「どういう……くっ!」
疑問を持った俺だが、休む暇はなかった。なにせ砂獣は次から次へとくるんだ。けどおかしい。だって空から落ちてきた何か……は有限だったはずでは? あれだけの砂獣が既に群がったんだ。すぐにその肉とかなくなってもおかしくない。けど、今まさに来てるやつら全てが強化されてるように見える。
とりあえず混乱してても、食われるだけだ。武器はないが、俺の拳はこいつらにも効く! その思いで「おらああ!!」と再びなぐる。
ぼきっ――
そんな音が頭に聞こえて来た。勿論だけど、アリ型の砂獣は吹っ飛んでない。奴の甲殻にぶつかった俺の拳がおかしな方向に曲がってるのが見える。そしてそれを理解したらジンジンとした痛みが……うざったいように頭をふって俺を吹き飛ばすアリ型の砂獣。上手く着地したが、殴りが効かなかったことに混乱する。いや、普通は効かないんだが……でもさっき効いたじゃん!? なんで今回は効かないんだ? わけがわからない。
そんな事を思ってると俺に殴られた砂獣が迫ってくる。武器はないから、結局は殴る蹴るしかない。
ぐっ――と思わず利き手である右拳を握りこむ。すると、そこに痛みはなかった。さっき確かに折れてた筈で、痛みだってあった。あれが妄想とか勘違い……なんてことはない。けどなんと、俺の拳はいつの間にか治ってた。どうやら聖女・ミレナパウスの力が働いたらしい。彼女の魔法はきっと無差別にこの戦場にいる仲間たちを片っ端から回復してるんだろう。だから俺の骨折も綺麗さっぱりに治ってる。
ありがたいことだが……怖くもある。だって逃げることも……それこそ死ぬことも許されてないのだから。
『戦え』
――と脅迫されてるみたいな感じだ。まあそれで恐怖を感じてのは俺くらいのようだけど……彼女もそうだけど、皆は戦い続けられることがありがたいみたいだ。俺もただ死ぬのは嫌だ。そもそもが死ぬのは嫌だが……けど人間、強制されるとやる気がそがれるというか? 勉強しろと言われるとやりたくなくなるタイプが俺である。まあけど、この戦いでは流石にそんなことを言ってる場合ではない。だからそういうモヤモヤを全て砂獣にぶつけてぶっ殺すのがいいのだ。
「そういえばさっきは色々と拳に込めたかもしれない……」
そして折れたときは適当に打ってた。慌ててた。それが悪かった? だから俺は自分の内側に意識をもっていく。そして内から湧き出る怒り……それを拳に乗っけるイメージをもって、そして迫ってくるアリ型の砂獣にる打ち込んだ。
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