読了 『ブラック企業世にはばかる』

2010-05-18 00:20:01 | 読書ログ
読了しました。まぁこんな本を読んでいる場合ではないのですが、
この手の本はつい自分と重ねてしまうので買ってしまうのです・・・。

なぜわたしがこの本を書かなかったのか?わたしこそが体験者としてこのような本にふさわしかったのではないか?そう思いました。

”ブラック企業”という言葉が存在するのは良いことです。
言葉があることで理解することができるからです。
ネット検索するとブラック企業を見分けるサイトがいくつかヒットします。よい子はきっと検索してください。

この本ではブラック企業がいくつかタイプ分けされています。

1)肉食系ブラック企業 (IT下請け) → 新卒使い捨て 
2)草食系ブラック企業 (大企業の研究助手派遣社員など) → 成長のチャンスを奪う
3)グレー企業 (エリート企業内の過激競争&激務) → 弱肉強食

著者が指摘するように、ブラック企業と言えども、社会に必要な仕事であることは
否めません。

ブラック企業のブラック企業であるゆえんは・・・

それは職務内容・・・ポータビリティがない。スキルとならない。
いくら長く経験しても実績とならない仕事を続けるのは困難な
ことです。最近も、職責に対してオーバースペックであるのではないか?と思える若者から相談を受けており、日本社会に必要なのは
適材適所を可能にする”流動性”であると思いました。

才能をあまらせ腐らせている人が多すぎる。

わたしのよく知るIT業界では、下流工程、あるいは、保守地獄、下請けのデスマーチは
全部”尻拭い”の敗戦処理 です。尻拭いが発生するのは、カンタンに
言えば、その上の部分が、「頭悪い」からです(笑)不適材な人が
上流にいるっているだけのことです。

大企業では草食系ブラック職場が多いです。
例えば、わたしがいた開発部。わたしは研究所へ移籍しましたが、研究補助扱いでした。しかし聞こえの良い会社であれば誰もブラックとは思わない。

一体なぜわたしのような門外漢が入れたのか?それは開発といえども、実際に
やることは地味な作業の連続であり、新卒採用を控えた結果、地味で下積みに
しかならない作業をやる若手がいなくなったからです。まぁそれまでが贅沢にも
そんなつまらない仕事にも大きな給与を払えていたんですね。

わたしがラッキーだったのは、周囲にはそういう事実への後ろめたさがあり、
限界がある中でも私の才能を引き出す仕事をなんとか探してきてくれたことです。

まぁ元が特に要求度が高くない仕事ですから、他の分野へ食指を伸ばすことを
嫌がらない職場であれば、スキルアップは図れますが、正当なる対価を得れるとは
いえません。安い給与で高い給与の人以上のことをやる不公平感には目をつむる。
というのも組合が強すぎるために首にできない何も生み出さない、
不良債権化した無能者がそれこそわんさかいるからです・・・

わたしはその後仕事で独立したものの立ち行かず、肉食系ブラックへ行きました。
肉食はまぁ使い捨てそのままです。肉食系ブラックでは、もっとひどい肉食から
移ってきた人はマシな分だけ耐性があり、また他に行くところがない、という理由で
人が残ります。ありえない若い人がリーダーで当然上手く回らず、さらに人の
使い捨てを加速させる。ただわたしはこうした職種は、キャリアには
ならないことを分かった上で、キャリアが必要でない人がやるべきだと
思いました。

ブラック職場でも仕事ができた人の”上がり”は一見勝ち組のグレーゾーンブラック企業です。
月の労働時間が230時間・・・年収700万円。でも、寝ないで仕事していますから。

振り返ればあの当時の激務で流産を何度かしていたような気がします。
婦人科系の疾患を指摘されるようになったのはこの頃からです。

■ 人間らしい生活

ごく普通に誠実に仕事をして、ごく普通に人間らしい生活が送れる・・・そういう職場はないのでしょうか???

わたしの出した結論は・・・「ない。」です。

いや少なくとも私の労働者としての寿命がきれる前に日本社会が変化することは
期待できないでしょう。

まぁわたしは女性なので、逃げ場は確保した上での”戦場”です。

途中、正社員として努めるのならさぞ良かろう、という休戦地、外資なども数社経験し、
労働と富の偏在を見ることができたからまぁいいのです。わたしの場合、飽きやすい性格なのであえて職場を変えていた部分もあります。

というのもわたしのモットーは職場に生活をあわせるではなく、生活に
職場をあわせるだからです。

生活に合う職場がないのならば、不本意とはいえ、早期リタイヤ(笑)。

これは女性ならではの特権です。女性にしかできない生き方といえばそうでしょう。経済的には男性でもできると思いますが、まずは
社会が許さないでしょう。男のプライドも。

しかし・・・男性は大変ですね…。

わたしは職場でどうみても私自身より仕事を処理する才能に劣った男性達の
必至な姿を見て、気の毒に感じました。実はイジメなどにもあったことがあったのですが、子供が2人いると聞いて反撃する気持ちを失いました。だっていくらもらっているかなんかわかっていますもんね。

彼らは女性のようにセーフティネットがないのです。
こういっては何ですが、有能な大卒女子がちまたの浮浪者をめぐり巡って増やしている…という可能性は否めない。もし職の数にかぎりが
あるとすれば、順番に割り込む人がいれば下のほうからあぶれるのは
当然です。

有能な女性にラクに稼げる仕事を取られた男性はデスマーチだろうとなんだろうとやるしかないのです。

今現在、仕事を愛し、多少の(多大な・・・)残業も”仕事への愛”で乗り越えている
夫にとっても、なんだか限界は迫りつつあるような気がします。

これが・・・この15年でわたしが見てきた日本社会。

一体わたしはこれからどんな社会を垣間見れるのでしょうか・・・?



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