前回の続きです。さらにその前もあります。
ホームズ「さて、問題は次のようなものだったということだ。
「心地なむせらるべき。」の「なむせらるべき」についての文法的説明として正しくないものを次の①~⑤のうちから一つ選べ。
①「なむ」は強調の係助詞である。
②「せ」はサ行変格活用動詞である。
③「らる」は受身の助動詞である。
④「べき」は推量の助動詞である。
⑤「べき」は「なむ」の結びで連体形となっている。
だいぶ、見えてきたものがあるだろ」
ワトソン「へえ、「。」があるから安心して係り結びの部分を処理できるね。①と⑤は正しいね」
ホームズ「ふんふん、いいよ、古文の基本はあっている」
ワトソン「えーと「せ」はサ行変格活用だね。「心地す」はよく見るけど、間に「なむ」が入ることもあるんだろう。それにこれがサ変の未然形なら後の説明も矛盾がないし。あれ?」
ホームズ「なんだい」
ワトソン「あとに矛盾がないなら、正しくないものがないよ」
ホームズ「品詞ではね」
ワトソン「ああ、そうか、助動詞の意味か。③の受身や④の推量のように。それは文脈じゃないとわからないね」
ホームズ「たしかに助動詞の意味は文脈で最終的に決めなくてはいけない。しかし、ここで出題者の心理から③か④を絞ってみよう」
ワトソン「心理?」
ホームズ「なぜ「。」を隠したか」
ワトソン「係り結びと気づくための最短距離を隠すためかな。難度を上げるために」
ホームズ「そう。なら、「心地」を隠したのはなぜかな」
ワトソン「え? 名詞からはじまる選択肢を作りたくなかったから?」
ホームズ「それも否定しないけどね。助動詞の「る・らる」の識別はわかるかい」
ワトソン「一応。受身なら「~に」あたる表現、英語のBYみたいなものがあるか、補えるんだな。主語に敬意を払うべきときは尊敬。可能なら平安までは下に打消あることが多くて、少なくとも訳は「できる」となるやつ。自発は心中表現につく。そんな感じかな」
ホームズ「すばらしい。気づいたかな」
ワトソン「えーと、あ。「心地」か。「心地」つまり心中表現か。じゃあ答えは③だね。心中表現だから受身ではなく自発なんだ」
ホームズ「そう、おそらく③だ。むろん文脈で確認はとらないといけないけどね。出題者は難度をあげるために敢えて「心地」を隠したんだろうね」
ワトソン「傍線部をひいた出題者の心理を読むか。あまり意識していなかったよ」
ホームズ「全ての教科に言えることなんだけど、何を聞きたくてその問題を作ったのかを考えるといい。その上で、一見、解くのに必要がないと思える周辺情報も探すんだ。現場だけでなく周囲から証拠が見つかる事件なんかいくらでもあげられるだろ。君も記録してきたはずだ」
ワトソン「そして、周辺情報に気づくのに必要なのが基本知識なんだね。助動詞の「る・らる」の識別とか、その類の基本知識」
ホームズ「そういうことだよ、ワトソン。地道な捜査同様に地道な学習こそが成果を保証するんだ。その上で推理などが有効になるわけさ」
ホームズ「さて、問題は次のようなものだったということだ。
「心地なむせらるべき。」の「なむせらるべき」についての文法的説明として正しくないものを次の①~⑤のうちから一つ選べ。
①「なむ」は強調の係助詞である。
②「せ」はサ行変格活用動詞である。
③「らる」は受身の助動詞である。
④「べき」は推量の助動詞である。
⑤「べき」は「なむ」の結びで連体形となっている。
だいぶ、見えてきたものがあるだろ」
ワトソン「へえ、「。」があるから安心して係り結びの部分を処理できるね。①と⑤は正しいね」
ホームズ「ふんふん、いいよ、古文の基本はあっている」
ワトソン「えーと「せ」はサ行変格活用だね。「心地す」はよく見るけど、間に「なむ」が入ることもあるんだろう。それにこれがサ変の未然形なら後の説明も矛盾がないし。あれ?」
ホームズ「なんだい」
ワトソン「あとに矛盾がないなら、正しくないものがないよ」
ホームズ「品詞ではね」
ワトソン「ああ、そうか、助動詞の意味か。③の受身や④の推量のように。それは文脈じゃないとわからないね」
ホームズ「たしかに助動詞の意味は文脈で最終的に決めなくてはいけない。しかし、ここで出題者の心理から③か④を絞ってみよう」
ワトソン「心理?」
ホームズ「なぜ「。」を隠したか」
ワトソン「係り結びと気づくための最短距離を隠すためかな。難度を上げるために」
ホームズ「そう。なら、「心地」を隠したのはなぜかな」
ワトソン「え? 名詞からはじまる選択肢を作りたくなかったから?」
ホームズ「それも否定しないけどね。助動詞の「る・らる」の識別はわかるかい」
ワトソン「一応。受身なら「~に」あたる表現、英語のBYみたいなものがあるか、補えるんだな。主語に敬意を払うべきときは尊敬。可能なら平安までは下に打消あることが多くて、少なくとも訳は「できる」となるやつ。自発は心中表現につく。そんな感じかな」
ホームズ「すばらしい。気づいたかな」
ワトソン「えーと、あ。「心地」か。「心地」つまり心中表現か。じゃあ答えは③だね。心中表現だから受身ではなく自発なんだ」
ホームズ「そう、おそらく③だ。むろん文脈で確認はとらないといけないけどね。出題者は難度をあげるために敢えて「心地」を隠したんだろうね」
ワトソン「傍線部をひいた出題者の心理を読むか。あまり意識していなかったよ」
ホームズ「全ての教科に言えることなんだけど、何を聞きたくてその問題を作ったのかを考えるといい。その上で、一見、解くのに必要がないと思える周辺情報も探すんだ。現場だけでなく周囲から証拠が見つかる事件なんかいくらでもあげられるだろ。君も記録してきたはずだ」
ワトソン「そして、周辺情報に気づくのに必要なのが基本知識なんだね。助動詞の「る・らる」の識別とか、その類の基本知識」
ホームズ「そういうことだよ、ワトソン。地道な捜査同様に地道な学習こそが成果を保証するんだ。その上で推理などが有効になるわけさ」