こんにちは。祖父江です。
本記事は先日公開したリアル脱出ゲームOの解答・解説記事です。同記事のネタバレを含むので「自力で解きたい!」という方はこの先を見ないようにお願いします。
ちなみに本家のリアル脱出ゲームの脱出率は10%程度のようです(出典)。けっこう低いんですね。ですがたぶん本家ほど難しくないですし、制限時間もないですし、何よりオリエンティアの皆さんは知能レベルが高いと思うので余裕でポストから脱出されてしまっているかもしれないですね。
△→1
問題
いわゆる「論理パズル」ってやつですね。嘘つきと正直者がいるというよくあるパターンです。この先の問題にはなんらかの「気づき」が求められますが、1問目のこれに関しては論理的に考えるだけで解けます。
この問題を考えるにあたって嘘つきの人数が分からないのというのが少々厄介です。そのため静の発言の正誤を軸に考えるとうまくいきそうです。
ということで静が正しいことを言っているパターンと間違ったことを言っているパターンとで場合分けをして考えてみます。
まずは静が正しいことを言っているパターン。ここでは正直者を〇、嘘つきを×で表しています。
次に↑の各パターンで矛盾が生じていないかを考えます。
たとえば一番上のパターン。霧の発言が正しいため1ポは建物の角、芽依の発言が間違っているため1ポの円の中には植え込みが描かれておらず、美音の発言も間違っているため1ポはスタートよりも北になります。ここで全ポを見てみると以上の3つの条件をすべて満たすコントロールはありません。よって矛盾しています。
同じように真ん中のパターンと一番下のパターンでそれぞれ該当する条件をすべて満たすコントロールが無いかを確認してみると......ありません。つまり静が正しいことを言っている場合(=正しいことを言っているのは2人)は適切ではありません。
では次に静が間違ったことを言っているパターンを検討していきます。正しいことを言っているのは2人ではないため①残りの3人全員が正しい②3人のうち1人正しい③3人全員間違っている、の3条件を検討します。先ほどと同じように表にまとめるとこうなります。
先ほどと同様にそれぞれのパターンで該当するコントロールが無いかを検討します。ちなみに真ん中3列は静が正しいことを言っているパターンの検証と同じ条件なので今回は無視できます。一番上では該当するコントロールが存在しないため正解は一番下のパターン...全員が嘘つきのパターンとなります。何も信じられませんね。
ということで1ポは建物の角についておらず、円の中に植え込みの記号が描かれていなくて、スタートよりも北にあるコントロール......つまり50番になります。
【別解①】
近所のスーパーまで歩いている時に別のアプローチを思いついたので紹介しておきます。
この問題では霧、芽依、美音の3人の発言それぞれの正誤の組み合わせによって正解コントロールの条件が決定されます。したがって「建物についているかどうか」「円の中に植え込みがあるかどうか」「スタートよりも北かどうか」の3条件の組み合わせ8パターンそれぞれで成立するコントロールの有無を確認すればいいわけです。
まとめるとこんな感じ↓
そして3人のうち2人が正しいことを言っている場合、静が正直者の場合正直者が3人になってしまい、静が嘘つきの場合も静の発言が正しくなってしまうので矛盾が生じるため不適。よって全員嘘つきのパターンの50番...となるわけですが、この表を見るとコントロールを1つに絞れるのが一番右だけなのでそれで分かってしまいますね。
嘘つきの人数を最後に考えるという逆転の発想かと思いきや薄っぺらい感じで終わってしまいました。
【別解②】
別解①の説明を書いている途中によりシンプルな手法を思いついたので書いておきます。なお、これは正解が一つであることを前提とした考え方なので人によって好き嫌いが分かれると思います。
ここでも「建物についているかどうか」「円の中に植え込みがあるかどうか」「スタートよりも北かどうか」の3点がポイントです。
まずは8つのコントロールをスタートより北の4つと南の4つに分けます。
南の4つのうち36番と46番は「建物についていて」「植え込みは無い」。よってこの2コントロールは3人の発言の正誤がどんな組み合わせであっても区別できません。
また、41番と44番は「建物についておらず」「植え込みがある」。よってこれも同様に区別できません。
北の4つについては33番と38番と49番は「建物についていて」「植え込みがある」。よってこの3つも区別できないです。
つまり8つのコントロールのうち50番以外のすべてのコントロールには別の区別できないコントロールが存在することになります。この問題の正解が1つであれば区別されないコントロールが正解のはずがないため50番になります。
ちょっとずるいですが4人の発言の正誤を判断することなく正解にたどり着きました。これなら脳内だけで解くことができそうですね。
意外と作意以外の解答手法がありました。この他にも「自分はこう考えた」というのがあれば教えてほしいです。
ちなみに登場人物の名前は筑波大学体育会オリエンテーリング部発行の地図の副題から取っています(「森を駆ける恋人たち'15 ~桐~」「森を駆ける恋人たち'17 ~茗~」「森を駆ける恋人たち'15 ~嶺~」「那珂川 ~静~」)。気付いたでしょうか?気付かれた方は相当な筑波大OL部マニアですね。賞賛に値します。
1→2
問題
1ポについている画像
1問目から一転、謎解きあるあるみたいな問題です。ある程度謎解き経験を積んだ人間は問題の枠を見た瞬間、「あー五十音表ね。はいはい」となります。しかし問題冊子の状態ではどの文字を拾えばいいのかが分かりません。ヒントとして方角と数字が書かれていますが、どこから始めるのかが分からないですし、北がどっちかもわかりません。そこで1ポについているヒントの登場です。
1→2のレッグなので当然1ポからスタートします。そして1ポは五十音表の「つ」にあります。ここで地図上では五十音表の枠が180°回転していることに注意です。あとは指示通りに文字を拾うと...
上の画像のように「と」「や」「ま」を拾うのでできる言葉は「富山」。都道府県なので38番が正解です。
先述の通り五十音表自体は謎解き界隈ではよく見かけるギミックです。そこにオリエンテーリングらしく方角を取り入れたいなと思って作ったのがこの問題です。カナを拾うのに八方向しか使えず、かつ移動するマス数が程よくばらける言葉がなかなか見つからず苦労しました。
2→3
問題
2ポについている画像
2ポについているヒントで仕掛けに気づいた方も多いのではないでしょうか。上の4つの点は、0~9を表す点のいずれかがイエロー・シアン・マゼンタに塗られたものを重ねたものになっています。上記の3色を混ぜると黒色になります。イエローは左上のみなので1、シアンは左上と左下と右下なので8、マゼンタは左上と右上なので3です。したがって下の式は「18+31」となり49番が正解となります。
4つの点の左上が黒であることや下の記号の色がシアン、マゼンタ、イエローの3色であることから気づけるのではないでしょうか。
タイトルをつけるとしたら「混色点字」ですかね。オリエンテーリングでは地図をカラーで印刷することもよくありますから皆さんもプリンターのインク等でCMYKには慣れ親しんでいることでしょう。ちなみに数字と●の対応は一般的に使用されている点字と同一です。
3→4
問題
3ポにあるヒント→(日本スプリントオリエンテーリング地図図式)
4問目はスケルトンパズルのようなものです。6つの記号をどうにかして3文字の何かに変換し、枠に入れるということです。そこで登場するのがJSSOM2007。各記号と対応する番号をJSSOMから見つけます。すると主曲線は101、湧水点は313、スタートは701、開けた土地は401、舗装区域は529、目立つ人工特徴物は539か540となります。この6つの数字を枠に入れることになります。あとはそれほど難しくないです。左上のマスだけ一番上の桁どうしが交差しているのでここには529と539 or 540が関わってきます。横向きの方は2桁目が別の数字の一番上の桁と交差しているため539 or 540、縦向きに529が入ります。300番台は313しかないので仮に539だったとすると313と交差する数字が無くなってしまい不適。あとは自然に埋めていくとこうなります。
△のマスは4、〇のマスは1なので41番が正解です。
ヒントの形式が変わって急にJSSOMが出てきたのでビックリした方もいるのではないでしょうか。当初の実際に学内で設置して行うプランの時には次の画像をフラッグに貼ろうと思っていたのですが、あまりに露骨で正直これは無いと思っていました。
そして今回Web上での公開となり「JSSOMのリンクを貼ればよくないか?」と気付いたためこうなりました。そしてこのゲームでの「コントロールの移動にリンクを使う」という手法はここから思いつきました。間違いポストのリンクを踏んでイラッとした方がいましたらお詫び申し上げます。
4→5
問題
4ポにあるヒント→(コントロールに関する規則)
ディスクリプション謎です。ちなみにこれはオリエンテーリング競技をそこそこちゃんとやっている人ならヒントが無くても十分解ける問題だと思います。「それぞれの記号がなんらかの文字と対応しているんだろうな」と気付けばあと一歩です。
この問題で注目するのはそれぞれの記号がコントロール位置説明表上でどの位置に記載されるのかということ。要するに「D欄」とか「F欄」とかいうやつです。これでもうお気づきの方もいるのではないでしょうか。
「頭」を表している4つのコントロール位置説明記号を見ていきます。
1つ目の「有人」はH欄、2つ目の「植物の茂っている」はE欄、3つ目の「コントロール番号」はA欄、4つ目の「きれつ」はD欄です。1文字目からH,E,A,D欄。これが「頭(=HEAD)」を表すということでもうお分かりですね。
同じように「顔」もそれぞれF,A,C,E欄に記載される記号で構成されています。
そして問題となっているのは1文字目から「コントロール識別番号」「コントロール番号」「南東のふち」「下」「コントロール番号」「北の突端」「深い」でそれぞれB,A,G,G,A,G,E欄に記載される記号です。つまり正解は「BAGGAGE(荷物)」となります。
マニアックな記号を多めに使ったので、これを機に覚えましょう。役立つかどうかは知りませんが。
ちなみに他の選択肢にも一応想定した(?)英単語があり、野菜は「CABBAGE(キャベツ)」、包装は「PACKAGE(パッケージ)」、楽器は「BAGPIPE(バグパイプ)」です。想定と言ってもただ文字数が同じで語感が似ているだけですが。
仕様上A~Hのみで構成されている英単語しか使用できません。最初に思いついたのはBEACHでした。次に思いついたのはHEAD。どちらも出題用にはイマイチな感じがして、単語出しには時間がかかりました。最終的にBAGを思いつき、BAGGAGEでも成立することに気づき落ち着きました。しばらくしてCABBAGEも思いつきましたがそれは誤答用に。A~H縛りで単語を思い浮かべるのはけっこう楽しいので皆さんもやってみてはいかがでしょうか。
この5問目、最初からデフを使った謎でしたが3月時点ではもっと酷いものでした。後でもっと良いアプローチを思いついたら差し替える枠だったのです。アドベントカレンダーの記事にするにあたってオリエンテーリング関連の謎の例題を考えたときにこれを思いつき、半年以上の月日を経てようやく良い感じの問題になりました。
5→6
問題
最終問題はノーヒント。今までとは毛色が違います。
ノーヒントと言ってもヒントはあります。「それはノーヒントではないのではないか」というツッコミは置いておいて、いくつか作意として気になってほしい点を挙げます。
①「バックアップラベル」が強調されている
②これまでの問題には右下にユニットが描かれていた。
③これまでのユニットには針を表す点が描かれていたがこの問題では描かれていない。
これらに気づくと「バックアップラベルに何かあるんだな」と思うでしょう。
ここでバックアップラベルについて少し考えてみましょう。バックアップラベルは皆さんご存知のように、ユニットについている針がパンチ時に特定の場所に穴を開けることでEカードが動作していなくても通過証明を残すことができるというシステムです。5ポ終了時点でのバックアップラベルの状態は、5ポまでの針の位置を見ればわかります。これまでの5つのコントロールを重ねてみると次のようになります。
そしてこの●の並び、どこかで見たことがありませんか?
そうです。3問目の混色点字謎です。3問目で使用した点字を確認すると左側は4、右側は9。したがって正解は49番となります。
このバックアップラベル謎は点字謎を思いついたときに思いつきました。オリエンテーリングならではの要素を無理なく入れることができて気に入っています。
すでに解き終わった問題が伏線となって解く手掛かりになるというのはリアル脱出ゲームあるあるです(要出典)。
ちなみにこのユニットのイラストはOpen Orienteering Mapperで描きました。OOMは無料で使える地図描画ソフトで、僕はOCAD課金をしていますがお絵描き時にはよくこっちを使っています。EMITのロゴっぽくデザインされたペンネームの「USBe」はなかなかいい感じです。
ということで長くなりましたが解答解説編は以上になります。
最後に、遊んでいただいた方はアンケートに回答していただけると助かります。難易度設定は適切だったか等今後の参考にしようと思うので、自力で全部解けた方もそうでない方もよろしければご協力お願いします。
質問数が少し多くなってしまいましたが、5分もあれば回答できると思います。
以上で「リアル脱出ゲームO -解説編-」は終了となります。長文となってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。