黒パンダ団 港街支部

掌動などフィギュアのブログです。
旅や酒場放浪記も時々あります。
人生七転八倒。

第3幕 「復活へ」その1

2012-03-04 | その他



「はじめまして、ミスター火野。」
その流暢な日本語に、映司は驚いた。しかし、もっと驚いたのは…
「な、なんで、ここにいるんですかーーー後藤さん!」
「こちらのナディン教授の警護のためさ…付け加えると、お前も守るよう言われている」
日本にいるときと変わらない口調に、一瞬我を忘れる映司だったが…
「もう、手を離してもよろしいかしら」
「ああーすみません!」
慌てて手を離し、頭を何度も下げる。その姿に思わず吹き出す映司以外の二人。





「ナディンさん、あ、いや、教授は日本語お上手ですね~」
「元々は言語学を学んでいましたから。でも後藤さんも火野さんも挨拶はお上手でしたよ」
「それにお若くて…きれいで驚きました。てっきり、おばあちゃんだろうと~」
「まぁ!ホホホ」
コーヒーを持ってきた後藤が並べた後、ソファの横に立つ。
「座らないんですか?」
「警護だ、って言っただろ。まぁ一応な。」
「そう、それそれ。なんで後藤さんがいるのか不思議です。」
カップをテーブルに置き、ナディンが口を開く。
「不思議なのは私の方です。」
映司、後藤が同時に顔を向ける。



「ドクター・シルバから連絡がありました。ミスター火野について説明を聞き、私の研究に関係が深いだろうと推測しました。」

 錬金術。それは普通はおとぎ話のように受け止められる内容である。しかし映司やその周囲の者たちにとっては思い出深い真実の出来事であった。それに関わった一人一人の人生を左右した1年間だった。そして…それゆえ映司は旅を続けているのだがグリードたちが作られた800年前ほどの遺跡や史料専門家は世界に少なくない。しかも映司自身が欲している、探している事柄は雲をつかむような話だ。シルバー教授にたどり着くまでかなりの苦労があった。でも・・

  ----アンクをもう一度甦らせたい----

「ドクター・シルバから連絡の電話を切った途端、ミスター鴻上から電話がありました。」
その声で映司は我に返った。後藤もナディンの口元から目が話せない。
「元々ミスター鴻上はスポンサー…よりも援助、の方がいいのかしら?私の研究をどこかで知って、協力を続けてくれていたのだけれど、
突然のお話がありました。

『今回の調査に火野映司を同行する際、危険が予想されるので、こちらから警護の者を用意する』

というものです。私としてはこれまでの研究の一部をミスター火野に…」
映司が仕草で遮る。
「ナディン教授“映司”でいいですよ」
「じゃぁ私もナディンで。」
お互いににっこり頷くことで了解しあう。
「映司にちょっとデータを教えればいい…その程度に考えていたのですが…ミスター鴻上は
『立った今得られた情報だが』と新しい遺跡の発見を教えてくれたのです。」
「遺跡?」
映司と後藤の声が重なる
「遺跡というか…え・・と “お墓” ですね。アーケミスト…錬金術師と噂される人のお墓です。
・・時代は前後しますが、サンジェルマン伯爵のような…」
「サンジェルマン伯爵?」
「不死の伝説を持っている。確かダイヤモンドの傷を消す秘法を身につけていたという話もあったんじゃないかな?」
後藤の話にナディンが深く頷く。
「ミスター鴻上が選んだだけあって、後藤さんはくわしいですね」
「さっすがー」
「こんなに連続して事態が変化するというのは不思議です。」







続く・・のか?