12/10、同志社大学。「初代ファミスタ全国大会」に参加してきました!
腕に覚えのある全国から集った初代ファミスタ(=ファミコンソフト。「プロ野球ファミリースタジアム」)の選手たちは非常にレベルが高く!
そして野球ゲームの奇跡の傑作・初代ファミスタの絶妙なゲームバランスがあり!各会場で大熱戦が繰り広げられました。
私の結果は残念ながら初戦敗退でした!
が、ゲストのファミスタ開発者の岸本さんに突撃話しかけにいって、いろんな貴重な、おもしろい、そしてとても「いい話」をたくさん伺うことができたりもしたので。
この記事に書いておこうと思います。
「初代ファミスタ」については説明不要かと思いますが、この話をする前提としてはどうしても説明が要りますね。
ひとことでいうと、日本の家庭用ゲーム史上において、現在も続く「ああいうタイプの」対戦型野球ゲームの元祖というべき傑作中の傑作です。
任天堂のファミリーコンピュータ(=略して「ファミコン」)が世に出たのが1983年。
ファミリースタジアム(=略して「ファミスタ」)が発売されたのが1986年12月10日。
そう、今回の「初代ファミスタ全国大会」の開催が12月10日なのは、この発売日にちなんでいるんですねー。
主催者(=初代ファミスタ全国大会さん)の本気を感じますね!
1986年は、今年の「アレ」の前に阪神タイガースが日本一になった年の翌年です。
セ・リーグを制したのは我らが広島東洋カープだ!
この年は山本浩二が引退する最終年でね、ペナントレースの終盤は読売とマッチレースになった。
山本浩二が「これぞまさに4番」の勝負強さで、引き分けの多さも効いてカープが優勝を決めた。
優勝を決めたのは神宮球場。
スタンドはカープファンで真っ赤にそまり、この年ストッパーにカムバックした津田が最後のバッターを三振にとって両腕をあげ、達川がかけよって・・
阿南監督が宙を舞いました。
当時私は小学6年生。親の転勤の都合で、夏に広島から所沢に引っ越して転校した年でもあり、このカープの優勝はすごくうれしかったんですよ。
(優勝の瞬間はあんまり覚えていないがw)
パ・リーグは森・西武が制し、日本シリーズは広島×西武のカード。
第1戦が引き分けになり、史上初めて第8戦までもつれこんだ激闘のシリーズになった。
カープが先に王手をかけたんだけど、第5戦で津田が工藤(公康)にサヨナラタイムリーを打たれてね、第8戦は秋山(幸二)がホームラン打って「バック宙」ホームインをされただよ。
セ・リーグのMVPは18勝をあげ最多勝と最優秀防御率の2冠の北別府。
打撃部門はセ・リーグは阪神のR・バース、パ・リーグはロッテの落合がそれぞれのリーグで三冠王に輝きました。
「1986年」というのはそういう年です。
「初代ファミスタ」の選手データはこの年がベースになっているので、↑こういう話は重要な前提になります!
で、「ファミスタ」の話。
当時、ファミコンの野球ゲームといえば、任天堂の「ベースボール」しかなかったんですね。
球場をバックネット裏の上から見下ろした構図で、チームはセ・リーグ6球団あるけど、違いはユニフォームと帽子の「色」しかなく。
(つまり選手の個々の能力値の要素はない)
ピッチャーは左右の変化球、速球を投げ分けることはできるが、守備はオート(操作できない)・・というようなものでした。
そこに登場したのがこの「ファミスタ」だったのね。これは革命的な野球ゲームだったよ。
選手が実名で登場し、能力がリアルに表現されてるのがまずすごかった。
「うおおお『ばあす』すげー!!!」みたいなのだけでプロ野球ファンは単純にクッソ盛り上がるw
そして画面のレイアウトはキャッチャーの背中からのアンパイア目線。守備も走塁もプレイヤーが操作できてね、対戦が激熱だった!
当時の全国の子どもたちを熱狂させただよ!
私も転校した先で、外でゴムボール野球とかもやったけど、家でファミスタもめっちゃたくさんやって、新しい友達と仲良くなっただよ。
この初代ファミスタは「野球テレビゲーム」の原型を最初から確立しました。
「だんだん改良されていって確立された」とじゃないのよ、最初から完成されてた。
令和の現在の野球ゲームというとコナミの「実況パワフルプロ野球」とか「プロ野球スピリッツ」とかが主流と思いますが、ゲームとしての基本型はこのファミスタからほとんどまったく変わっていません。これが「元祖」たるゆえんだ。ゆえに「ゲーム史の教科書に必ず載る傑作」といっても決して言い過ぎではない。
で、ここまでだけでもじゅうぶんすごいゲームなんだけど、この初代ファミスタがすごいところが、「絶妙なゲームバランス」にある。
これがあるからあれから40年近くたった今でも、ゲームとして成り立つというかね。
逆にここまで優れたゲームバランスの野球ゲームって未だに初代ファミスタ以外にはないんじゃないかっていう。
ゲームバランス、というのは、要は、「めっちゃ打ちまくり」でも「めっちゃ抑えまくり」でもつまらないでしょ。
「めっちゃ盗塁成功しまくり」でも「めっちゃ盗塁不可能」でもつまらない。
ボールにはバットが届かない、ストライクはバットが届くけど、バットの芯に当たらないとホームランにならない。
もちろん「タイミング」も重要なバッティングの要素だ。
その辺の「ギリギリの絶妙さ」でアウトセーフの結果が決まったり、ストライクボールが決まったり、ホームランか三振かが決まるようにできているのがすごい。
また、今では当たり前だけど、選手に能力値がふってあるのがおもしろくて。これもまた絶妙なんですよ。
怖いバッターとそうでもないバッターがいる。足の速い選手、遅い選手がいる。「打線」なので、その並び方も作戦が変わる重要な要素になってきます。
いい投手、そうでもない投手がいる。
投手は4人で、スタミナがだいたい、4人とも気持ちよく使って(=スタミナ温存せずに使って)9回ぎりぎりもつ、くらいのバランスです。
なので、いい投手だけどスタミナがすぐ切れるから交代のタイミングがーとか、下位打線には省エネピッチングしないとーとか球数を投げさせようとか、ここは勝負所だからピッチャー交代して全力で抑えないと・・とかね。そういう投手交代のタイミングも試合に勝つための重要な作戦の要素のひとつだ!
代打は基本スタメンバッターには劣ることが多いが、「代打1打席目は能力ボーナス」があるので、「ここいちばんのチャンスの代打」をいつ使うか!というのも作戦ですよ。
そういう、あらゆる要素の「絶妙なバランス」があって、これがプレイヤー同士の駆け引き、心理戦の要素を絶妙に生みだす。
そしてそれが奇跡のように絡み合って、劇的な展開の試合を生み出して、これがめっちゃ熱く盛り上がるわけだ。
なんでかわからないけど実力が伯仲したプレイヤー同士のファミスタはすごい試合になるのよ・・
これはきっとファミスタが(=野球が、といってもいいかも)そういうふうにできてるからだと思うんですよね。
・・・前置きがめちゃめちゃ長くなったけど、この話は必要なので!ファミスタがどんなゲームで、そんなにすごいゲームかわかったかな?
すごいすごいって書いてきてるけど、決して言い過ぎではないぞ、ほんとうにすごいゲームなんだよ初代ファミスタってやつは!!
というところでここまでが「前編」
次回の記事は「初代ファミスタ大会」の模様を書きたいとおもいます。
それではまた!