将棋雑記

将棋に関する雑感を書き散らしています。

旧パラを検証する213

2024-10-11 19:33:41 | 旧パラ検証
旧パラを検証する213
大道棋疑問局集3
詰パラ1976年7月号

84金、同玉、75飛成、93玉、85桂、92玉、93銀、81玉、73桂、72玉、61桂成、73飛にて不詰。
☆初手82銀以下もあるが不詰
また初手94金、同玉、74飛成、84香、85銀、95玉以下不詰。
何れにせよ詰まない。

82龍、同玉、A52飛、72歩、73銀、91玉にてダメ
A73銀は91玉でも71玉でもダメ。
☆結局、何ともならぬ図。

大道棋疑問局集第7番

全然違う筋になりますが、99角を配置すれば詰みます。ただ、実戦的には99角が変な配置なので手を出し難いかもです。
改作1詰手順
84金、同玉、75飛成、93玉、85桂、92玉、93銀、81玉、73桂生、72玉、61桂成、73飛、同龍、同玉、74銀、64玉、55金、53玉、44金、42玉、33金、53玉、43飛、54玉、44飛成迄25手詰
大道棋疑問局集第8番

全然詰まないので、同じ形で持駒を変えてみました。53歩は余詰防ぎです。
93香、92歩、82龍、同玉、92香成、同玉、94香、同銀、93飛、81玉、63角、イ72桂、82歩、71玉、72角成、同玉、63飛成、71玉、72歩、82玉、74桂、81玉、71歩成、同玉、A62龍、81玉、82桂成迄27手詰
イ72歩は同角成、同玉、63飛成、81玉、82歩、71玉、72歩、82玉、93桂成、91玉、92歩以下25手

Aで62桂成や73龍以下収束余詰あり


詰パラ1976年8月号

88飛、76桂跳、84金、同香、76角、85香上、同角、で以下続かず。
☆結論として不詰。

○63桂は81玉、89香、83銀合で不詰
○72歩の筋は桂金合で不詰
○83桂以下も攻方57桂が役立たずで不詰。
☆結論として不詰。

88飛、76桂、84金、同香、76角、85香、同角、84玉、76桂、73玉、63銀成、同玉、74角、62玉、64香、53玉、83飛成、42玉、41角成、33玉、43龍、24玉、14馬、同玉、34龍、15玉、A25金、16玉、36龍、17玉、B26龍、18玉、29銀、19玉、28龍迄35手詰
A35龍、16玉、36龍、26桂、25銀、17玉、37龍、18玉、28金、19玉、39龍迄の余詰あり
B37龍、27桂、28銀、18玉、27龍、29玉、37銀、39玉、28龍、49玉、48龍迄の余詰あり
一寸大掛かりですが、馬の押し売りが入り中々面白いと思います。

83桂生、81玉、82歩、92玉、95香、93角、91桂成、同玉、93香生、92角、81歩成、同玉、92香成、同玉、83角、93玉、82角、84玉、75銀、同玉、
74角成、66玉、56馬、77玉、78馬、66玉、93角成、55玉、45馬、64玉、A63金、74玉、B75銀、85玉、84馬迄35手詰
A63馬、55玉、45馬、64玉、63金の迂回手順あり
B83銀、85玉、67馬、76歩、94馬、75玉、76銀、同と、同馬上迄の収束余詰あり
これも大部大掛かりな改作ですが、57桂配置を生かしてみました。















































































旧パラを検証する212

2024-07-24 19:38:46 | 旧パラ検証
大道棋疑問局集2
詰パラ1976年5月号
184銀は同歩、73飛成、92玉以下不詰
294金は同玉、95歩、84玉、75飛成、93玉、85桂、92玉、93銀、81玉、73桂、72玉、61桂成、73飛合で不詰
294金、同玉、74飛成、84角にて不詰
384金、同玉、75飛成、93玉、85桂、92玉、93歩(93銀は前述)81玉、82銀、同玉、73龍、81玉、83龍、71玉、61香成、同玉、63龍、62金(62飛合なら詰む)73桂(52銀以下も詰まず)71玉、81桂成、同玉、84香、71玉、82香成、同玉、62龍、83玉、63龍、84玉、75銀、85玉、86金、同銀、同銀、76玉にて切れる。
☆疑問局出題は「詰むか」「詰まぬか」ハッキきりせるもので、「詰む」ならその手順、「詰まぬ」なら不詰に至る手順を説明せねばならぬ。単に「不詰」と書いただけでは正解とするわけにはゆかない。
本局で言えば、少く共3の説明をした解答を「正解」とする。
 本局も「不詰」である。前局と同じような意味。
 然し前局と違う点があり、実に微妙な点がある。
84金、同玉、75飛成、93玉、85桂、92玉、93歩、81玉、82銀、同玉、73龍、81玉、83龍、71玉、61歩成、同玉、63龍、62金、73桂、71玉、81桂成、同玉、92歩成、同香(同玉は93銀、81玉、85香以下詰む)85香、71玉、82香成、同玉、62龍、83玉、63龍、84玉、75銀、85玉、86金、同銀、同銀、76玉、85銀打、87玉、67龍、88玉(これが唯一の逃げで、これで不詰)。88玉の手で86玉なら76龍、97玉、77龍、87桂、98歩、同玉、78龍下詰むのである。87歩合なら88銀、99歩!以下である。(その為に92歩成と成捨てておいたのである。)

☆「・・・67龍、88玉以下不詰」と明記した人が正解です。


大道棋疑問局集第3番
詰ますだけなら87歩を取れば詰みます。
改作1詰手順
84金、同玉、75飛成、93玉、85桂、92玉、93歩、81玉、82銀、同玉、73龍、81玉、83龍、71玉、61香成、同玉、63龍、イ62飛合、73桂生、71玉、72香、同飛、61桂成、82玉、83銀、93玉、72銀生、84玉、83飛、95玉、65龍、96玉、85龍33手駒余り
イ62金合、52銀、71玉、74香、73角、同香生、81玉、72角、82玉、83歩、71玉、61角成、81玉、71香成迄31手
イの変化で83歩が打てるのがミソです。
87歩を配置した形で詰むようになっているのが奇策縦横72図です。

詰手順
84金、同玉、75飛成、93玉、85桂、92玉、93歩、81玉、82銀、同玉、73龍、81玉、83龍、71玉、61香成、同玉、63龍、62金合、73桂生、71玉、81桂成、同玉、84香、71玉、82香成、同玉、62龍、83玉、63龍、84玉、75銀、85玉、86金、同銀成、同銀、76玉、85銀打、87玉、67龍、86玉、76龍、97玉、77龍、87桂、88銀、98玉、87龍、89玉、77銀、79玉、88龍、69玉、68龍迄55手駒余り
大道棋疑問局集第4番
詰むようにするなら58とを取った前述の奇策縦横72図です。
またパラの記事の92歩成の入っている図が秘手五百番第318番にありました。
84金、同玉、75飛成、93玉、85桂、92玉、93歩、81玉、82銀、同玉、73龍、81玉、83龍、71玉、61香成、同玉、63龍、62金、73桂生、71玉、81桂成、同玉、92歩成、同香、84香、71玉、82香成、同玉、62龍、83玉、63龍、84玉、75銀、85玉、86金、同角成、同銀、76玉、85角、87玉、67龍、86玉、76龍、97玉、77龍、87歩、88銀、98玉、87龍、89玉、67角迄51手

詰パラ1976年6月号
84銀、同香、同金、同玉、89香、85歩、75飛成、83玉、85香、92玉にて不詰
☆他の手もすぐ切れる。結局「不詰」
94金、同玉、95歩、93玉、94銀、84玉、85銀、95玉で不詰
94金、同玉、74飛成、84香、85銀、93玉、84銀、同歩、84桂、94玉で不詰
☆他の筋も結局不詰。

大道棋疑問局集第5番
詰ますのなら玉方87歩を置けば詰みます。この改作図は秘手500番328や奇策縦横89図に酷似しています。
84銀、同香、同金、同玉、86香、85桂、75飛成、83玉、85香、84桂、同龍、72玉、83龍、62玉、61桂成、同玉、A63龍、51玉、52歩、42玉、34桂、31玉、42銀、32玉、24桂、21玉、61龍迄27手詰
A以降は52銀、62銀、62歩等の余詰が多数あります。なので、とりあえず詰むようにしただけの図です。
大道棋疑問局集第6番
94金、同玉、95歩、同玉、75飛成、94玉、85龍、93玉、94銀、82玉、83龍、71玉、61香成、同玉、63龍、51玉、52銀、42玉、43龍、31玉、A33香、22玉、32香成、12玉、13歩、11玉、41龍迄27手詰
A32歩、21玉、24香、22歩、31歩成、12玉、22香成、同玉、32と、12玉、13歩、11玉、41龍迄33手詰の余詰
A41銀成、21玉、31成銀、同玉、33香以下作意に戻る迂回手順あり。
双玉にして改作してみました。









旧パラを検証する211

2024-06-30 19:49:12 | 旧パラ検証
旧パラを検証する211
大道棋疑問局集1
 前回まで17号(昭和26年10月号)の紹介だったので、次は18号(昭和26年11月号)のはずですが、実は昭和26年10月に臨時増刊號として「大道棋並大道五目疑問局集」が発行されていますのでそちらを解説いたします。その内容はまえがきに書かれて居ます。
 臨時増刊 大道棋並大道五目疑問局集 まえがき
☆茲に諸賢に「疑問局」と銘打って、大道詰將棋百二十局大通五目並べ十局を提供します。
★疑問局と銘打った所以は詰むや詰まざるや正解不明と考えられるからであります。
☆然しです。果してその全部が不詰であるかどうかは謎です。絶妙の手によって或は詰むかも知れません。
★諸賢の腕試しとして全題に懸賞を附する所以であります。
☆奮って絶妙手の発見に努めあっと云わせて下さい。
★諾賢の指摘が正しくて解決したものは、本誌究明室に於て発表します。
☆指摘(解答)は次によります。
1用紙はハガキに限り、一枚一題宛に限ります。十題なら十枚要るわけ。
2締切は設けません。
3正当なる振摘(詰手順の正しいもの)先着順に五名迄(各題毎に)に次の粗賞を呈します。
一番槍 入賞カード五枚
二 ”  ″       四枚
三 ″  ”    三枚
四   ″       "               二枚
五   ″       "               一枚
4自己の指摘が正しいか否か、何番槍であるか知りたい方は往復ハガキを用いて下さい。
5ハガキ以外の投稿は無効とします。
☆かくかくの手順でどうしても不詰であるとの答は求めて居りません。あく迄も妙手奇手による解明を求めるものであり、其處に腕試しの腕試したる所以があります。
★大道ものは変幻自在、特に玉方の受け方に絶妙の手があります。じっくり考えて下さい。
☆一部秘手五百番中から疑問と思われるものも本集に取入れました。
★さらば諸賢の名槍を待ちます。

☆宛名 紳棋会内疑問局集係


 まえがきにあるように、全部の作品の詰む詰まないを明らかにするのではなく、詰む作品を指摘するという体裁でした。そして19号(1951年12月号)大道棋疑問局集解決篇として連載が断続的にありました。
そして1976年2月号から大道棋研究室で疑問局の全作解明が始まり、疑問局を毎月出題して詰む詰まないをハッキリさせることになりました。この企画は1986年7月の結果発表まで続きました。
本稿ではこの詰パラの過去の記事、柿木将棋に解かせた結果、及び私の研究結果を交えて書いて行きたいと思います。
詰パラの引用は出題号ではなく、結果稿の号を記載します。

不詰作等を詰むように改作した図を掲載する場合がりますが、実戦用の詰む案を提示するだけなので、余詰等がある場合があります。


詰パラ1976年4月号        疑問局集1

☆疑問局集は昭和26年10月、旧バラの臨時増刑号として発行。大道棋百27局、大道五目10局を載せ、一般から解答を募った。(但し詰むと
言う確信のあるもののみ)旧バラに於て「疑問局集解決篇」として発表したものもある。今回はその全部に就き改めて〃洗濯″をし、詰、不詰を明確にしようと思って出題することとしたものである。引き続き出題してゆくので、しっかり取り組んで下さい。
☆本局は不詰。不詰順明示を正解とした。
◇72歩の筋は簡単にダメ
◇63桂の筋も81玉、85香、83銀合以下もダメ
◇一番有望な筋は83桂の筋
83桂、81玉、82歩、92玉、94香、93角、91桂成、同玉、93香、92角、(イ)同香成、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、72角、71玉、62金、同玉、63角行成、51玉、(ロ)61角成、同玉、53桂、71玉で不詰
(イ)81歩成は同玉、92香成、同玉、83角、93玉、82角、84玉、54飛、64香合にて不詰
(ロ)54飛、42玉、52飛成、33玉、34歩、24玉、26香、25桂合にて不詰
その他の筋も結局不詰。本局、若かりし頃夢中で研究した思い出の局。(主幹)
疑問局集2
☆前局と殆んど同様にして不詰と断定

 疑問局1の原図と思われるのが次図
秘手五百番の第212番です。
83桂生、81玉、82歩、92玉、95香、93角、91桂成、同玉、93香生、92角、同香、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、72角、71玉、62金、同玉、63角上成、51玉、61角成、イ同玉、53桂、51玉、41桂成、61玉、62歩、71玉、76飛、82玉、73飛成、91玉、71龍、92玉、81龍、93玉、94歩、同玉、85馬、93玉、84馬迄43手詰
66香が無いので76飛と廻ることが出来て詰む。
54が成香なのはイ42玉の時46飛に44歩合等で逃れる為です。
イ42玉は51馬、同玉、54飛、42玉、53飛成、31玉、32歩、同玉、44桂以下詰みます。この順が作意の類題もあります。
疑問局1番を詰むように改作してみました。 
疑問局1改作1
72歩、81玉、A84香、83金、B同香生、92玉、82香成、93玉、83桂成、94玉、54飛、64銀、同飛、同歩、95香、同玉、84銀、85玉、95金迄19手詰
A85香、84桂、同香以下作意順のキズあり
B71歩成、91玉、83桂不成、92玉、91桂成、93玉、83香成以下作意と同様のキズあり
 香合を売り切れにすることにより詰ますパターン。ABのキズ(詰将棋的には余詰)があるのでとりあえず詰むようにした改作。
疑問局1改作2
83桂生、81玉、82歩、92玉、96香、93角、91桂成、同玉、93香生、92角、A81歩成、同玉、92香成、同玉、83角、93玉、82角、84玉、54飛、95玉、94飛、85玉、74角成、94玉、93角成、同玉、83馬迄27手詰
A同香成、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、63角成、91玉、92歩、同玉、83角、93玉、94角成、同玉、54飛、84香、同飛、同玉、74馬、94玉、95香、同玉、96香迄33手詰の余詰あり
これも余詰ありなので、詰将棋的には不味いですが、歩を一枚ずらしただけで詰むという、大道棋特有な例です。
次に疑問局2を詰むようにしてみました。
疑問局2改作1
83桂生、81玉、82歩、92玉、95香、93角、91桂成、同玉、93香生、92角、81歩成、同玉、92香成、同玉、83角、93玉、82角、84玉、75銀、イ85玉、74角成、95玉、84馬迄23手詰
 イで疑問局2は同と取れるので詰まないという訳です。
 今回は出来るだけ原図を弄らない改作なので、余詰があったりして不満なので、少し配置を弄って改作してみました。
疑問局2改作2
72歩、81玉、85香、84桂、同香、83金、同香生、92玉、82香成、93玉、83桂成、94玉、54飛、85玉、84飛、96玉、86金、同金、同飛、同玉、78桂、76玉、77金、85玉、86金、94玉、95香迄27手詰
 この形では意表の初手72歩で詰むので、定跡手順を知って居る人程嵌るかと思います。

湯村光造作品集34

2024-06-23 01:42:00 | 湯村光造作品集
湯村光造作品集34
71飛、同玉、61飛、同玉、62桂成、同玉、63金、71玉、72金打迄9手詰
*初出は近代将棋1953年1月号の付録
 71飛と下段に落し、61飛として玉を61にしてから62桂成とすれば同玉と取るしかないという見事な手筋物で、好作です。
 元々の湯村光造作品集には本作は載っていませんが、森田正司氏が詰研ブックスにするにあたって、この作品を加えたとのことです。
 これで「湯村光造作品集」の紹介を終ります。湯村氏の初期の作品しか載っていないので、全作品から選んだ作品集が期待されるところです。
 付記:初手から63金、同金、同歩成、同玉、65飛、54玉、64飛打、43玉、
45飛、32玉、62飛成、23玉、43飛成、33銀、32龍寄、14玉、34龍、同銀、同龍、15玉、25金、16玉、36龍、17玉、26龍、18玉、29銀、19玉、28龍迄29手の余詰がありました。


湯村光造作品集33

2024-06-22 01:53:42 | 湯村光造作品集
湯村光造作品集33

18金、同龍、同飛、同玉、88飛、19玉、28銀、18玉、27銀、同玉、38金、36玉、28桂、46玉、55角、イ45玉、46歩、55玉、64銀、46玉、55銀、45玉、46歩、55玉、85飛、46玉、55角、57玉、48金寄、67玉、58金寄、56玉、57歩、45玉、64角、85歩、46歩、44玉、36桂、33玉、42銀生、32玉、43と、同玉、53角成、32玉、33歩、21玉、43馬、11玉、12歩成、同玉、24桂、11玉、21馬、同玉、32桂成、12玉、22成桂、同玉、24香、11玉、12歩、同玉、23銀成、21玉、22成銀迄67手詰
*T-BASEの図は95と無し32歩⇒33歩の図で不詰
 近代将棋図式精選から解説を引用します。(解説:森田正司氏)
 “短篇の湯村”といわれた作者の唯一の長篇。「図巧91番」に触発されたとか伺いました。「図巧91番」は18角と遠打ちし、27歩突きでその利きを遮って打歩詰を回避するという構想ですが、本局は<詰方駒の利筋遮断>を飛車の限定打ちでするところが新しい工夫です。
 それが5手目の88飛。その効果は10手後の途中図において現れます。もし飛打ちが88以外のところなら、99角の利きがあって、ここで打歩詰の状態になるのです!湯村氏は後に「歩詰手筋の諸形態」という論文(『王将』29年3・4月号)を発表されましたが、そうした理論的着想はこの頃から持っておられたのでしょう。
 ただ本局、55角をイ同玉と取る変化が64銀、45玉(同歩は85飛、46玉、55角以下。44玉は85飛、55歩合、同角、45玉、33角成以下。なお55歩合のところ77合なら、36桂、33玉、43と、同玉、45飛、32玉、33歩、21玉、41飛成以下、いずれも早い)、46歩、同玉・・・で本手順に戻る、いわゆる“中岐れ”となってしまったことです。その後、40数手も要しますが、大駒をすべて捌いての収束は快調。戦後の構想作品のはしりとなりました。

作品集「あさぎり」の自作解説を引用します。
 私にとってほとんど唯一の長編作である。一時期歩詰手筋に熱中し歩詰手筋を含まぬ詰棋は詰棋にあらず、といった心境になったことがあった。最近は歩詰手筋に関心をもつ作者も増し、新手筋が開発されつつあるのは誠に喜ばしい。
 本作は図巧などにみられる利筋遮断の歩詰回避手筋の一種で5手目88飛打が99角の利筋を消して17手目の46歩が歩詰となるのを回避している。
 棋力に乏しいので長篇は苦手なのだが、本作は構想を得ると3日間位で一気呵成に創りあげた記憶がある。

 詰将棋創作にとってインスピレーションが最も大切で一向にインスピレーションが湧かなくなった近頃は、当時がただ懐かしいのである。



 88飛という利筋遮断の歩詰回避手筋が珍しいころの構想作品で、面白いのですが、ちょっと長すぎるような気がします。また、イのキズは痛すぎると思います。
 元々の私家版ではこの作品で終りだったようですが、詰研ブックスで発行された際に、もう1作番外をを添付しています。本連載でも番外作を載せて終了としたいと思います。