オトシモノ、ヒロイモノ

マイニチの中にころがる
落として失くしそうな物
そんなナニカを拾います

木のはなし

2006-03-18 14:45:49 | おーらノツブゆき
THE GIVING TREE
by Shel Silverstein
ver. ORA

むかし、そこには木がおりました...

木は、ちいさなおとこのこが大好きでした
まいにちまいにち、そのこは やってきて
木のはっぱを集めて王冠をつくり
森の王様ごっこをしてあそびます
木の幹を登っていっては
枝でぶらぶらぶらんこ
りんごをむしゃむしゃ
ふたりはかくれんぼをしたり
そのこがつかれたらこかげでおひるね
そのこも木のことが大好き...
とってもとっても大好き
木はとってもしあわせでした

でも時はながれ、そのこも大きくなりました
木がひとりでいる事が多くなりました

そんなある日そのこがやってきました
木はおおよろこび
『おいで、ぼうや
幹を登っておいで
それとも枝でぶらんこ?
おいしいりんごもあるわ
こかげでゆっくりする?
たのしいことしましょ』
木はいいます
「もう木登りなんてしないよ
ぼくは大きくなったんだよ
買いたい物があるんだ
お金が欲しいんだよ、お金をくれよ」
そのこがいいます
『残念だけどお金はないわ
あるのははっぱとりんごだけ
ぼうや、りんごをお持ちなさい
町で売ったらお金になるわ
そうすればしあわせになれるわ』
木はいいました
そのこは木に登ってりんごをむしり
どこかへ運んでいってしまいました

木はしあわせでした

長い間そのこはやって来ませんでした...
木はかなしい気持ちでした
そんなある日そのこが帰ってきました
木は喜んでからだを揺らしいいました
『ぼうや、幹を登ってきて
枝でぶらんこしましょ
一緒にたのしいことしましょ』
「忙しすぎて木登りなんてできないよ」
そのこはいいます。
「あったかい家がほしいんだ
おくさんと子供がほしいんだ
だから家が必要なんだよ
僕に家をくれるかい?」
『家なんて持ってないわ』
木がいいました
『この森が私の家なの
私の枝を切ったらいいわ
そして家を建てたらいい
そうすればしあわせになれるわ』
そのこは枝をたたっ切り
家を建てる為に持っていってしまいました

木はしあわせでした

長い間そのこはやって来ませんでした
でも帰ってきた時木はうれしくてうれしくて
口をきくこともできませんでした
『おいで、ぼうや』木はささやきます
『いっしょにあそびましょ』
「悲しくて年をとりすぎてあそべないよ」
そのこはいいます
「船がほしいよ
どこか遠くへ連れていってくれる船がほしい
僕に船をくれるかい?」
『私の幹を切り倒して船をつくりなさい
そうしたら遠くまで行けるわ
しあわせになれるわ』
そのこは木の幹を切り倒し
船をつくって遠くへいってしまいました

木はしあわせでした...
でも本当はちがいました

長い時間がたってそのこがまた帰って来ました
『ごめんなさい、ぼうや
あなたにあげられる物を何も持っていないの
りんごはもうなくなってしまった...』
「歯が悪くてりんごは噛めないよ」
『枝もなくなってしまったの
ぶらんこあそびもできないわ』
「ぶらんこあそびをするには
年をとりすぎてしまったよ」
『幹もなくなってしまったわ
木登りもできない』
「木登りするには疲れすぎたよ」
『ごめんなさいね...
何かあげられたらよかったのに
でももう何も残ってないの
今はただの古ぼけた切り株だわ
ごめんなさいね』
「今はそんなにほしいものはないんだ」
そのこはいいます
「静かにすわって休めるならそれでいい
本当に疲れてしまったんだよ」
『それだったら』
木はできるだけまっすぐ背中をのばして言います
『古ぼけた切り株こそがすわって休むにはいい場所よ
ぼうや、いらっしゃい
ここにすわって、ゆっくり休みなさい』
そのこは言われたとおりにしました

木はしあわせでした

photo; "THE GIVING TREE"
今朝Amazon.comから届きました
日本語に翻訳された『大きな木』は有名ですが
自分の言葉で訳してみました...難しいです

応援よろしくお願いします m(_ _)m


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5 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
うぅぅ (東雲)
2006-03-19 02:13:50
優しくってせつないお話ですね

心にしんみりときました
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☆東雲さん (ORA)
2006-03-19 19:27:23
私もコレを生徒に読み聞かせながら涙してしまいました

私の下手な翻訳ですが「しんみり」していただけて嬉しいです
返信する
素敵な翻訳☆ (sakura)
2006-03-19 23:25:17
素敵なお話ですね。

そしてとても考えさせられる…

大人でも子供でも何度も何度も読みたくなる様な。



この本の事知りませんでした。

読みたくなったらまたこのページに帰ってきます。

明日、ヒナタにも読んであげようと思います。

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 (maruko)
2006-03-20 07:27:59
翻訳素敵です

お話も素敵です

「愛」ですね
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原作の勝ち☆ (ORA)
2006-03-20 23:31:29
☆sakuraちゃん

最近とみに思います…絵本は大人のためのモノだと



で、ヒナタはどう思ってくれたのかしら???



☆marukoちゃん

です、愛なんです☆

アタシの翻訳はさておき…

だってオリジナルがすごいからね…

でもシンプルに愛だと思います



※原作では"木"="she"(女性形)で表現されてました
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