将棋雑記

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湯村光造作品集32

2024-06-08 18:18:48 | 湯村光造作品集
湯村光造作品集32
21飛、22桂、23飛生、15玉、16歩、14玉、25飛成、同玉、22飛成、24飛、17桂、14玉、36馬、同香、26桂、同飛、15歩、同玉、26龍、同玉、23飛、17玉、28金、16玉、27金、15玉、13飛成、14角、16歩、25玉、26歩、34玉、36香、同角、35香、44玉、33龍迄迄37手詰
山田修司氏の大学解説を引用します。
◇湯村氏は現在の作家のうちでは最古参に属する人。フレッシュな短篇を得意とし一頃は多くのファンを魅了したものである。旧パラの第一回看寿賞に入賞(短篇佳作)しているし、近将の塚田賞(第二回短篇)を受賞した実績もある。
また、理論家としても有名で、「打歩詰手筋の諸形態」(玉将29・3)なる名論文をものしているし、パラでは数年前の高校の担当はもとより、変別×論の筆頭として堂々の論陣を張られたことは記憶に新らしい。ここ数年、鳴かず飛ばず、或は引退か?と思われていた氏の再登場は、担当者としても、大いに嬉しい次第である。
春夏秋冬-これは珍らしい作家の登場。22桂合23飛生と「打歩詰の理論家」にふさわしい序奏に23飛の限定打のクライマックスから14角合の収束と、一分の隙もない構成はさすが往年のベテラン作家の貫禄十分。
◇序の21飛打22桂合23飛生…この数手が本局最大の見せ場。初手23飛打に誘われるが、以下15玉、22桂成、14歩合、同飛、同玉、15歩、同玉、13飛生、14角(銀)合、16歩、24玉となって僅かに詰まない。13飛不成、14角合など如何にも作意らしく見える紛れだけに序の数手が光っている。初手21飛打は15玉なら22桂成、14合、15歩、23玉、22圭の意味。玉方22桂合は同飛成なら15玉とかわし14桂の捌きを封じようとする玉方好防である。勿論打歩詰の局面がつきまとうから頭の利く合駒はいけない。
続く攻方23飛不成はこれまた面白い手。22桂合、同飛成と取りたいのをぐっとこらえ中合の目的を不発に終らせようとする好手である。
この辺の攻防は虚々実々といったところ。
桧垣浩男―22桂成を防ぐ22桂合は好手。23飛生以下よく捌ける。うまい作品。
◇23飛生以下は捌きの調子に一転、中盤の見所は23飛の限定打であるが、全般に良く捌ける。不動駒二枚37手詰はこの作の各駒の配置が能率的に組み立てられており、良く推厳されていることを物語っているが序盤の面白さに比べ中終盤は多少冗長の感がないでもないと思う。
芳桂生―序盤は作者として苦心の所であろうが、いきなり着手する為すぐ判ってしまう。後半は23飛打の限定打以外はややくたびれ気味むしろ序に何かを付け加えて導入部以下短篇にまとめるべきではなかったか。
◇同感です。ただ作者としては序盤の想を得た時はこんなに引伸すつもりはなかっただろうとも思います。
おそらく途中入手する桂歩などの持駒を消化する為と余詰防止駒に働らきを持たす様な意味合から手数が伸びてしまったのではないでしょうか。
なお収束角合を見落し二手早く詰めた人二名。
堀隆興―13飛の限定打はよい
松田須璃夫―湯村氏の中合はケイカイ済。詰上りの面白さを買う
松本勝秋―仲々見せ場の多い作品。収束に今少し鋭どさが有るとよいと思います。
南倫夫―寸分のゆるみもない好局。序盤の巧妙さ、中終盤の軽快な、そして鋭どい駒捌きにはため息が出ます。詰上りも意外です。
小西逸生―大学ともなれば別に驚きませんが22桂合は愉しいですね。以下がやや物足りませんがベテラン、カムバックの一作、まずは本校の水準という処でしょう。

◇まずそんな処でしょうか。カムバック第二作が大いに期待されます。

 

    初手21飛はブルータス手筋で、打歩打開させない為22桂と中合します。その交換を入れておけば、23飛生が取れないという寸法です。以下23飛の限定打は上手いと思いますが、山田氏も解説しておられるように、もう少し短く纏めたいところだと思います。ただブルータス手筋に対して中合をしたのはこの作品が初めてと思われ、その意味では記録に残すべき作品と言えるでしょう。

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