杜の里から

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「ニセ科学」の授業をやろう!

2010年02月05日 | ニセ科学
長崎大学教育学部で昨年度と今年度、「情報社会と科学」と銘打った授業が行われていました。
これ何と、「ニセ科学」そのものズバリの授業です。
そこで使用されていたレジュメがとても分かりやすく良い出来なので、ここで改めてご紹介致します。

「情報社会と科学」(2009年度授業分)

  ・血液型性格判断と「信じる心」
   ・もっと勉強するために

  ・マイナスイオンと健康
   ・もっと勉強するために

  ・水からの伝言
   ・もっと勉強するために

  ・「UFO・宇宙人」「波動」
   ・もっと勉強するために


作成したのは長崎大学教育学部数理情報講座の長島雅裕さん、いや素晴らしいお仕事です。
この「ニセ科学」というもの、今でこそネット内で盛んに議論されたり各地でフォーラムも行われたりしているのですが、そろそろ本格的に学校教育の現場で取り上げてもいいのではないかと常々思っておりました。
ここで取り上げられているのは「ニセ科学」の代表選手ですが、何せその応用範囲といったら物理・化学などの理系分野に限らず、心理学・社会学・経済学・経営学(マーケティング等)・法学・医学・栄養学など多岐に渡ります。
つまりそれほど裾野も広く、そして過去のものでは決してなく、実はいつの間にか社会の中にじわじわと浸透してきているのですね。
だからこそこれは学部の枠を超えて、すべての学生達に一般教養課程で教えるべきものだと思うのです。

このレジュメの初めのページにはこうあります。
・ 世の中、情報が氾濫しています。
・ 正しい情報、間違った情報、重要な情報、不必要な情報、
 玉石混交です。
・ だまされないために、そして、知らず知らずのうちに、あな
 たが他人をだますことのないように、情報を吟味する術
 持たなければなりません。
「情報を吟味する術」、今の大人達は果たしてどれほど持っている事か。
怪しい情報を垂れ流すマスコミ、何の疑いも抱くことなく信じ込む人々、悪徳商法の被害は後を絶たず、密かに忍び寄るカルトの影。
「ニセ科学」とは、実は社会問題であるのですね。

勿論こういう授業はapjさんの所では以前から行ってはいるのですが、全体の中ではまだまだ一部と言わざるを得ません。
長島さんのお話によりますと、長崎大学教育学部では賛同する教員の方が分担して、来年度からは一般教養で半年丸々ニセ科学に関する授業を行う事になっているそうです。ぜひ頑張ってもらいたいと思います。

このブログを読んで下さった方、もしご自身のブログをお持ちなら、このレジュメをどんどん周りに紹介してやって下さい。



今回快く転載許可を下さった長島雅裕さんに深く御礼申し上げます(長島さんのHPはこちら)。
このHP中の「ソフトウェア活用法」の中の「グラフの作り方」の教材として、少年犯罪の動向や血液型性格判断について(乱数を発生させて偶然に偏りが出ることを説明)も取り上げられています。
なかなかやりますね(ニヤリ)。


18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ニセ科学追放したいねー (ふみゅ)
2010-02-07 01:32:33
>実はいつの間にか社会の中にじわじわと浸透してきているのですね。

というより、昔からず~っと、根強く浸透してて、それで食ってる人がずーっと存在してるイメージ。

ただ、ニセ科学を批判するなら科学の限界も一緒に教えないと、今度はバカな科学原理主義者が生まれそうな気がしますw
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ほんとにそうですね (OSATO)
2010-02-07 11:23:49
いらっしゃいませ、ふみゅさん。初めまして。

>というより、昔からず~っと、根強く浸透してて、それで食ってる人がずーっと存在してるイメージ。

その通りですね。
心の弱みに付け込む悪徳商法、怪しい理論を吹聴してその気にさせる業者、ネガティブイメージばかりを植え付けベストセラーを呼ぶ健康本や栄養本の数々、そして誤った知識の蔓延。
こういうのに引っかからないための教育が今までなされてこなかったのが不思議なくらいです。

>科学の限界も一緒に教えないと、今度はバカな科学原理主義者が生まれそうな気がしますw

つくづく仰る通りです。
実は当の科学者達は皆分かっている事なんですよね。問題はそれを伝える方。
科学は万能というイメージばかりが先行せぬよう、こういう授業でそこの所もきっちり教えてもらいたいですね。
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ちゃんと科学の限界にも触れてますね (ふみゅ)
2010-02-07 14:22:05
資料を遅れ馳せながら読んでみましたが、これ、ほんと、良いですね!

改めて、面白い授業のご紹介ありがとうございました。

この資料、ちゃんと科学自体についても客観的な考察がされているし、フェアだと感じました。

こういう活動をする人の裾野がどんどん増えていくと良いですね^^

擬似科学や占いなどが蔓延するのは、信じ易い人が多いのと、それで得する人が居るからですが、否定したり批判したりする人は「無粋だ」と言われたり、それをする事で得する事が無いので、活動がどうしても小さくなりがちで、そこが課題ですね。
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Re:ちゃんと科学の限界にも触れてますね (OSATO)
2010-02-07 15:51:25
>ふみゅさん

>否定したり批判したりする人は「無粋だ」と言われたり、それをする事で得する事が無いので、活動がどうしても小さくなりがちで、そこが課題ですね。

そうですね。
実は昔から批判活動は地道に行われてはいるのですが、それが一般には中々認知されていないという所にもどかしさを感じたりします。
それに活動がどうしても個人のレベルになっているので、広める方と比べると圧倒的に分が悪い。
だからこそ、今回紹介した事は本当に意義ある事だと思いますし、ぜひ頑張ってほしいと応援するものです。

ふみゅさんの周りにもどんどん広めてもらえたら嬉しいです。
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気持ちはわかるが… (MM)
2010-02-08 01:09:41
通りすがりでスミマセン。
個人的に、こうした活動って効果が薄いと思ってます。ニセ科学、科学を権威付けに悪用する輩を許せない気持ちはわかりますが。

ニセ科学ばかり信じちゃう人に「主流派を否定したい病」があります。例えば、「波動」を原子の仕組みウンヌンで否定しても、「原子観が間違いかも」とか言い出す。「マイナスイオンは科学用語じゃない」とか逆効果。ほかも同じ。

結局、科学的思考より科学的事実に偏重した義務教育で「科学者=権威主義」というイメージができる。すると「似非科学を信じるな」とか科学者に言われても耳に入らない。初めて自分で考え、信じたいと思えた似非科学に愛着を持ってる。

こういう相手に必要なのは北風より太陽。正しい理論を与えるのでなく、自分も一度科学を捨て、ゼロから一緒に理論を構築することだと感じています。
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【哲】0的確定論 (GAIA)
2010-02-08 11:42:42
『或質的な面が物理的に確定する場合の確定要素は【0】である。』


【0特性】

・絶対性
拡がりが無い,

・不可分性
分けられない,

・識物性
存在の1の認識が可能, 即ち考えるもとの全てが【0】より生ずる, 但し質的な変化に対し絶対保存できない,

・変化性
物による逆の確定が不可能な変化 (可能性の確立), 即ち存在の【1】を超越して変化する。


【0特性】を普遍化すると, 時間平面的な視野は物的ではなく, 質的に変化していることになる。その根拠が【0∞1】, 有限的無限性を有する物による質の確定が不可能であること, そもそも確定する質が何かを知り得ない以上, 物理的確定論は絶対的ではなく類似事的な確定であること, である。

【零的確定論】では, 一つの時間平面が, 広がり無き【時(とき)の間(はざま)】に確定していると考える。同様に空間を捉え, 【空の間】に空間を置き, 絶対的変化を与える【質】を流し込む。つまり時間平面は, この表裏不可分の裏側の【絶対無】により0的に確定されることになる。


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マルチポストですね (OSATO)
2010-02-08 12:42:47
>GAIA
どういうつもりか分かりませんが、この文面であちこち投稿されてますね。(参考)↓
http://blog.livedoor.jp/mimahune/archives/51471158.html
http://blog.livedoor.jp/mimahune/archives/51471158.html
http://inunomeme.blog.ocn.ne.jp/kakarityou/2010/02/post_30f9.html
http://blogs.yahoo.co.jp/syuushigaku/archive/2010/2/6

しかも4秒おきに自動で送信されていて極めて悪質と判断致しましたので、当局に報告させていただきます。悪しからず。
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これは予防です (OSATO)
2010-02-08 20:37:49
いらっしゃいませ、MMさん、始めまして。
返答が前後しちゃいまして申し訳ありません。

実はニセ科学批判者の間では、「ビリーバーは説得出来ない」というのが暗黙の了解事項でもあるんですよ。
こういう人達には実際、どのような言葉を使って説得してもMMさんが仰ったような理由で聞く耳を持っていないのが実情です。
だから多くの批判者が対象にしてるのは半信半疑の人、信じかけている人、そして何も知らない人達なのです。

この世の中からニセ科学やトンデモがなくなる事はありません。そしてそれらをすべて撲滅しようとしてもそれは不可能でしょう。
ニセ科学は、次から次へと現れる新種のウィルスのようなものだと思います。
だからこそ我々は、それに対する予防措置をとらなければなりません。

この「ニセ科学」の授業はまさにそれ、新種のウィルスに対抗するワクチン接種であると僕は思うのです。
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出来の悪いレジュメについて (SSFS)
2010-02-09 02:13:33
初めまして。マイナスイオンについて広く深く調査分析しているものです。

osatoさんは長嶋氏のレジュメを「とても分かりやすく良い出来」とされていますが、これはマイナスイオンの実態を踏まえていないお粗末な代物です。こんなに偏った貧しい知識を植えつけられる学生は可哀そうです。問題点の指摘は下記掲示板で行っているので、よろしかったらご覧ください。
http://post.messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1835549&tid=a1va5dea5a4a5ja59a5a4a5aaa5sa1w4fbbkbcbc&sid=1835549&mid=2989&n=1

osatoさんのプラズマクラスターイオン機能のエアコンについての疑問も、No.2949で取り上げています。
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出来は良いです。 (OSATO)
2010-02-09 22:07:50
いらっしゃいませ、SSFSさん、初めまして。

リンク先読ませていただき、色々考えさせてもらいました。
SSFSさんのご指摘に対し、その後お二人の方が意見を述べられていますね。私もこの方達と同様の疑問を持ちました。↓
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=5&board=1835549&tid=a1va5dea5a4a5ja59a5a4a5aaa5sa1w4fbbkbcbc&sid=1835549&mid=2989#under-deli
まずabc_wood_abcさんの質問(№2990)に対し、SSFSさんはどのようなご意見をお持ちなのでしょうか?

それと№2949も拝見させていただきました。↓
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=5&board=1835549&tid=a1va5dea5a4a5ja59a5a4a5aaa5sa1w4fbbkbcbc&sid=1835549&mid=2949
率直な感想ですが、何か私のエントリーを誤読しておられるように思われます。
>文句をつける前にもうひとがんばりすべき
とか
>その辺ももうちょっと調べれば分かること。
あげくの果てに
>途端にふだんの思考ペースが狂う人
>先入観にとらわれた居丈高な物言いは慎んだほうが身のため
などと大変侮辱的で失礼な言い方をされておりますが、思考ペースが狂っている人はどちらでしょうか。
このエントリーは【メーカーの説明不足】を指摘したもので、私が知っているいないという事はまるで関係ありません。
「除菌イオン」や「マイナスイオン」の事、ユニット交換の事などを、【メーカーは】知っているのかいないのかという事を問うているのです。

先入観に捕われていると、まるで違う読み方をしてしまうという良い見本となっていますね。
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