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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第十七話part3

2024-10-09 02:48:55 | 日記
 ザザー、ザザー
 
 そんな波の音が聞こえる。はっきりいってスクール水着といっても、脚は丸出しだし、腕だってそうだ。女子はあんまり気にしないけど、脇とかが野々野足軽の視線を吸い寄せる。もちろんだけど幾代の脇には毛の一つもない。
 
「んんー!! ほらほら、足軽も寝転んで! ほらほら」
 
 上半身だけ起こしてそんな風にいってくる幾代。ねじれた体のラインが煽情的に見えてしまう足軽。とりあえずちょっとそっぽを向いて「そ、そこまで言うなら」――と言う感じで同じように砂に背中をつけた。すると足軽の目に広がるのはスカイブルーの空。実際空を飛んでる足軽である。普通の人では絶対に観れないような光景を普段から見てたりする。
 
 けど空からみる水平線と、寝転んでみる視界全ての空はやっぱり違った。まるで吸い込まれそうな空だ――と思った。
 
「どう? 都会の空とは違うでしょ?」
 
 いつの間にか幾代もまた同じように寝転んで空をみてた。
 
「そう……だね」
 
 とりあえずそんな風に言っておく野々野足軽だ。都会の空は狭いとかいうが、空を飛べる足軽はもうそこらへん超越してる。けどこれだけ澄み切った青はやっぱり珍しい。それには感動してる。だから否定はしない。
 
「ごめんね」
「なにが?」
 
 いきなりの謝罪。それが何に対してなのか足軽にはわからなかった。だから普通にそう返した。
 
「怖い思い……させちゃったなって。小頭ちゃん夜とか泣いてない?」
「そんな繊細な奴じゃないから。そこまで心配する必要なんてないって」
 
 確かにあのコケシみたいな靄と出会った夜は寝つきはわるかった。でもそこは足軽である。力で無理やり楽しい夢を見せて寝せた。その間に外に行ったわけだからな。途中で起きられても困るから、かなり楽しい夢を見てたはずだ。実際何を観てたのかは野々野足軽も知らないが、幸福を感じるような夢を見るようにサイコメトリーで気分よくして力を使って睡魔を呼び起こしたのだ。そして結界で外の音を完全に遮断。
 それだけやったのだから、熟睡だった。まあほぼ意図的だが。でもその次の日からは目覚めがよすぎて嫌な事はさっぱり忘れてるようだった。
 
「そっか……まあ確かに……」
「確かに?」
 
 なんで幾代がこれだけの情報で納得できたのか、ちょっと疑問に思った足軽。
 
「いや、ほら小頭ちゃんと今日も元気だったし! でしょ!?」
「それはそうだな」
 
 なるほど、確かに今日の様子的にはもう何かに怯えてる……なんて言えないだろう。めっちゃ満喫してるし。
 
「でもよかった……うん、本当に……」
 
そういう幾代の横顔を盗み見する足軽。そして思う……
 
(今じゃないか?)
 
 とね。だってなんか雰囲気がいいのだ。今なら勢いで行けそうな気が足軽はしてる。


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