松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆コミュニティ政策研究会(豊中市)

2017-07-03 | 1.研究活動
 久しぶりに研究会に出かけた。

 今回のコミュニティ政策学会では、新城市の若者政策を中心に発表した。大変関心が高く、報告後、何人かから、「いい話を聞いた、ご紹介の本を読んでみるので、また連絡したい」という声をかけてもらった。

 新城市の若者政策は、若者に1000万円の枠で、政策提案できる権限を付与したものである。こうした仕組み自体は、実は、そう珍しいものではない。市民税の1%相当分について、NPOや地域コミュニティが提案できるという制度は、これまでもあったし、私も提案してきた。それを若者に付与したという点が、画期的なことで、若者こそが、公共政策の担い手とならなければ、私たち社会が持続しないと気付いたところが、優れたところである。

 今回のような専門家が集まる研究会において、新城市の若者政策が、注目を集めたのは、これを実際に政策として動かしたゆえである。こうした制度を企画すること(絵にかくこと)は比較的容易にできるが、しかし、それを制度として実現することは、いきなり難易度が上がる。言うは易く行うは難しであるが、これを全国で唯一マニフェストに掲げ、制度化をリードした穂積市長の力量は、さすがと言わざるを得ない(それに呼応した職員集団の力も同時にさすがである)。

 案外、自分たちの評価は、自分たちで気がつかないもので、新城の人たちは、たいしたことがないと思っているかもしれないが、今回のような学会という他流試合に出ると、その意味や価値がよくわかる。大いに自信をもってもらいたいと思うが、まだまだ課題も多いので、油断せず、さらに精度を上げるべく、大いに奮闘してもらいたい。若者政策にかかわった一人として、この日の発表は、とても嬉しかった。

 そのほか、この研究会で触発されたこと
 ①まちづくりにおける名望家は、絶滅危惧種とされるが、その育成、後押しを考える価値があるのではないか。たしかに名望家から、できる範囲でのパート型へ、まちづくりの担い手は変化したが、地域コミュニティの役割がますます高まり、仕事量も増え、質も高まっている中で、これを統括できる卓越したリーダーが必要になる。区民会議のリーダーたちは、こうした「まちづくり」の名望家に当たるが、区民会議のメンバーでいられる、今期中に調査をしたいと思う。

 ②京都大学の吉川和挟さん(京都大学人間・環境学研究科博士後期課程)の「コミュニティにおける政策の受容可能性の形成」は面白かった。空き家対策の補助金を例に、政策となるかどうかの分岐点・限界点を理論的に考えるものである。地方自治論からいえば、地方自治法 232 条の2の補助金の支出基準の問題で、公益性、公平性・公正性、効率性、有効性、優先性、必要性等の要件を満たすかどうかの問題であるが、このテーマをこんなに難しく考えたことがなかった。私たちは、体験や経験から考え、すぐに予定調和的な答え出しがちであるが、若い人は、原理から考えていく姿をみて、気持ちがよかった。大いに自戒し、がんばろうという元気をもらった、吉川さんには、私なりのアドバイスをしたが、大いにがんばってほしいと思う。
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