オレンジな生活のろくでもない生活

サッカーとかその他諸々に関する日々徒然の感想をダラダラと綴った日記、のはず。

横浜vs磐田で思ったこと。

2004-09-15 12:59:54 | 雑録帳
ジュビロは今週の相手は横浜で、来週の相手は鹿島アントラーズ。そして横浜を相手に3失点と完敗を喫して宿敵といえるアントラーズと戦う訳で。ん、どこかで見たことがあるぞ?このシチュエーション。というわけで、デジャブに対する回答がアップロードした映像。

このシーズンのACミランはリーグ折り返し後の後半戦にサン・シーロでユベントス、インテルとやはり宿敵と呼べるチームを相手に連戦している。

結果は6-1、3-0という屈辱的なスコア。ちなみにこのシーズンは「世界最高のリベロ」フランコ・バレージのラストシーズンになっている。ユベントス戦ではそのバレージが当時ユーベで売り出し中の若手だったクリスティアン・ヴィエリのパワーとスピードでぶっちぎられてゴールを決められる象徴的なシーンがあった。(久しぶりにそのシーンを見たけど、はじめて見たときの衝撃といったら無かった。)長らくイタリアとミランのDFを支えた名プレーヤーと、その後のアッズーリ、そしてミランのダービーライバル、インテルで不動のCFとなるヴィエリのほんのわずかな邂逅。

この一昨シーズンにスクでットを獲得しているミランの売り物は、バレージによって統率された鉄壁のディフェンス。タソッティ(後にパヌッチ)、ガッリ(後にコスタクルタ)、バレージ、マルディーニの四人によって一線に並ぶラインディフェンスが押し上げられ、中盤のやはり一線に並んだラインと連動して相手から機械的にボールを奪い取る。基本的な姿勢は昨シーズンのバレンシアと同じかもしれない。違うのはラインの位置。ボールをまず奪うことを前提にして下がり気味のバレンシアに対して、黄金時代のミランは大胆にこれを押し上げる。

DFラインの上げ下げ、オフサイドトラップ、そしてラインをブレイクしてマンマークに移行するタイミング、そのDFの指揮はバレージに一任されていたと言っていい。ミランの全盛期=バレージと言っていいかもしれない。オフェンスの要がオランダトライアングルから天才サビチェビッチや怪人ウェアに移行しても、バレージさえ健在なら、ミランはサッキ時代のゾーンプレスをアレンジして戦うことができた。

セリエAにおいて一時代を築いたミランの4-4-2ゾーンプレス。リーグと時代が違うとは言え、時代を築いたということならジュビロ磐田のボックス型の中盤も同じことだろう。藤田、奥(西)、福西、服部の四人で中盤に箱を作り、攻守に高いスキルを持つ名波をその中央に配する。そして2トップのチェイシングと3バックの押し上げが連動し、相手にスペースを与えず、ボールを奪うとその瞬間に複数のパスコースが存在する。そしてワンタッチのボール回しと耐えることのない周囲のフリーランニングで相手に何もさせずにフィニッシュまで持っていく。

ジュビロの強さの根元は長い間一緒にプレーしていた代表クラスの選手達(つまりお互いが何をやりたいかを知り尽くしている!単純に良い選手がどれだけいるかということではジュビロ並のチームはいくらでもあった。)が高度に組織された戦術で統一されていた、ということになるだろう。

ミランとジュビロの衰退は、構造的にはまったく同じだと思う。サッキによって鍛えられたメンツが徐々に高齢化し、衰えていき、最後にはバレージ衰えが決定打になった。現在のミランにはサッキ時代の戦術は、面影もない。(進歩するサッカーの世界で、同じことをしても意味はないが)

そして肉体的な衰えは、高度な戦術を徐々にこなせないモノにしていき、相互の共通理解を無意味なモノにする。「あいつはあそこに走っているはず」という風に出したパスは、若い頃には合っていても、体力が追いつかなくなり、思考力が追いつかなくなると、合わなくなっていく。ここにパスが来るはずだ、と思って走り込んでも、パスが来なくなるケースだってあるだろう。

ジュビロは、まったく同じメンツで時代を作った。そしてそのチームが若手との入れ替えをしなかった時点で徐々に衰えていくのは仕方のないことだ。単純に一年過ぎれば、メンバーの平均年齢は一歳上がるのだ。

現時点のジュビロの主力で、年齢的に全盛期と言っていいのは唯一福西くらいだろう。奥は皮肉にも横浜に定着。藤田、名波、服部、鈴木、田中、そして中山らは、もう衰えを隠すことはできない。ある意味、ジュビロは全盛期の完成度の高いサッカーを壊すことなく心中していると言っていいと思う。

ジュビロが仮にまったく同じ内容でもう一度時代を作ろうと思えば、「代表クラスの選手達を若い年齢から一緒に数年プレーさせて相互理解を構築する」プロセスが必要になると思う。つまりジュビロの再現はうまくいっても数年がかりの作業になる、ということだ。

そして現在のJにはヨーロッパ型のビッグクラブと言っていい横浜と浦和がある。(名古屋もそのようになる可能性があるだろう。)磐田が再びリーグの強豪として存在することを指向するなら、数年続いた黄金期を作ったときとは必然的に別の方法論を採らざる得ないだろう。「有望な若手」など、金銭の力でビッグクラブに集められてしまうだろうから。

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