何故か……そう何故かわからないが、あの扉から出てきた上半身だけの化け物はさっきまでは普通に頭が上……つまりは空にむかってたけど、何故なのかいきなりくるっと上下を反転させた。そしてその手で何故か砂を踏みしめて体を支えてる。髪や腰の布はそれでも自然に逆らって、上へと伸びてた。
いきなり変なことを仕出した化け物。一体何故に? と思ってもその応えはきっとやつしか持ち合わせてないのだろう。扉からだってちゃんと頭が上になって出てきたのに、それなのになんで今さら……あんな……
この状況で一番早くに動き出してたのはネナンちゃんだった。砂に手をついた。その場所から、植物がもりもりと生えてきて、上下逆さまのあの化け物へとからまっていく。その体に対して、とても細い腕……その腕へと植物は成長しつつからまっていく。さらにはその体全体を包み込むように、大樹へと成長しつつある木がその姿を遮ろうとしてる。
もしかしたら街を囲んでたドームのようになってた植物がさっきの化け物の髪で壊されてしまった。そのせいで外が見えるようになった街の人達にアレを見せたくないのかもしれない。
確かにあれはかなりのインパクトがある。町の人達の不安を増長させないためにも必要かもしれない。なにせめっちゃでかいやつが上下逆さまで存在してるんだ。でも実際、ネナンちゃんの力ではヤツを縛る……というのは難しかった。それは体を覆ってた大樹もそうだし、その体を拘束するためにその体に巻き付いてた植物もそうだ。
まずは大樹がスパッと一瞬で切られた。その髪の毛でだ。そして蔦は普通にブチブチとその動きだけで引きちぎってる。やつはその手で動き出す。逆さまになって手で歩き出す。つまりは逆立ち歩きだ。鬼はその髪に絡め取られてる。無数にある髪は、近くの人達にも襲いかかってヤバいことに……救いなのはあれがかなり大雑把だから、あの化け物にとって小さな存在である自分たちにはある意味で当てるのがむずかしそうだってことだ。
いや、そもそもがまともに狙って無いのかもしれない。それに対して鬼は大きい。あの化け物の攻撃を受けるのに丁度いい大きさ……といっていい。だからその髪の大半は鬼にむかってた。
けど髪をどうやらこの化け物はG-01殿へとの向けることはない。どういうことなのかはわからないが、その体を直接むけてる。
ズウン――ズウン――
と間抜な形で進んでいく。それに追いすがる様に自分は進んだ。鬼が囚われてる今、あの化け物を止められるのは自分しかいない。ネナンちゃんも奴の狙いが分かったのか、なんとか植物で防ごうとしてるがそれらは髪の毛で一蹴されてる。
そんな中、何人かの腕の覚えのある人たちが果敢にもあの化け物へと挑もうとしてる。ネナンちゃんが育てた木々は確かに潰されるが、それでも残ってるのもある。それをうまく足場にして、身体能力をかなり強化してるその人達は比較的近くなってる化け物の頭へと狙いを定めて動いてるようだ。
実際逆さまだからこそ、頭までまだ届くかもしれない。その可能性があるんだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます