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日々の中で想うこと
ひとつの出来事から想起する
異なるいくつかのイメージ

アンドロメダ

2009年07月31日 | 想うこと

アンドロメダの話を知っていますか。




このあたりはあと三千万年もすると
アンドロメダ星雲とひっついちゃうそうです。

このあたりとアンドロメダとがくっつくと
夜が暗くならないんです。


大問題じゃないですか。



暗闇がなくなってしまうんです。



この世から夜がなくなってしまうんです。

明るくってどうしようもなくなるんです。





この話を初めて知ったのはもうずいぶん前のことです。

友達にプレゼントしてもらった小説に書いてありました。




あたしはこの話がとてもすきです。

アンドロメダとこのあたりがくっついちゃうことに杞憂する
小説の主人公の感性に共感しているのだと思います。


ちょうどこの頃、
あたしもそれなりにメランコリーな毎日を
送っていたからかもしれません。




それから年月が過ぎて、
思い出したのはこないだの春のことでした。



真夜中まで話し込んで
外が明るくなってきたころに

夜がなくなると悲しいなと、ふと思ったのです。


きっと、アンドロメダの話が頭にあったから
夜がなくなるなんてことを思って悲しんだのでしょう。




そのとき、アンドロメダの話、知ってる?

って聞いたんです。



そしたらその人は知らないって答えました。





その人の笑う顔を見て、
やっぱり夜がなくなると困るなと思いました。


その人はとても夜が似合う人で
その人の笑う顔があたしはとってもすきです。



暗闇の中でも明るくて
夜をより深く感じさせてくれる笑顔です。



夜がなくなると困るが故に
あたしはなお、アンドロメダがすきです。



夜が明けていく瞬間が
たまらなくすてきなように

暗闇を飲み込む明るさを持った
アンドロメダに憧れます。



そんな気持ちで制作したワイングラスです。




感性が鋭くなるのは

そういうちょっとした
日常の隙間に見た明るさや暗さや
やさしさや痛みや人の想像力のとめどなさに

気がついたときだったりします。



そうしてきょうも夜がきて
暗くなって眠くなって

月をみて

おやすみを言って
一日が終わります。



おやすみなさい