11月20日、東京国際女子マラソンが行われた。
高橋尚子選手を注目していたが、レースの前半は、
足の肉離れのこともあり安心して見ていられなかった。
第一グループが絞られた段階でも、まだ勝利については半信半疑だった。
しかしレース後半、場所は神保町あたりか、突如高橋選手がスピードを上げた。
そうでなくても十分速かったが、一気にギアチェンジをさらに力強い走りに変わったのだ。
感動を呼ぶ走りというものを見せてもらった気がする。
この時点ですでに、目頭が熱くなってしまった。
解説の増田明美さんもここから終始感動の語り。
高橋選手は、そのまま水道橋の線路下を風のようにくぐりぬけ、
外堀通りを駆け上がっていった。
そして国立競技場へトップのまま到着、ゴールインした。
高橋選手は一昨年のこの大会で惜しくも2位となり、
大きな目標であったアテネオリンピックの切符を逃がしてしまった。
その後大きなレースには出ず、表向きには走ることを楽しむという形で
陸上に関わってきたようだった。
この2年、苦しさを表面に出さず自分と闘い続けてきたのだろう。
そして走りを鍛えてきた。
ゴール後の会見でもこみ上げるものがあった。
まず、応援の人々や関わり支えた人々への感謝の気持ちを述べた。
次に、陸上を志す人だけでなく、今暗闇で苦しんでいる人に
夢を持ちあきらめないで、というメッセージ。小さな目標でも
一日一日できることを精一杯やりましょう、
という意味のこと、そして、各世代への激励もあった。
うまく再現できないが、この時のコメントで高橋選手の2年間の苦しみは
並のものではなかったことを感じた。
何も見ずにこれだけのことを淀みなくスピーチできるということは
自分を見つめながらも常に公を意識して話し、行動しているためだと思う。
自分のための挑戦がそれだけにとどまらず、だれかに少しでもよい影響を
与えられればという意識は、ひとり立ちしプロ意識に磨きがかかった証拠なのだろう。
苦しみを乗り越えようと努力して人間的に大きく成長した彼女に
またじんわりときてしまった。
国民栄誉賞に相応しく、アスリートとして人としてこれからも成長し続ける人だと思った。
(Qちゃん、感動を与えてくれてありがとう!)