松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆視察はなぜ有料なのか(横浜中華街)

2012-08-03 | 1.研究活動
 横浜市へ視察に行くとお金を取られるという。まだやっていたのかというのが率直な印象である。
 これは、前の中田市長が始めた施策で、外部からの視察については、有料で受け入れを行うというものである。「横浜バリュー」という名称がつけられている。お金をとる理由は、「視察対象となる事業は本市が努力を重ねて生み出した独自のノウハウであり、その提供(視察)にも準備を含めて人件費が発生していること」とのことである。
 たしかに努力もしてきただろうし、視察の対応に人件費も発生しているのだろう。しかし、だからと言って、相手からお金を取るというのは乱暴に過ぎよう。
 なぜなら、横浜バリューだって、他都市の成功や失敗を学んで作り上げたものだからである。これは私自身が横浜市にいたのでよく知っている。自分の努力だけで作り上げたというのは、厚顔に過ぎる。
 経済効果といった点でも、これは得策ではないであろう。1回5000円をとることよりも、横浜にどんどん来てもらって、泊まってもらい、中華街で宴会をやってもらたほうが、ずっと大きなお金が落ちる。観光がてらの視察も多いのもよく分かるが、観光がてらならばむしろラッキーである。まちに落とすお金も大きく、上客といえる。
 地方自治の推進という面でもデメリットが大きいだろう。私は、横浜市に入って何度も言われたのが、自治体から国をリードする施策をつくるということである。その方法のひとつが、同じ政策をやっている仲間を増やすことである。自治体は一つひとつは力が弱く、連携してこそパワーを発揮できる。視察は、仲間を増やす良い機会である。そのチャンスをみすみす失っている。
 横浜バリューをはじめることによって、他自治体から見て、横浜市は敷居が高い自治体になった。相談しようとしても「お金をつられるのではないか」とつい考えてしまうのである。視察料自体は大した金ではないが、その視察料を予算化していないから、話が面倒になるからである。
 神奈川県下の自治体職員と研究会をやっているが、以上のような話を聞き、横浜市出身者としては、残念な気持ちになった。
 この日は、そのメンバーと中華街で暑気払いとなった。店は重慶飯店である。横浜市にいたころは、接待で重慶飯店には、何度も行った。接待というしきたりが絶滅し、重慶飯店は、ずいぶんと売り上げを減らしたのだろう。さらに一回5000円という視察料が、横浜市への視察者を減らし、重慶飯店の売り上げのマイナスに、さらに輪をかけたのではないか。出された料理を残さず食べたのは、私ががっついていたからではなく、そんな申し訳ないと思う気持ちからである。ともかく幹事さん、ごくろうさまでした。
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