『もうすぐ……もうすぐだ……』
そんなブツブツと言いながら彼はモニターと向き合ってた。近くにはなんか変な生物が虫かごくらいの檻に入ってた。
それは下半身が蛙の様な猫みたいな生き物だったり、人の脚が生えたムカデだったりだった。はっきり言ってめっちゃ気持ち悪い。なにせムカデとか全ての脚にムダ毛がある男の脚が全部に生えてるからね。
それがうねうねと動いてるのだ。はっきり言って直視できない。私は必死に自分の綺麗な脚を思い浮かべて今見た光景をかき消すことにした。
すると……だ。
『クソ! クソ!!』
そんな事をいって彼が机たたき出した。そしてそれはどんどん激しくなっていく。すると檻が揺れだして、気持ち悪い生き物たちがギーギー騒ぎ出す。
『なんで! どうして! 俺は……俺は天才なんだ! そのはずだ!!』
暗い部屋……そのディスクの周りだけが浮かび上がってる様な……そんな部屋には彼しかいない。周囲には他にも誰かが使えるような……そんな機材があるわけだけど、全ては乱雑におかれた荷物でいっぱいで、彼以外がいるようにはみえない。
前はもっと活力に溢れてたように思える彼。けど今や……彼はたった一人こんな場所でひたすらに研究をするしかなくなってるようだ。こんな場所でずっと籠ってたら、それこそ精神だってどんどん落ち込んでいくだろう。
でも私には何もできない。だって私は……ただこの映像をみてるだけだから。
ザザーー、ザザーー
癇癪が収まったのか、はぁはぁと荒い息だけが聞こえてた中、そんな機械の音が聞こえてくる。そしてこんな事をが耳に入ってきた。
『――れより――無限航行――可能――の功績を称えて――受賞式が――ください。――この盛り上が――』
そんな言葉か聞こえた。途中からその声を食い入るように聞く彼。体が震えて「おおお……おおおおお」と変な声が漏れでてる。そして次の瞬間、彼は部屋から飛び出して走り出した。
どこに向かうのか……わからない。部屋の外にも誰もいなく。建物の外も誰もいない。けど遠くに街の喧騒が見えた。彼は近くにあったバイクの様な見た目……けどタイヤはない、そんな乗り物にまたがろうとした。けどその時に、なんか黒ずくめの連中がやってくる。
その中の一人が指示だすとそいつらが彼の両肩をガシッと持ち上げる。当然抵抗するが……それは無駄だった。彼はその黒ずくめの連中に連れていかれることになった。
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