旧パラを検証する211
大道棋疑問局集1
前回まで17号(昭和26年10月号)の紹介だったので、次は18号(昭和26年11月号)
のはずですが、実は昭和26年10月に臨時増刊號として「大道棋並大道五目疑問局集」が発行されていますのでそちらを解説いたします。その内容はまえがきに書かれて居ます。
臨時増刊 大道棋並大道五目疑問局集 まえがき
☆茲に諸賢に「疑問局」と銘打って、大道詰將棋百二十局大通五目並べ十局を提供します。
★疑問局と銘打った所以は詰むや詰まざるや正解不明と考えられるからであります。
☆然しです。果してその全部が不詰であるかどうかは謎です。絶妙の手によって或は詰むかも知れません。
★諸賢の腕試しとして全題に懸賞を附する所以であります。
☆奮って絶妙手の発見に努めあっと云わせて下さい。
★諾賢の指摘が正しくて解決したものは、本誌究明室に於て発表します。
☆指摘(解答)は次によります。
1用紙はハガキに限り、一枚一題宛に限ります。十題なら十枚要るわけ。
2締切は設けません。
3正当なる振摘(詰手順の正しいもの)先着順に五名迄(各題毎に)に次の粗賞を呈します。
一番槍 入賞カード五枚
二 ” ″ 四枚
三 ″ ” 三枚
四 ″ " 二枚
五 ″ " 一枚
4自己の指摘が正しいか否か、何番槍であるか知りたい方は往復ハガキを用いて下さい。
5ハガキ以外の投稿は無効とします。
☆かくかくの手順でどうしても不詰であるとの答は求めて居りません。あく迄も妙手奇手による解明を求めるものであり、其處に腕試しの腕試したる所以があります。
★大道ものは変幻自在、特に玉方の受け方に絶妙の手があります。じっくり考えて下さい。
☆一部秘手五百番中から疑問と思われるものも本集に取入れました。
★さらば諸賢の名槍を待ちます。
☆宛名 紳棋会内疑問局集係
まえがきにあるように、全部の作品の詰む詰まないを明らかにするのではなく、詰む作品を指摘するという体裁でした。そして19号(1951年12月号)大道棋疑問局集解決篇として連載が断続的にありました。
そして1976年2月号から大道棋研究室で疑問局の全作解明が始まり、疑問局を毎月出題して詰む詰まないをハッキリさせることになりました。この企画は1986年7月の結果発表まで続きました。
本稿ではこの詰パラの過去の記事、柿木将棋に解かせた結果、及び私の研究結果を交えて書いて行きたいと思います。
詰パラの引用は出題号ではなく、結果稿の号を記載します。
不詰作等を詰むように改作した図を掲載する場合がりますが、実戦用の詰む案を提示するだけなので、余詰等がある場合があります。
詰パラ1976年4月号 疑問局集1
☆疑問局集は昭和26年10月、旧バラの臨時増刑号として発行。大道棋百27局、大道五目10局を載せ、一般から解答を募った。(但し詰むと
言う確信のあるもののみ)旧バラに於て「疑問局集解決篇」として発表したものもある。今回はその全部に就き改めて〃洗濯″をし、詰、不詰を明確にしようと思って出題することとしたものである。引き続き出題してゆくので、しっかり取り組んで下さい。
☆本局は不詰。不詰順明示を正解とした。
◇72歩の筋は簡単にダメ
◇63桂の筋も81玉、85香、83銀合以下もダメ
◇一番有望な筋は83桂の筋
83桂、81玉、82歩、92玉、94香、93角、91桂成、同玉、93香、92角、(イ)同香成、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、72角、71玉、62金、同玉、63角行成、51玉、(ロ)61角成、同玉、53桂、71玉で不詰
(イ)81歩成は同玉、92香成、同玉、83角、93玉、82角、84玉、54飛、64香合にて不詰
(ロ)54飛、42玉、52飛成、33玉、34歩、24玉、26香、25桂合にて不詰
その他の筋も結局不詰。本局、若かりし頃夢中で研究した思い出の局。(主幹)
疑問局集2
☆前局と殆んど同様にして不詰と断定
疑問局1の原図と思われるのが次図
秘手五百番の第212番です。
83桂生、81玉、82歩、92玉、95香、93角、91桂成、同玉、93香生、92角、同香、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、72角、71玉、62金、同玉、63角上成、51玉、61角成、イ同玉、53桂、51玉、41桂成、61玉、62歩、71玉、76飛、82玉、73飛成、91玉、71龍、92玉、81龍、93玉、94歩、同玉、85馬、93玉、84馬迄43手詰
66香が無いので76飛と廻ることが出来て詰む。
54が成香なのはイ42玉の時46飛に44歩合等で逃れる為です。
イ42玉は51馬、同玉、54飛、42玉、53飛成、31玉、32歩、同玉、44桂以下詰みます。この順が作意の類題もあります。
疑問局1番を詰むように改作してみました。
疑問局1改作1
72歩、81玉、A84香、83金、B同香生、92玉、82香成、93玉、83桂成、94玉、54飛、64銀、同飛、同歩、95香、同玉、84銀、85玉、95金迄19手詰
A85香、84桂、同香以下作意順のキズあり
B71歩成、91玉、83桂不成、92玉、91桂成、93玉、83香成以下作意と同様のキズあり
香合を売り切れにすることにより詰ますパターン。ABのキズ(詰将棋的には余詰)があるのでとりあえず詰むようにした改作。
疑問局1改作2
83桂生、81玉、82歩、92玉、96香、93角、91桂成、同玉、93香生、92角、A81歩成、同玉、92香成、同玉、83角、93玉、82角、84玉、54飛、95玉、94飛、85玉、74角成、94玉、93角成、同玉、83馬迄27手詰
A同香成、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、63角成、91玉、92歩、同玉、83角、93玉、94角成、同玉、54飛、84香、同飛、同玉、74馬、94玉、95香、同玉、96香迄33手詰の余詰あり
これも余詰ありなので、詰将棋的には不味いですが、歩を一枚ずらしただけで詰むという、大道棋特有な例です。
次に疑問局2を詰むようにしてみました。
疑問局2改作1
83桂生、81玉、82歩、92玉、95香、93角、91桂成、同玉、93香生、92角、81歩成、同玉、92香成、同玉、83角、93玉、82角、84玉、75銀、イ85玉、74角成、95玉、84馬迄23手詰
イで疑問局2は同と取れるので詰まないという訳です。
今回は出来るだけ原図を弄らない改作なので、余詰があったりして不満なので、少し配置を弄って改作してみました。
疑問局2改作2
72歩、81玉、85香、84桂、同香、83金、同香生、92玉、82香成、93玉、83桂成、94玉、54飛、85玉、84飛、96玉、86金、同金、同飛、同玉、78桂、76玉、77金、85玉、86金、94玉、95香迄27手詰
この形では意表の初手72歩で詰むので、定跡手順を知って居る人程嵌るかと思います。