いするぎ便り

歴史を求めて季節を感じて…
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平家物語 巻七 倶利伽羅落<いするぎ寺子屋 vol.3 薩摩琵琶・楽琵琶の共演>

2011-07-13 | 旅行

 2010年9月28日に「廻向寺」(小矢部市)で「いするぎ寺子屋vol.3」を開催しました。
いするぎ寺子屋は毎年、お寺の本堂をお借りし、二本のろうそくの灯りのもと、コンサートを催すイベントです。昨年は、薩摩琵琶演奏家の桜井亜木子さんと、雅楽演奏家(笛 楽琵琶)の太田豊さんをお招きして開催しました。つめかけた約150人の聴衆は薩摩琵琶による語り「祇園精舎」や薩摩琵琶と楽琵琶による「倶利伽羅落」(太田さん作曲)など、その琴線にふれる素晴らしい演奏に酔いしれました。特に、薩摩琵琶による語り「祇園精舎」は薄暗い本堂に鳴り響く撥と弦の音、重厚な語りに圧倒されました。そして、ラストは「倶利伽羅落」。臨場感あるれる語りと薩摩琵琶と楽琵琶のセッション、かすかに聞こえる虫の音にタイムスリップをしたかのような錯覚を覚えました。

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の世の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ

 平家物語 巻一 冒頭

親落せば子も落し、兄落せば弟も続く
主落せば家の子・郎党落しけり
馬には人、人には馬、落ち重なり、落ち重なり
さばかり深き谷ひとつを、平家の勢七万余騎でぞ埋めたりける
厳泉血を流し、屍骸丘をなせり
されば其谷のほとりには矢の穴、刀の疵、残って今にありとぞ承る

平家物語 巻七「倶利伽羅落しの事」

詳しい様子は→ 小矢部市商工会HP 「いするぎ便り」社寺仏閣のページです。

 

「平家物語」について

「平家物語」の成り立ちは、「平家にあらずんばひとにあらず」と隆盛を極めた平家が滅ぶという大事件を仏教の布教の手段にしようと、合戦の様子を遁世者に尋ねながら物語にしたのが始まりとされています。平家一族の鎮魂と供養の為、また布教のために「平家物語」の語りべの役割を担ったのは、盲目の僧である琵琶法師でした。彼らによって語られる、生々しい戦記は、かきならされる弦や響き渡る撥の音とあいまり、人々をひきつけました。

平家琵琶と薩摩琵琶,楽琵琶の違いはありますが、実際聴いた平家物語の語りはやはり衝撃的でした。

そこに繰り返し説かれていたのは、「諸行無常の響き」「盛者必衰のことはり」でした
繰り返された争い、やまない飢餓や疫病、自然災害。現代を生きる私たちとは比べものにならない程、死と向き合って生きていた中世の人々。平家物語には、いくつもの死に様が語られ後の日本人の生死観を決定つけることになります。