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短編小説 〜送り船〜 ②

2024-03-14 14:41:00 | 短編小説

 

 ■引きこもりの甥っ子。

  小五から不登校になり、中学を一度も通わずに卒業した甥っ子と同居している。七つ年上の姉の子供なのだが、中学校を形式的に卒業した三日後に姉が失踪。それ以来十一年間、親父が面倒を見ているが、理屈ぽいところがあり、時折に僕の母親である祖母と口論が絶えない。その甥っ子が何かしらの問題を起こしたことも考えられた。祖母を怪我させた。自殺した。家出した。など。


 ■母親

  七十七歳で高齢であり、ここ数年で特に衰えた様に思う。僕が働く特別養護老人ホームで暮らすもっと年上の入居者様達より老けて見える。悲観主義者で強情張り。人の話は聞かず、自分の話したいことを話し、人の話を自分に都合良く曲解する。目も耳も悪くなり、具合が悪いと言いながら、数キロ先のパチンコ屋まで歩いて行き、閉店まで売っているパチンカスである。転倒することも多くなったので、救急車で運ばれたとかとか、何かの病気で倒れたとか、親父が仕事から帰ったら死んでいたと言うことも想像できた。


 「キツイね。問題だらけだね。まともなのは押利さんとお父さんくらいじゃない」


 山田さんがそう言ったが、僕も数年前にパチンコで作った借金で任意整理しているので、まともだとは言えないと思ったが、それは口にしなかった。

 山田さんには事の詳細がわかったら連絡する事を伝え職場を出る。

 今の職場を選んだ理由は、自宅から近い事だったので、車で五分も走れば家に着く。


 「帰ってきた」

 自宅に入るなり僕の顔を見た母親が、奥の部屋で横になっている親父を呼びに行った。

 部屋から出てきた親父が言った。


 「良子が死んだ」


 意外な所から出てきたなと思った。

 こういう事態になる事を予測していなかった訳では無いのだけれども、なぜこのタイミングで死ぬかなぁ、姉ちゃん。

 十一年間の沈黙を破った死亡通知である。


 「いつ死んだの?コロナ?」

 「分からん。母さんが警察からの電話に出たらしいが、耳が遠いし、自分の話したい事しか話さないだろ?わかっているのは死んだと言う事だけで死因もどこで死んだのかもわからん」 そんな訳で話がよく見えず、僕が警察に電話する事になった。


 警察に電話すると担当者はすでに帰っていたが、引き継いでる人から話を聞けた。

 借りていたアパートで亡くなった。

 事件や事故で無い。

 亡くなったのは二月の上旬らしい。

 それまでは滞納する事なくきちんと振り込まれていたのに、一月末に振り込まれるはずの家賃が振り込まれず、連絡も取れないので管理会社に人が警察官と部屋に入り、部屋で倒れているのを見つけたのが昨日のことだと言った。

 さらに詳しい話は担当者が把握してるので、担当者が明日に出勤してから電話しますとのことだった。

 警察から言われたのは、遺体を引き取ったらすぐ葬儀ができるように、葬儀会社を見つけておいてくださいと言われる。

 めんどくさい事になった。

 それが正直な感想だった。

 最近ヒットした「うっせえな」の替え歌で「めんどくせぇな」が頭の中でリフレインしている。

 兎にも角にも担当者と話をしなければ詳しい話はわからない。

 午前零時を過ぎて家族会議はお開きになった。

 「私も買い物から帰ってきたら郵便受けにメモが入ってて、連絡してくださいと言う警察からだったから、電話したんだけど、何を言っているか良く聞こえなかった」

 




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