心が疲れた夜、なんとなくすがる気持ちで観る。
期待していなかったがすごく良かった。
撮る国によってこんなにも画質が変わるものか。
同じ邦画でも、日本の映像とフィンランドの映像はやっぱり違う。
どちらがいいと言うのではないが、
「かもめ食堂」の映像からはフィンランドの澄んだ空気が
ブラウン菅から始終漂うようだった。
全篇通してゆるめな空気感に包まれながらも、
地に足のついた登場人物たち、でも多分このキャストだから
それが可能なのだろうが、ただの弱弱しい優しさだけの世界になっていない。
一見淡々と写る出来事を実は精一杯体感する『日常』というもの、
それがリアルに描かれている作品。
淡々としているのに最後まで飽きることなく一気に観れた。
微妙にオムニバス風の、途中で暗転が入るところも好き。
小林聡美と、もたいまさこは日本いち巧い女優だと思う。
この作品に合っている二人でもあるんだろうけど、
ここまで飽きさせないのは間違いなくキャストの力。
小林聡美はやっぱり上手いなぁ。ただ厨房に立ってお料理してるだけなのにね。
そしてもたいまさこは圧巻。シナリオが単調で素人臭いけど、あのセリフで
こんなに一人の人物像の背景を想像させる腕がすげー。
そして衣裳が超ラブリー。フィンランドに行きたくなる。
ふらりと食堂に来て、必ず「コンニチワ~」と言う、
日本おたくのフィンランド人の青年の演出も良かった。
常に傍に置いといて、心が疲れたときに観たい作品。