貪欲

今日は息子の入学式。
この日のために休日出勤もばりばりこなし、替わったばかりの上司に頼んで休みをもらった。
入学式くらいきちんと出て父親らしさをアピールしておかないと、将来グレた時に説教するにも説得力に欠ける。

そんな熱い思い(?)が、カミさんにも通じたのか、前夜にこんなことを言う。

「入学式は１０時からだから、朝だけ釣りに行ったら？」

おお！そんなことが許されるのか？
ならば行こうではないか！

夜明けから１時間だけと心に決め、秋川支流でも比較的近いところへ向かう。
ボウズでも文句は言うまい。チビヤマメの１匹でも顔を拝めればそれでよし。

こういう欲の無い時こそ幸運が舞い込むらしい。
車から降りて、ほんの少し釣り上がったトロ瀬で奇跡は起きた。

トロ瀬の一番奥に向かってフルキャスト。
ティップを軽く振るわせながらゆっくりリトリーブし、残り半分の距離までルアーが来たところで異変に気づいた。
ルアーの後ろ１ｍほどの距離を保って巨大な黒い魚影がゆっくり追ってくる。
ルアーと魚との距離が３０～４０ｃｍになったとき、一か八かリトリーブを止めてみた。
すると、瞬間的にビュッと加速しルアーをパクリ！

浅瀬でのやりとりはこちらに分があった。


ついにやっちまった！
前回の３８ｃｍイワナに比べたらずいぶん痩せてはいるが、全長４０ｃｍの堂々たるイワナだ。
冗談で４０ＵＰなんてうそぶいていたら、現実になってしまった。
こんなちっぽけな支流にこれほどのモンスターがいたとは夢にも思わなかった。

ルアーを外そうとプライヤーを口の中にいれたら、何やら茶色いものがひらひらしている。
枯れ葉でも入ったのかな？と思ってプライヤーでつまんだらピクッと動いた。

ナント、枯れ葉だと思ったモノはカエルの足だった。
よく見るとイワナのノドの奥にカエルが丸ごと詰まっていて、まだピクピク動いているのだ。げー！

いやはやなんとも貪欲なことよ。
こいつはカエルを丸飲みした直後にルアーに喰らいついたのだ。
そうでなきゃ、こんなモンスターには育たないだろう。


小さな支流の大きな主には、ゆっくりと元の流れに帰っていただいた。
もう釣られるんじゃないぞ。


帰宅して興奮しながらカミさんに報告。
papachan：「いやー、４０ｃｍのイワナを釣っちゃったよ。釣りの神様のおかげだね。」
カミさん：「あたしのおかげでしょ。」

ハイ、おっしゃる通りで…。


おまけ
ちなみに入学式には無事間に合いました。

息子よ、入学おめでとう！