OUR(団)らのブログ β版

元予備校講師、現高校教諭の宮本晃吉とその関係者らが作るブログです。

【紹介】最近、関心があったこと

2009-11-27 15:59:59 | Book・Web
● 高校生に読んでもらいたい話をちょっと紹介。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

書籍化もされたようであり、大人の好きな話題であるドラッカーの「マネジメント」と女子高校生を結びつけるというのは、かなり面白いと思う。「君たちはどう生きるか」「論語物語」のような、大人との架け橋になりうるような児童(青年?)文学というか、教養を鍛える小説というか、そういうのが見当たらない中、これは面白い記事だし、面白い本だろうなと思っている。

ちぃと、気合をいれるような高校生が出ると愉快だなぁと思い、紹介。



● 行政刷新会議による「事業仕分け」に関しての見解

単なる時事ネタとしても非常に面白いんだが、高校生の方々は科学者の姿勢を読み取ってもらえればと思って紹介。

以下、一部引用。

『真理はわれらを自由にする』という言葉があります。基礎科学は、単純な利益だけではなく、人の来し方を明らかにしたり、宇宙の法則性を示すなどの成果によって、人間を『超自然的』な存在への隷属から開放し、王権神授説のような蒙昧のくびきから解き放つことで、人は本質的に平等であることを示してきました。言い換えれば、科学は人類にとっての夢でもあり、希望でもあったのです。



美しい言葉だなあ。

涙が出そう。つか、出たよ。

他の部分も感情的でなく、非常にクール。


 高校生はぜひにぜひに。


a 女性科学者のスペース2

上記に関連して紹介。

理系で生きていくことと、女性が科学をやっていくことの実況中継として、お奨めである。

科学者たちの奇妙な日常 (日経プレミアシリーズ) (新書) を読んだ上で、このブログを読んでいくといいと思うよ。




【紹介】地球温暖化懐疑論批判

2009-11-02 10:57:41 | Book・Web
●一見、難しいかもしれない題名である。

●確認しよう。

 地球温暖化に対する懐疑論を批判している本である。

●高校生によっては地球温暖化に対する懐疑論自体を知らない人もいるだろうが、小生はテレビでも見たことがあるので、メジャーな話題と思ってほしい。

●以前、アポロは月に行っていないということを信じている高校生を(それどころか大人でも)見たことがあるが、あれはジョークとしては一級品なので、ネタにする分にはいいが、本気は避けたいものである。

このあたりは人類の月面着陸はあったんだ論をぜひに。

●で、だ。

●科学に対するリテラシーというのが高校生(ま、大人もなんだけどさ)には重要だと小生考えているんだが、なかなかの良著が発表された。

それが本書「地球温暖化懐疑論批判」である。

●発売ではなく、発表というのもミソ。

 東京大学の
   サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)
   地球持続戦略研究イニシアティブ(TIGS)

 以上で、それぞれ発表されている(内容は同じです)。

●議論―反論の形式で書かれているので、理解しやすいし、環境(あるいは環境問題)というものは、複数の組み合わせから成立していることの実感なども持てる内容になっている(と思う)。

 高校生や文系にはとっつきにくく、読みにくい部分(簡潔すぎていたりね)もあるやもしれないが、面白い話題であることには変わりがない。


●さらにグラフやデータについて学ぶこともできる。

 こういう本に無料で触れることができるなんて、現代人っていいよな。

 この状況を高校生が生かせないといけませんな。

●あ。

 IR3S/TIGS叢書 No.1と書いてある。

  No.2に期待大だね。




困難は分割せよ―「ウェブ社会をどう生きるか」を例に(後編)

2009-04-29 08:54:30 | Book・Web
前編で紹介したように、以前、生徒と作ったノートの一部を公開する。部分的に長い部分もあるが、まあ、一行というのは目安ということで。

こうやっていけば、高校生で読書の初心者にとって難しい本でも読めるようになっていくと思うんで、お試しあれ。

なお、行頭の数字はページ数である。

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IT革命・・・双方向のネットワーク

40-番組に企画段階から参加=分権型社会の社会  反対…マスメディア=中央集権
41-著作権…ウェブ社会-クリエイターの著作人格権著作者財産権を認めつつ、自由な引用・流通を認める(といい)
42-クリエティブコモンズ…選択的制限条件を付けた上で共有財
43- e-Japan…高速回線化
44- u-Japan…ユビキタスネット 
45-遍在=どこにでも・いつでも・何でも=ユビキタス 
    ―――モノ同士もネットでつながる
46-一種の産業再編=多種多様の関連商品をまとめあげて総合的なサービスを提供する企業が成功する=総合的なサービス(×一つの商品)(u-Japan)
47-ウェブ2・0(黒船=外国からの圧力&進んだもの)
48-u-Japan…上(生産者・供給者)からの革命=一般ユーザーは受け身
49-真のIT革命=分権型への社会的変化=消費者が情報を発信しながら生産活動に参入
  (u-JapanはIT革命×)
  ウェブ2・0=一般ユーザー参加型=ビジネスとして成功  ユビキタス…実験段階
50-①プラットフォームとしてのウェブ ②集合知の活用 ③中央処理 ④ソフトウェア発表の終焉 ⑤軽量なプログラミングモデル ⑥単一のデバイスを越えたソフトウェア ⑦リッチなユーザー体験
51-上記は一般ユーザーへの配慮 
・衆知を集めて巨大なデーターベース  ・ウェブをベース(PC×)
・ビジネス
52-ブログの流行
53-トラックバック機能…リンク(他のHPにいけるようにすること)が双方向になった
  コメント機能  この二つによって意見や感想を交わす
54-ブログが検索にひっかかる=一般ユーザー同士が結びつきやすい
  (古い)ポータルサイト カテゴリー別の玄関が用意されている
55-検索機能だけGoogle
56-様々なサービスGoogle 無料提供
57~58 広告収入…(テレビと違って巨額ではない=中小企業もできる)
60-少量多品種の取引の件数でも巨大だと儲かる=ロングテールビジネス
61-アマゾンの3分の1の売上
62-広告ビジネスに巻きこまれる。ブラウザー=インターネット閲覧ソフト
63-グーグルサイトのコンピュータ
64-無料サービス=一般ユーザーから情報を入手するための仕組み
65-ユビキタス・ネット…自分の過去がビジネスに利用される
66-生命体の存在意味が機械情報に位置づけられる(ユビキタス)
  生命情報から権力メカニズムによって社会情報になる。社会情報を効率にするため機械情報にした。ところがビジネスを結びつくと機械情報が生命情報を束縛する。
(生命情報が機械情報にユビキタス・ネットの元だと侵されるまでの過程を説明しよう)
67~70 IT権力闘争(端末メーカーとウェブ情報サービス企業との争い)(P71現実面)
    民主主義と平等などと無関係
70-平等主義×…グーグルの検索の上位はアクセス数の多いサイト
71-検索のメカニズムの精査なしに、強大な権限(ウェブの世界で存在していることの証明=検索結果)を与えること=民主主義×
  ※検索のメカニズムを教えるとその対策が行われるかも。
72-ウェブ2・0の集合知
  不特定多数で専門家をしのぐ知的成果 例;ウィキペディア リナックス
  ビジネスベースのウェブ2.0と無関係(新たなメディアでは理想主義的な無償奉仕をやるのはよくあること)
72~73-既存の専門知を排斥=知の堕落
    学問の場=厳正な手続き=開かれている  
民主主義も同様…異なる意見同士が対話を続けて、可能な限りの同意にいたる“手続きと過程”が大事
74-過去の発言(過程)×  責任を問う×
  有名人の影響力は大きい          従って 民主的× 平等×
75―機械的な情報処理を信頼=ウェブ集合知仮説(作者が否定)
  コンピュータでは生命情報(人間が生きる上で大切な“意味・価値”と一体の情報)は扱えない。
76-自動化は難しいが、コンピュータの助けを借りて人間の知的活動を活性化することなら見込みがある
78-アカデミックから集合知仮説(ウェブ2・0)という流れはIT革命=分権型からという点ではセーフ。

困難は分割せよ―「ウェブ社会をどう生きるか」を例に(前編)

2009-04-29 08:24:47 | Book・Web
●本というと小説と思う生徒、いや人は多い。

●ここだけの話、私は逆の人間らしく、小説が苦手で仕事以外でまったく読まない年もあったほどだ。

 理由があるにはあるんだが、ここでの展開は避けておく。

●で、だ。

●小説以外の本で新書などを薦めることがあるんだが、多くの生徒は難しいといって困り果て投げ出すものもいる。

 下手をすれば、現代文に出るような難度の文章が一冊分続くわけで、むべなるかなといった感じである。

●ここで提案したいのは、難しいもの、困難なものを前にしたときは分けて取り組むということである。

 まあ、基本中の基本だ。

●例えば1ページにつき、一行のまとめを書いていくなどである。時間はかかるが投げ出すよりはましじゃないかな。

●ここで練習として、「ウェブ社会をどう生きるか」(西垣通: 岩波書店)を取り扱おうと思う。

●ウチで紹介する本のパターンをここで説明しておくが、次のような感じである。


・ 最新の本にこだわらない。
・ 高校生に読んでもらいたい。
・ 付録がある。

●このうちの一点でも満たしていくつもりである。

●今回は付録として、以前、生徒と一緒に作った1ページ1行の見本の一部と、本書を課題にした小論文でも発表しておこうかと。

●ちなみに本書は梅田望夫『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)』と対になる本である。最新でないだけにあえて両方を読んでもらいたい。

●さらに、ちなみに高校生諸氏はウェブの可能性を大人がどう考えているかを知っておいてほしい。

 高校の現場では、ウェブ(ネット)を怖いものと教えていることがあるんだが、実際は怖くあるべきものではないと理解してほしいのである。