湯村光造作品集19
表紙の言葉
東京 湯村光造
(入選3回)
学校を出て国鉄に入社。実務研修期間中とて、京都→神戸→東京と居所が一定しない。しかし、もうぼつぼつ落着く所に落着くことになると思う。
新鮮味追求居士「桑原君」の後を受けて、本年から詰棋校の高校担任を引受けたのは、もともと好きな道からではあるが、一つには主幹の情熱にひかされたからでもある。
忙しい身体なので(特急の機関手見習もやりました)好きな創作にも打ち込めないが、それでも創作のことを忘れているわけではない。
昨年七月号の表紙に拙作を掲載してもらってから半年、再び表紙から皆さんに呼びかけることのできるのは愉快である。
一九五八年の立春号の巻頭を自作品で飾ることができるとは縁起がいい。
さて、本作は近作。桑原君ではないが担当新鮮味を追求したつもりだがどんなものであろうか。
手数は15手以下、そう難手もないから軽く詰めて下さい。
73角、イ17玉、26角、ロ同香、13飛、27玉、37金、28玉、A19飛成、同玉、27金、29玉、28角成13手詰
A47金、39玉、19飛成、29銀、84角成、38玉、48馬、27玉、37馬迄余詰
表紙作品で、原図は47歩がありません。以下当時の結果稿を引用します。解説:鶴田諸兄
イ17玉の処39玉は49金、同玉、59飛、38玉、37角成迄
ロ26同香の処16玉は15飛、27玉、37角成迄
★9手目19飛成の手で47金の手が成立した。47金、39玉、19飛成、29銀、84角成、38玉、48馬、27玉、37馬迄17手
☆これはキズとしては大きくハッキリ余詰であろう。
☆私の経験を以てすれば、初歩の中は入玉図は一般に詰め難い。
本局も一見してつかまえにくい形をしている。
盤面五枚、持駒三枚の簡素な形であり、その手筋も比較的新鮮で、まず預ける図式であるが、惜しい哉検討の不足から途中47金という金がソッポへ行く手が成立した。惜しむべし。
これを消して、本図はまず充分鑑賞に堪える水準作と思うが如何?
東-15角がジャマ駒とは気付かなかった。新鮮、うまい
稲垣-初形、手順、収束共に満点。
石上三年-37金から47金は切れそうで指しにくい(余詰の方の解)
犬塚-19飛成が山。
上田-流石は湯村氏。表紙問題として打ってつけ。
大野-成程うまい、これが新鮮味と云う奴ですかナ。
大沢-型、手順、過度の難解性と三拍子揃った作。
海霧-流行語で云えばエレデ・ラ(エレガント・デラックス)という処か。
久保-形も簡潔、味もあり。
桂馬-容姿端麗にしてバレリーナを思わせる動き。
斉藤-作者の言う新鮮味をじっくり味わいました。
佐々木春-作者の言がそのまま通用する面白い作。
☆と極めて好評をつづけて来たが・・・
篠田-9手目19飛成の処47金が成立・・・
☆というバク弾が投下せられて、一寸参った。
◎作意余詰双方解
篠田義雄、白戸富一
☆従って以下各氏の評も殆んど好評に終始したが、割愛します。
尚、余詰順のみの解は約10名でした。
◇解答総数 98名
正解者数 73名 率74%
入玉作でむつかしかったせいか、解答者は激減した。
原図は余詰で作品集では47歩を追加しましたが、別の余詰が発生しました。簡単な修正案としては、攻方47歩⇒玉方48歩でどうでしょうか?
作品自体は15角を消去して13飛と打ちその飛を19に捨てるのは上手い。