・ミルハウザー/柴田元幸訳
白水社
最近の文学のヒットはだいたい海外のような気がする。なんつって自分が選んでるだけか。1世紀前のアメリカンドリーム、よく考えるとなんてことのないストーリーなのだけど、いつまでも続きを読んでいたい。しみじみ系の映画にするといいんじゃないかな?<2003.5.5.>

『ビューティフル』
島村洋子
幻冬社
ブチ切れた登場人物たちが妙に「癒し」てくれる。しかし、うーん、中身はどうということもなし。<2003.4.20.>

『二十一世紀最初の戯曲集』
野田秀樹
新潮社
見た芝居は、やっぱり読んでも面白い。…見たかったなあ、2001人芝居。(しつこい)<2003.4.12.>

『幸福な遊戯』
角田光代
福武書店
今、なんとなく注目している作家。面白いんだけど、デビュー作だけに、やっぱりちょっと古いかな、こうゆうの…。若い男女の葛藤って…。自分が年くっただけか。<2003.4.12.>

『前日島』
ウンベルト・エーコ/藤村昌昭訳
文藝春秋
むー、難しい、しかし、スケールが大きく、ダラダラ読む楽しみがある。意味が取れないまま勢いで読んでしまった。<2003.4.12.>

『球形時間』
多和田葉子
新潮社
ドゥマゴ賞を受賞していて、気になっていた作家。ゆえに内容を確かめず読みはじめると意外にも学園小説だった。とは言っても、視点がどこか浮いていて不思議な感覚なんだけど…。とりあえず面白く、一気に読めた。<2003.3.30.>

『柔らかい土をふんで、』
金井美恵子
河出書房新社
金井文体爆発!な本。この文体に身を任せるのはなかなか楽しいのだが、次第に何を読んでるのかわからなくなってくる。よくわからないけどスゲエ。フランス映画の評論から出て来た小説というが、さもありなん。<2003.3.22.>

『官能小説家』
高橋源一郎
朝日新聞社
意外におもしろい!というのが第一声。あまり期待していなかったのに、明治と現代の混じり方もいいし、現代のタカハシの周りの話が笑える。<2003.3.16.>

『特急こだま東海道線を走る』
姫野カオルコ
文芸春秋
姫野にしてはヒネリのない装丁の表紙。しかし、中身はヒネったノスタルジー。同郷(といっていいのかわからないけど同じ県)だからか、何となくこの空気がわかって、多分同じようにあまり故郷が好きでない私は少し憂鬱になる。<2003.3.16.>

『蕎麦屋の恋』
姫野カオルコ
イースト・プレス
表題作は、ヒメノにしては、なんだか少し嬉しい運び。舞台が品川、とか京成急行、とかいうあたりがサラリーマンらしくてよろしい。<2003.3.2.>

『息子の唇』
内田春菊
角川文庫
小説なんだけど、他のエッセイやマンガで読んだ話が多くて、いいのか、こんなのに金払って、という気も。面白いからいいか…。<2003.3.2.>

『A2Z』
山田詠美
講談社文庫
山田詠美は、こういう軽い恋愛ものが一番好きだなあ、と思う。年下の男に対する年上の女がかわいいです。夫の名前が得意先の担当者と同じで、ちょっと気が削がれた(笑)。<2003.2.2.>

『ガートルードとクローディアス』
ジョン・アップアイク/河合祥一郎訳
白水社
文学的興奮が味わえる一冊。ちょっと高尚なエンタテイメント?ハムレットがちょっと偏屈な若者だったり、クローディアスがほとんど老人なのが妙におかしかったり…。一種のパロディだもんね。『ハムレット』を読み直したくなること必至。<2003.1.12.>

『パストラリア』
ジョージ・ソウンダース/法村里絵訳
角川書店
そうそうたる名前が並んで大変素晴らしい帯コピーなんだが、私には短編の魅力はイマイチわかりにくいかも。でも一貫して何かを決意するまでを描いているところに引き込まれる。<2003.1.4.>

『さくらんぼの性は』
ジャネット・ウィンターソン/岸本佐知子訳
白水Uブックス
大女お母さんの強烈さはもちろん、12人の王女の話がファンタジックで残酷で良い。<2003.1.4.>

『ハードボイルド/ハードラック』
吉本ばなな
幻冬舎文庫
実家へ帰って久しぶりに『キッチン』を読んで、その流れで。新幹線で立って読んだのでハードボイルドだった~(違うか)。<2003.1.4.>

『オレンジだけが果物じゃない』
ジャネット・ウィンターソン/岸本佐知子訳
国書刊行会
変わった母親に育てられた少女の変わった成長記。宗教と同性愛というけっこう重いテーマなのに、本人が大真面目なだけにおかしい、そんな面白さのあるムードが、好きだ。<2002.12.21.>

『海辺のカフカ』
村上春樹
新潮社
村上春樹というと、かまえた書評が多くていかがなものか、と長いこと買うのを躊躇していたのだが、やはり我慢できずに人にかりて読んだ。(かりたのかよ!)やっぱり、これだけの長さを面白がらせて読ませてくれるなんてすごい。ファンサイトの掲示板「あなたが演じるとしたらどの役?」では、星野ちゃんの人気が高いんだって。わかるなあ。主人公そっちのけ(15の少年なんて鬱陶しくて)、中田さんと星野ちゃんがサイコーなのである。<2002.12.21.>

『下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん』
嶽本野ばら
小学館
Ayuにシンパシーを感じる、と書いていた作者に興味があって読んでみた。ロリータの趣味(服装の趣味のことである)は理解できないが、単純にコメディとして面白かった。どっちかというとヤンキーの描写が笑える。<2002.12.21.>

『サイケ』
姫野カオルコ
集英社
わりと前に出ていたけど読んでなくて、BOOK OFFで100円で見つけた。いつもの一風変わった性癖を書く短編集。「ジャンプでインポになったわし(女)」の話がおかしかった。<2002.12.1.>

2001年12月~2002年12月の移行分

2007年12月11日 | 本棚(ぶんがく)
『ガラテイア2.2』
リチャード・パワーズ/若島正訳
みすず書房
ずいぶん前に買って放ってあった一冊。『舞踏会へ向かう…』が奇妙におもしろかったので、買ってみた。今回も「これが恋愛小説かー!(帯の文句)」と思わせつつ、熱心に読み続けさせるパワーあり。人工知能のロマンです。<2002.11.17.>

『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』
金井美恵子
朝日文庫
『インディアン・サマー』の桃子が30歳になっている。うーん、意外に自分に近いような。結局花子の不倫の話は後で書くとか言いながら書いてたっけ?というようなことが気になったりして。ページをめくるのを楽しみに読んだ一冊。<2002.11.5.>

『恋愛生活』
真野朋子
幻冬社文庫
このテの本、普段は絶対読まないんだが…と思わず前置きを書きたくなるような夜の連ドラのような恋愛小説である。だからこそ時々読みたくなるのかもしれない。「32歳」が主人公だったからかなあ。<2002.10.26.>

『整形美女』
姫野カオルコ
新潮文庫
ドラマにパクられてました、タイトル。しかし中身は、『ブスのくせに!』『すべての女は痩せすぎである』などで語られて来た姫野流美人論の総決算、わからん人にはわからんだろうな~、の論理の連続。とてもドラマ化などはできはしまい。<2002.10.20>

『溺レる』
川上弘美
文春文庫
なかなか生臭い話の連続である。しかし、この人が書くとまさにアイヨク、ヨクジョウ、という感じ。淡々としてやることだけはやってんのね~、と主人公たちに女友達がいれば言われることであろう。(いないからこうなのか)<2002.10.20.>

『理由』
宮部みゆき
朝日文庫
おもしろいに決まってる宮部みゆきは新幹線で読んだ。イヤな女(というかオバサン)を上手く書くよなあ…。しかし、この人の書く少年はやはり健気だ。<2002.9.8.>

『最後の息子』
吉田修一
文春文庫
最近、さすがに「青春小説」らしきものは読めなくなっていたのだが、浅田彰の帯の推薦文にヤラれた。でも損はしなかった一冊。最後の水泳部の話なんて泣けた。(私が水泳部だったもので)<2002.8.15.>

『なたぎり三人女』
群ようこ
幻冬舎文庫
「もう読まなくていい」と思う作家のひとりなのだが、つい。仕事はしてるけど、その他はわりとぼーっと生きている40女の様子になんとなく勇気づけられたりして。<2002.8.15.>

『第四の手』
ジョン・アーヴィング/小川高義訳
新潮社
アーヴィングの本を手に入れると、大切に、家で、少しずつ読む。ライオンに手を喰われるというあたりがアーヴィングらしい。今までは、変わり者なりに毅然とした主人公が多かった気がするので、最後まで情けない主人公の行動が少し新しい。寝る前に読んでいたせいか昼間に読んでも寝てしまった…。<2002.8.15.>

『シンプルな情熱』
アニー・エルノー/掘茂樹訳
ハヤカワepi文庫
シンプルな内容。わりと話題になったと思っていたが、こんなに薄い本だったとは…!なんで流行ったのかな??<2002.8.11.>

『しようよ。』
島村洋子
光文社文庫
あざといタイトルがイマイチひっかかったが、読んでみて面白かった!特に「夫が好きで好きでたまらない」って話、おかしいです。<2002.7.28.>

『文章教室』
金井美恵子
河出文庫
こういうのを風刺と諧謔というのだなあ。ストーリーやキャラクターは面白くないのに、全体は気分にフィットする不思議な小説。<2002.7.10.>

『小春日和』
金井美恵子
河出文庫
斎藤美奈子氏の「L文学」に紹介されていた本。女の同居というところで、松浦理英子の『裏ヴァ-ジョン』を思い出すなあ、と思いつつ選んだ。「ほかの本が読みたい」と思うヒットながら、なかなか本屋へ行けない。(河出文庫って小さい本屋だとあまり置いてないし)<2002.6.23.>

『東京セブンローズ』
井上ひさし
文春文庫
旧かなづかいが、全然読みにくくない。(読めない漢字はあったけど)オヤジのつぶやきが面白い。<2002.6.2.>

『マグネット』
山田詠美
幻冬社文庫
ショッキングな話もあり、しみじみする話もあり、読んで損はしない文章なのだが、惰性で読んでいるような気がするなあ…。何か、スタイリッシュなもの、イキなものを求めているのかもしれない。その意味で一本筋は通 っているのだが。<2002.5.6.>

『いつかわたしに会いにきて』
エリカ・クラウス/古屋美登里訳
ハヤカワepi文庫
「もう若さは武器にできない彼女たちの心の内を…」という帯コピーで何となく読んでみたけど、やはり短編は難しい。<2002.4.5.>

『受難』
姫野カオルコ
文春文庫
単行本のときから読みたかったが、文庫になってやっぱり嬉しい。テーマはいつもと同じなのだが、意表をつくオチ。<2002.4.5.>

『神の子どもたちはみな踊る』
村上春樹
新潮文庫
挿画がなかなかいい。なんだかんだ言って、村上ファンだなあと思う私。昔は龍派だったけどなあ。<2002.4.5.>

『第三の嘘』
アゴタ・クリストフ/ 掘茂樹訳
ハヤカワepi文庫
『悪童日記』のインパクトにはやはりかなわないのだけど、クリストフ三部作を文庫にしてくれて嬉しい。母と残されたほうの双児の恨みが印象深い。<2002.4.5.>

『ふたりの証拠』
アゴタ・クリストフ/堀茂樹訳
ハヤカワepi文庫
『悪童日記』には衝撃を受けたクチだが、あの双児が50歳になるってのも衝撃だよな。こういう「アイデンティティの不確実さ」って好きである。カフカとかクンデラとか。久しぶりに『悪童日記』を読み返してみよう。<2001.12.23.>

『コンセント』
田口ランディ
幻冬舎文庫
ニンフォマニア系の小説家、という印象が強く、興味があった。主人公はシャーマンというわりには即物的で、あまり色気を感じなかった。葬儀屋や清掃屋とのやりとりの場面 が一番魅力的だった。<2001.12.21.>

『をんなの意地』
横森理香
祥伝社
楽な本が読みたくなって買った。この人の文体は、なんだか適当なところがあるのだが、勢いがある。食べ物のブランドにやたらこだわるシーンが多いのが30代の女性らしいなあ、と笑えた。<2001.12.2.>

2001年12月以前の移行分

2007年12月11日 | 本棚(ぶんがく)
『心臓抜き』
ボリス・ヴィアン/滝田文彦訳
ハヤカワepi文庫
ときどき、こうしていい本を読むと「ぶんがくってやっぱりいいなあ」と思うのだ。読みはじめるまでが、なぜか身構えるけど。謎の主人公、謎の村、謎の母親、不可解さが気持ちのいい小説。

『天の瞳 少年編』 1・2
灰谷健次郎
角川文庫
何をかいわんや。ものがたりを読む楽しさへの期待を裏切らない小説。倫太郎少年が、非常に男らしくてかわいい。こんな息子ほしいなあ。(おいおい)

『のろとさにわ』
伊藤比呂美/上野千鶴子
平凡社ライブラリー
のろは巫女、さにわはお取次ぎ、だそうです。伊藤比呂美の詩に、上野千鶴子が解釈(?)をつけるようなかたちの本。作者名への期待に違わぬ 内容で、意味はわからないまでもけっこう一気に読みました。ああジャンルがわからない。

『ひと呼んでミツコ』
姫野カオルコ
講談社文庫
最近、集英文庫から新装(?)版で出ていたのを見たが、これは名作!姫野カオルコの志向がよくわかる。その志向に共感する人には「そうなのよ!」とゲラゲラ笑いながら読める。えーと、「猫が好きで、サティが好き、とくればあとはサリンジャーで恥ずかしい三種の神器だ。ウケる冗談だと思った」とか。

『深層生活』
アルヴェルト・モラヴィア
ハヤカワ文庫
モラヴィアが早川文庫で出ているとは知らなかった。(のです、この時は2年前ぐらいか?)しかし、ミステリの合間に読むとタルいの何のって、しかも全編エロなので電車で読みづらい。(読むなよ)あちこち「トリプルセックス」とか書いてあるし…。

『島物語II』
灰谷健次郎
角川文庫
阪神・淡路大震災のところは、さすがに涙が出る。あのとき、仕事の穴埋めに必死で、ちっとも人の助けになることをしなかった自分が思い出されて、少し落ち込んでしまった。

『裏ヴァージョン』
松浦理英子
筑摩書房
発売後すぐ読んだが、初読のあとしばらく放ってあった。 後半になって、胸の痛くなるような女二人の会話(というか筆談か)が始まると、「やっぱり松浦」と安心してしまう。しかし、7年ぶりの小説かあ、本当に寡作だなあ。『生は彼方に』
ミラン・クンデラ/西永良成訳
ハヤカワepi文庫
久しぶりに読んだクンデラ。歴史的背景を思いつつも、主人公の精神的葛藤には、ほとんど国境も時代も超える普遍性を感じる。 母の溺愛、女との関係、昔の級友との会話、過剰な自意識…。これを面白く読ませてしまうのが、クンデラの不思議さだ。 空想のクサヴェルの挿話は「??」と思いながらも目が離せなかった。

『百年の孤独』改訳版
G・ガルシア=マルケス/鼓直訳
新潮社
うまいこと改訳版出すなあ! わたしのような「読もうと思いつつ」という人を 見事にすくうタイミングであろう。(1999年8月発行) 『族長の秋』『ママ・グランデの葬儀』『予告された殺人の記録』は いずれも文庫で出ていたので、ずっと前に読んだのだが もう一度ひっぱり出さずにいられない。やはり ガルシア=マルケスは、これを読まないと始まらないのかも。 久しぶりに文学を読んで、熱中したが 頼むから、子孫に同じ名前をつけるのはやめてくれー!!

『物語が、始まる』
川上弘美
中公文庫
『溺レル』が評判で、読んでみたいと思いながら ハードカバーに手が出せず。(この文庫さえ人に借りて 読んでいる)なるほど、しんみりと読ませる おもしろい文体。久しぶりに文芸を読んだ、という気がする。

『ハリー・ポッターと賢者の石』
J.K.ローリング/松岡佑子訳
静山社
そんなに売れてるなら、読みたい!とヤラシ根性で 買った人に借りて読んだ。久しぶりに物語を読んだなあ。 うまいストーリーテリングに乗せられるのは気持ちがいい。 全7巻だって言うし。 (わー、続きも借りつづけなきゃいけないの!?) ディケンズやアーヴィングが読んだらどう言うかな。

『フローリアの「告白」』
ヨースタイン・ゴルデル/須田朗監修・池田香代子訳
NHK出版
ミルキィ・イソベの装丁がハマること!帯のコピーがハマること、 すごく愛着のわく本。曰く、---「抱いて、いのちは短いのよ」 哲学者は禁欲を、女は愛を選んだ----どうすか、これ。 この本がアウグスティヌスへの書簡集(という設定?) だというから、すごい。しかも表紙にはそんなこと一言も書いてない。 (帯の後ろ側にはあるけどさ) 初めは、あなたの予想通り『ソフィーの世界』の隣にあったから 手にとったんですけどね。恐るべき本です。

『サーカスの息子』
ジョン・アーヴィング/岸本佐知子訳
新潮社
アーヴィングコレクションが順調に刊行されて嬉しい限り。 舞台はインドだが、アーヴィングのアーヴィングらしい面 が 読める小説。主人公のファルークおじさんはもちろん、ダーの 人柄も、アーヴィングの世界ならでは。

『オウエンのために祈りを』
ジョン・アーヴィング/中野圭二訳
新潮社
この訳には待たされた!! 久々のアーヴィング節にうなっているあいだに 映画をうっかり見のがした。その後「オースティンパワーズ』を 見たもんだから、「ミーニー」と「ミニミー」がダブって困る。 私にとっては『ホテルニューハンプシャー』『サイダーハウスルール』に 続くアーヴィング・ベスト。

『ピギースニードを救う話』
ジョン・アーヴィング/小川高義訳
新潮社
珍しい短編も楽しめたけど、「こんな作品も書いている」というコレクション心を満たした、という気持ち。やはりアーヴィングの場合 長篇が読みたくなる。