エナリの名言の裏側

2009年10月27日 | 情操教育・表現教育
5年ほど前、私がお芝居の理論について学んでいるのと同じ時期、
「モダン・ジャズ」というものの存在を知りました。

「モダン・ジャズ」は基本的に楽譜のようなものはなくて、
それぞれの楽器がアドリブ(即興)で演奏して、ひとつの音楽になります。

音楽に疎い私は最初、どうしてそんな方法で曲が成立するのか
さっぱり理解できませんでした。

しばらくして音楽には、「コード進行」とか「モード」と呼ばれるものがあって、
それに沿って演奏していることを知りました。

そういうやり方のジャズだからこそ、
「JAZZには名曲はない。あるのは名演だけだ。」
という言葉が生まれたのだと分かったのです。

次に私が考えたことは、もしお芝居も
「名作より名演」であるのだとしたら、
音楽でいうところの「コード進行」に類するものがあるに違いないということでした。

そして、脚本の登場人物には「なにをしようとしているのか」という目的があって、
それがドラマの基本的な要素になっていることに気付いたのです。

(後にエナリはそれを「フォーカス」と名付けることになる。)

演技の考える際に、「なにをしようとしているのか」ということを
問いかけることは、とても重要な演出であると今でも思っています。


エナリの名言

2009年10月22日 | 情操教育・表現教育
このブログのタイトルが「エナリの教育ER」ではなくて、
「ナカタツの”善は急ぎながら廻れ”」だった時に、
トップページに載せていた私の言葉があるのですが、それは・・・


演劇に 名作はない
あるのは 名演だけだ



というものです。
とは言っても、これはJAZZの名言
「JAZZに名曲はない。あるのは名演だけだ。」から引用しただけです。

(スタンダードな)JAZZは同じ曲だとしても、
演奏する人や、場所によってさえも、出来栄えが変わってくると聞きます。

演劇もそれと同じかもしれないと思って、この言葉を考えました。

基本的にはそれだけの意味なのですが、
実は私的には、もう一つ隠れた意図があります。

それは脚本読解に関わることなのです。

(続く)


豊かな言葉とイメージの世界

2009年10月16日 | 情操教育・表現教育
先月に参加したある表現教育の講習会でこんな話を聞きました。

中世の時代、「語り」を生業とした人達はこんな能力を持っていたそうです。


その人がお話の中で例えば「彼はその花を手に取りました」と言っただけで、
なんの説明がなくても、その花の「色や形のイメージ」を、
ほぼ同じように観客達の頭の中に伝えることができたというのです。


つまり、語りべの強いイメージを、ごく短い言葉に込めて、
観客にストレートに伝える技術を持っていたというのです。


これがもし本当のことなら、まさに驚くべきことですが、
「表現」の本質を示す一つの良い例だと思います。

これは非常に極端な例ですが、
NGAのレッスンでも「説明をしない」ということは基礎になっています。


人間の言葉やイメージというものは、普段考えている以上に、
奥が深く、それでいてシンプルで、魅力的なものだと思います。


さらに、この語りべの例を聞いて私が考えることは、
これはおそらく「聞き手」側にも、
豊かな「感性」があったに違いないということです。


この中世の語りべが、現代の私達に同じように語ったとしても、
きっと私達には彼のイメージが伝わることはないでしょう。

人類には社会と科学が進歩するに伴って、
失った「感性の能力」があったのかもしれません。


それを想像してみることが、価値あることなのかもしれません。


次回春公演日程決定!

2009年10月12日 | 最新ニュース
ニュージェネレーションアタックの次回公演の
日程と会場が決まりました!

N.G.A.第6回公演
子ども創作劇『(タイトル未定)』
日時/2010年3月31日
会場/武蔵野公会堂ホール


子ども達がシナリオから演出まで
自らの力で創り上げる子ども創作劇。
現在、出演者募集中です。乞うご期待!