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...ヨクノポリス...

おぷちまの愛と読書と物欲の日々。RもしくはX指定

ヨクノポリスという都市

2005-03-24 12:19:44 | ―ホン・モノ・ヲンガク
 夏休みの地下鉄フリーパス「メトロ・ゴーラウンド」を買って、宿題ノートをもったまま姿を消した友達を探すうち、「境界線」という路線に迷い込む。
 その線路が行き着いた先は、勤労・就学・購買の義務でしばられた人々の暮らす「ヨクノポリス」という街だった。夏休みの終わりまでに友達・シンチンからノートを取り返し、もとの世界へ帰らねばと、タケシはヨクノポリスの奇妙な生活をかいま見ながら、都市を支配する秘密へと近づいていく。

 今絶版なのか、これ? ・・二年前にはあったと思うんだが。紀伊國屋書店で見かけたと思うんだけど。単行本じゃなくなってたのが残念だな、と思った記憶が確かにある。
 偕成社から出版されていたこの物語は、直木賞作家の坂東眞砂子の作品で、児童文学である。俺はわりと児童文学が好きだが、この物語はかなり好きな部類に入る。もっともご都合主義的展開は否めないので、そういうのが嫌いな人は読まない方がいい。しかしそこまでの緊張感の盛り上げ方は素晴らしいので、それほど目くじら立てる必要はないのだ。
 この物語で性的方面は書かれていないが、俺のブログもヨクにしたがって書きつくるものぐるをしさであるため、ブログのタイトルはこれ以外ありえないと思った。

 念のため検索したら復刊.コムにタイトルが出ていた。なんてこった。

 挿絵の勝川克志さんのイラストがまた好きで、しかたしんの「妖精戦士たち」も勝川さんの手になる。この本もすごく好きなんだが持ってなくて、アマゾン見たらユーズドであったので近々注文しようと思っている。この本は図書館で読んで一気にはまった。
 図書館はもう蔵書の異空間だね。滅多に行かないのはあるコアタイムを準備して一気に本を読むことがあまりできなくなっているからだが、古い本があるのでその点は非常に助かる。

ちゃうとはっす。ひゃうとはなつ。ざんぶととびいる。ばらりずん。

2005-03-23 10:58:22 | ―ホン・モノ・ヲンガク
 タイトルにある擬音は全て江戸時代の読本『南総里見八犬伝』に出てくる表現である。それぞれ刀の切り結び、弓矢での射掛け、水の飛び込み、袈裟懸けに切る音である。

 江戸時代は職業小説家がでてくる。初めて原稿料をもらったのは山東京伝、そして専業小説家の走りはその弟子、曲亭馬琴といわれている。馬琴は『南総里見八犬伝』という日本一長い(巻数の多い)古典小説をものしているのは有名な事実だが、これを読んでいる人は意外と少ないのではないだろうか。実はこれ、ただ長いからというほかに大きな原因がある※のだが、間話休題(あだしことはさておきつ)、この作品の書きぶりに話をうつす。
 読本(よみほん)という体裁は文字通り読む本であるが、この読むという行為はもともと音読であって黙読ではなかった。だから本文も七五調でテンポがよいのだ。音にだすわけだから擬音も効果的に使用されていて、上はその一例だ。
 使われる擬音は使い回されて種類はそう多くない。しかし、大きなアクションを起こすとき実に鮮やかに使われている。これによって場面に目で見る効果と音を実際に聴く効果の二つを同時に起こさせることが可能になる。
 要するに擬音は大きなアクションをとるときなど、その効果を考えて使用されるのが最も望ましいといえる。

※ちなみにこれは明治期に西洋文化がどっと(擬音)入ってくると、現実性を重んじる風潮が極めて高くなる。見たままを表現する写実性が重要視され、えん曲とか想像させるというもともと日本にあった柔らかい思想はかなりの勢いで攻撃された。
 正岡子規が万葉集を重んじて古今和歌集を滅多切りにしたのはよく知られているが、南総里見八犬伝も坪内逍遙によって袈裟切りにされた。すなわち登場人物についてリアリティがなく、少しも現代人と通うところがないというのである。良い奴はとことん良くて、悪い奴はどこまでも悪い。八犬士は仁義の塊であって悪心がなく、「仁義八行の化物」とまで述べられた。
 こうした評価や社会風潮によって長い間排斥されており、近年徐々に再評価されているのは文学界では常識であっても、巷間に伝わるまでにまだまだ時間がかかる。

The Jetze Johnson『Depth of Layers [Downer]』

2005-03-22 11:36:28 | ―ホン・モノ・ヲンガク
 ザ・ジェッジジョンソンはエレクトロニカのインディーズバンドだが、轟音ギターでボーカルがシャウトまでするという、なかなか冒険的な音楽を持っている。静かな雰囲気の曲がまた非常に繊細でよく、表現力は多彩だと思う。ボーカルの声質がシャウトには向いていないと思うが、歌い方も声そのものも嫌みがはないので誰でも聴きやすいかと思う。
 本作は、去年先にでたDepth of Layers[Upper]の対になるアルバムである。曲を聴いてみると対極に位置するというか、雰囲気がより落ち着いていて音もさらに澄んでいる気がする。かといってただ単に静かなのではなく、お、っとおもうような聞き所がきちんとあって、Upperよりも起伏が激しくないが、同じくらい聴き応えのある作品となっている。個人的にはUpperにあった「OPUS and MAYVERSE」のような一度でツボにはまる曲がないのが気になるが。いや、12曲目「Ridham M trall MIX」これはなんか不思議な雰囲気だな。こういうの好きなんだよな・・。

 メジャーレーベルの方はとんとご無沙汰で、音楽CDもなかなか買うことが少なくなってきた。今日なんぞは残り5千円分買えば満タンになるタワレコのカードが日付読み間違えて期限がとっくに切れていたよ。ぐわー。もう期限切れてますって見せられたから、あまりに驚いて「えっ?」とか聞き返しちゃったよ。手帳にもあと2ヶ月とか書いたのに(つい3日前)。ほかにSwing out Sisterの買ってなかったアルバムも手に入れなければと思っていたのに、ショックでそのまま帰ってきてしまった。

 光陰矢のごとく、月日は百代の過客にして期限は無情にも知らせをよこすことなくくるのだなぁ。

@Tower.jp ダウナーのページ
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=777043&GOODS_SORT_CD=104

ザ・ジェッジジョンソンのホーム
http://www.jetze.net/

アウロラ「オプティマ」

2005-03-22 11:35:38 | ―ホン・モノ・ヲンガク
 イタリアの万年筆メーカ、アウロラ(aurora)は、信頼性の高いモンブランやペリカン、国産メーカを使用してきた人、初めて万年筆を購入する人にも向いているメーカらしい。イタリアのメーカは他にデルタ、ラレックス、オマス、モンテグラッパ、スティピュラ、ビスコンティなどがあるが、結構デリケートかつ不安定で、メンテナンスしないと使えない場合もあるとか。癖があるメーカが多いと言うことなんだろう。自分自身初心者なのでアウロラに決めた。太さはEFで、色はバーガンディ。青か緑でもなかなか個性的でよいかも知れない。ショウケースに入っているのを見ると手を出したくなる綺麗さなんだな。特に緑。
 イタリアのメーカにしようと思ったのは趣味もあるけど旅行に行くんでイタリア製に惹かれた、ただそれだけだ。でも使ってみるともう愛着がわいてしまってたまらん。

 インク補充は吸入式。なのでインクボトルにペン先を突っ込み尻軸を回して吸い上げるというちょっと手間のかかるやり方なのだけど、なんというかいかにも手動式というのがよい。洗うときも尻軸を回して水を吸引したり押し出したりなので、道具を手入れをしているって実感されるのがまた何とも云えない良さなのだ。

 インクはパーカーのウォッシャブルインク。ロイヤルブルーを購入した。水分の多さのためか、インクを詰めた当初はすごく薄いのだが、2日くらい使っていると濃くなってきて安心感が出る。薄いとどうにも手帳の見栄えが悪いというか、見た目が汚らしい感じで好きではないのだけど、ほどよく蒸発させると非常にいい色味になる。人によってはインクボトルのふたを開けっ放しにして水分調節する人もいるようだが、中を洗った当初はまだしも、普段使いの時は自然に蒸発するのを待った方が目詰まりとかインクの変性の心配がなくていいと思う。

 太さ。手帳に書き込む際にはEFであってもかなり太く感じられてしまうので、裏返して使用している。そうするとシャーペンのように細くなるので、手帳なんかではかえって実用的。太さによって手帳への注目度も変わるしね。EFやその裏返しにした使い方にするとインクの乾きが早くていい。Bとか太字になると書き心地はぬるぬる滑っていいのだけど、乾きが悪くてちょっと使えない。太字の乾きを待つほどには度量がないので、EFの乾き時間に心の余裕を持たせたいところだ。

 インクの乾きの問題はゲルインキのボールペン(特に無印)を愛用していたのだけど、これぐらいはやいと感動的なんだよね……でもちょっと待って乾いていくインクの変わり様を見るのがなんか楽しいんだな。生き物みたいでねぇ。

 手入れは買って4ヶ月目に行った。使っていくうちにペン先にインクが沈着してしまってちょっと汚らしくなってしまったのと、インクタンクを掃除しておこうと思ったからだ。毎日使っていれば、インクタンクの中は3ヶ月ほど、ペン先は1ヶ月ほどで洗うのが目安と思う。バケツでも何でも水を汲んで、そこにペン先を突っ込んで尻軸を回す。水が透明になるまで何度でも回す。ペン先だけなら水に突っ込んで素早く振ればそのうちこびりついたインクが融ける。

 手元にある高級万年筆の存在感、使い心地の快適さ、メンテナンスの手触りと手間、インクの徐々に乾く時間。生き物を飼うみたいでなかなかツボにはまるよ。

 男なら高級な万年筆を一本持っていても決して損ではない、かも。

○万年筆の専門店。書斎館で買ったけど、フルハルターのほうがいいかもしれない。
書斎館
http://www.shosaikan.co.jp/
フルハルター
http://members.jcom.home.ne.jp/fullhalter/