「これは……」
チャンスかもしれない。そんな風に思った。一体どうやってこの状況を収集したらいいのか……それをずっと自身の部屋の中から見てた野々野足軽は考えてたのだ。
自分が姿を現すわけにはいかない。それは絶対だった。それこそ野々野足軽だって年頃の男の子だ。この騒動で活躍してるアンゴラ氏や、桶狭間忠国みたいにこんな風に格好いい活躍がしてみたくないか? といえば男の子だからないとはいえない。
カメラにとらえられつつ、その格好いい姿を全世界へと公開している二人。あれはきっとこの騒動が終わってもばっちりと活躍してしまってる彼らは草陰草案に続いて話題になるだろう。
まあ桶狭間忠国は不思議な力を使ってる訳じゃない。人間離れした腕力とか披露してるが……それでも明らかに力がある……とは言えない。そんな描写しかないだろう。
けどアンゴラ氏は確実に『普通』じゃない。なにせチョコやガムが弾けたり、爆散してたりするんだ。それに空中に浮いたりもしてるしね。そして極めつけアンゴラ氏の肌に浮いてる模様。明らかに何かある……みたいになってる。
すでに彼らの活躍は全世界へと配信されてしまってる。この戦いが終わったら、それこそ『英雄』とかそんな風にたたえられる事だろう。
「羨ましくなんて……」
そんな風に呟く野々野足軽。彼はその力を使って自分自身の目で捉えてる映像のほかに、手元のスマホで今まで配信されてたそのチャンネルを表示してた。
今はいきなりあの悪魔のような女性に憑りついてた悪魔が拡散させた靄のせいで何も見えなくなってる。それのせいで、コメントでは「どうなった?」「なんも見えねーぞ!」「なんだよこれ!?」――とか沢山のコメントが溢れてる。
皆さん、どうなったのか知りたいんだろう。きっと完璧な勝利の光景……そんなのを皆は期待してる。でも何も見えなくなってるからこそ、今がチャンスだ! と野々野足軽は思ってる。だってアンゴラ氏、桶狭間忠国、そして草陰草案の活躍によって、なんとあの女性の中にいた悪魔が露出した。
どうやって引きはがせばいいのか、それかあの女性の中からどうやって引きずり出そうか? と頭を悩ませてた野々野足軽だ。それを彼らはかなえてくれた。
それに今はカメラもこの通り……何も見えなくなってる。
(今しかない)
そう思って、この瞬間野々野足軽は一気に介入することを決めた。
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