◇コロナ禍１年・ささやかな楽しみ（三浦半島）

　コロナを心配して、この１年、生活は激変した。ほぼ、毎月のように、でかけていた、温泉はまるで行かなくなった。

　生真面目な連れ合いは、政府の言う通り行った。８割削減である。その余波で、私の仕事も８割なくなった。クレジットカードも、毎月の引き落としが８割減った。政府の言う通り、慎ましく暮らしているが、一向にコロナは減らない。

　全くなくなったのが旅。本来だと、去年の４月は、台湾の東海岸を旅するはずであった。いつ行けるのだろうか。

　そうしたなかでも、夫婦でささやかな楽しみ（至福のとき）を見つけている。ささやかで誠に小さい。

　１．床暖の床にズボンをそのままの形で脱ぎ、ウォーキングから戻ったら履く。
　毎日、うみかぜ公園にウォーキングにゆく。トレーニングウエアに着替えていくが、その際、これまで履いていたズボンを、形のまま、床においておくのである。帰ってきて、床暖で温まったズボンを履く。じんわり暖かい。「コロナ禍の至福のときだ」と、声を発し、二人で合点する。

　２．藤屋の叉焼がたっぷりはいったチューハンを作る。
　ウォーキングの帰りに、藤屋により、叉焼の塊を買う。安くてうまい。私は、１０００円札を握りしめ、「これで買えるの頂戴」と注文する。きっと、お店の人は、「千円おじさん」とあだ名しているだろう。大きいので初日は、厚く切った叉焼ラーメン。圧巻は、翌日のたっぷり叉焼の入ったチャーハン。これは連れ合いがつくる。絶品。「コロナ禍の至福のときだ」と、声を発し、二人で合点する。

　３．いちご大福をつくる。
　ヤマザキの大福をスーパーで一つ買う（１００円以下）。それを半分にして、それぞれにいちごを入れていちご大福をつくる。大福１個を半分にするのは、カロリーである。豆大福一つで２６４kcalもある。大福にいれるいちごは厳選する。とちおとめがよく、あまおうでは、大きすぎバランスが悪い。「コロナ禍の至福のときだ」と、声を発し、二人で合点する。

　４．ゼミ生がZOOMやりましょうと声をかけてくれる。
　極端に若者と話す機会が減った。社会人になった学生が、「先生ZOOMやりましょう」と声をかけてくれる。オッケーと返事すると、満顔のスタンプ。きっと私が、女子大生ロスになっているのだろうと思って、気を使ってくれるのだろう。「コロナ禍の至福のときだ」と、ひとり心の奥で、感謝する。

　５．あら井に行き、ちょっと高めのランチを食べる。
　ミシュランの星がついてるという触れ込みである。衛生管理が徹底して、靴の裏まで、きれいにしてお店に入る。部屋は個室。連れ合いも、ここならばと行く。二人で７０００円強。ランチにしては、ちょっと高いが、たまにはいいだろう。今は、緊急事態宣言でいけなくなったが、落ち着いたら行こう。不要不急とのそしりを受けるかもしれないが、たまには政府に逆らってもいいだろう。

　６．新しいテーマで原稿を書く。
　コロナであっても、コロナでなくても、いい原稿が書けたときは「至福のとき」である。ややスランプが続いているが、人生いろいろ、なんとかなる。