PAIKAJI-WALKER

沖縄県は石垣島に在住の筆者が全国を渡り歩く様を何となくレポート。。特にテーマもカテゴリーも持たない雑学ブログ。

玳瑁のはなし。

2016-05-02 21:49:13 | 石垣島ライフ
玳瑁。なかなか読める人は少ないと思います。「たいまい」と読みます。



604年、聖徳太子が小野妹子を隋に遣わし「たいまい」をもたらしたと古文書に記載があるそうで。。東大寺正倉院の宝物庫にみられる「玳瑁杖(たいまいのつえ)」 「玳瑁如意(たいまいにょい)」がそれです。

現在でも日本の伝統工芸品の材料として受け継がれています。

答えは。。

ウミガメのタイマイでした。鼈甲細工の原料になる美しい模様の甲羅を持つウミガメです。

この美しい甲羅を時の権力者は珍重していたわけですが、日本では江戸時代後半になると女性の簪(かんざし)などの装身具に使うようになり鼈甲細工はもてはやされるようになるわけです。

江戸時代ってのはご存知の通り鎖国時代ですからこの南の海に棲むタイマイを直接海外から輸入出来ませんでしたが、薩摩藩の勢力下に置かれた琉球王府には交易品として東南アジアから潤沢なタイマイの甲羅が集まりその甲羅が主に長崎出島を経由して国内に輸入されていたわけです。

長崎県が鼈甲細工の本場になったのはこの為なんです。

実はこちら八重山諸島がタイマイの繁殖地としては世界の北限となります。石垣島、先日、アオウミガメの放流に行った黒島では産卵に上陸して来るんです。

このタイマイは世界的に絶滅の危機にさらされ、1975年にワシントン条約で、捕獲や商業取引禁止となったんですが、一部の商社と言えども我が国は1993年頃まで知らん振りして世界の産地から輸入していたんです。

ただ、それだけではありません。タイマイを取り巻く海の生活環境の激変も絶滅の危機になった理由の1つです。タイマイは珊瑚礁に生息していますが埋め立てや沿岸海洋汚染で珊瑚礁が激減。ここ50年で世界の半分に当たる海域の珊瑚礁が消滅。

経緯はどうであれ、日本の伝統工芸品がターゲットになってしまい世界的批判を受け全面輸入禁止を国の方針として決定したワケです。それを期に環境省が絶滅の可能性があると保護動物に指定するわけですが沖縄県のタイマイの生息数は捕獲による減少と追い討ちを掛けるように、政府の沖縄にたいする思いやり予算で大々的な始まった宅地、農地開発による赤土流入による珊瑚礁の死滅が深刻化。タイマイが住める環境では無くなっていた危機的状況になっていたんです。

装身具としてなら一部の人が使うんであればですが、ブームになれば乱獲に向かうのは目に見えているわけで。。さらに、タイマイの剥製なんかもブームになり子供の頃、壁に掛けてあるタイマイを目にしたことある方も多いかと思います。

環境の激変、つまり、人間の営みがこのタイマイを危機に追いやっている事になるわけで。。

しかし、カメですから長生きの象徴として縁起物ですからね、日本では。。。


でも、楽観的思考で行けば、タイマイは大海原を回遊する事は滅多にせず、自分の生まれた珊瑚礁で世代を重ねて行くので考えようによっては増やし易いかもしれませんよね。

現在は保護動物として放流を毎年繰り返しているので、いつの日か八重山諸島が200年前の琉球王朝時代の海のようにタイマイが普通に泳いでる海になるかも。。と思うのです。



では。



paikaji




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