音楽わらしべ長者

ひろがる音楽、見つかる名盤

「元祖」って付けられたい

2006年10月29日 00時57分59秒 | 1970~1974
サムシング・エニシング/トッドラングレン(1972)

トッドラングレンのソロ3rd

「元祖」って天才バカボンじゃなくて
その人や物から始まったフルオリジナリティで誰もやったことの無い事柄
頭にそれが付けられるのって、SIRとかナイトの称号みたいで栄誉ありますよね
いいね。「元祖」って付けられたい。

トッドはこのアルバムを作って「元祖宅録」と言われるようになりました。
宅録は今では当たり前ですが、この当時全ての楽器を自分で演り、編集し、
楽曲としてLP2枚して発表したのはトッドが初めてだったのでしょう
当時、他にもテープの編集技術で作られた音楽はあったでしょうが
密室的にコツコツと完璧なポピュラーを誰にも頼らず、作った曲が良質でヒットしたから、トッド発の「宅録」と言う手法がこの後の音楽制作に定着したのでしょう

ライナーの中の写真、こんな風に部屋で作ってしまうのですね。

曲は前作に引き続きコンパクトに内容充実
たくさんのミュージシャンがこのアルバムから曲をカバーしています
ジャケ画はキレイ。名盤として後世に残るでしょう。
僕もこのアルバムからトッドラングレンに入ったので、こんなに好きになったのでしょう。

(所有はCD)
CD1-1曲目 I Saw The Light このアルバムの主旨である重要な1曲目
      僕個人的にも人生のうちの何曲に入るのではないでしょうか
CD1-2曲目 It Wouldn't Have Made Any Differrence
POPの次は美しいバラッド、Aメロとサビとキレイなメロディは
      体が溶けます。
CD1-3曲目 Wolfman Jack 実在のDJウルフマンジャックへの曲
      どんな人かは映画「アメリカングラフィティ」を見るべし。。。
CD1-5曲目 It Takes Two To Tango 再びPOPできます。メロディの
      抑揚と言うか、とても明る楽しい曲、展開もGOOD
CD1-7と8曲目 Intro~Brethless はテープレコーダーを多様に使い
      インストの実験的な曲
CD1-10曲目 Saving Grace スピリチャルな良曲、ポジティブなイメージ
CD1-11曲目 Marlene この手のバラッドは、らしくないけどこの人は
      上手に作るよね。
CD1-13曲目 I Went To The Mirror エレキのスライド多様の曲、
      録音方法の多様もさることながら、楽器の奏法までもですか。。。

CD2-1曲目 Black Maria ハードなギターロック、この手の曲は今後のトッドの
      アルバムでも時々聴くことができます。
CD2-2曲目 One More Day ガラッと変化球、前曲とのギャップにオドロキ
      でも、これはトッドのPOPな一面にすぎない。
CD2-4曲目 Torch Song 教会の中で聴いているような、繊細な曲
      こっちのトッドの一面も僕は好きだなあ
CD2-5曲目 Little Red Lights ビートルズで言うところのヘルタースケルター
      印象つけます、ギターがカッコイイのです。ツェッペリンみたい。
CD2-8曲目 Piss Aaron ウッドストック系のミュージシャンの曲みたいな
      オールドアメリカンソング、ザ バンドもイメージします。
CD2-9曲目 Hello It's Me 出ました名曲、これはラジオでかかっても手を
      休めてしまうくらい好きな曲ですね。アイズレーブラザースの黒い
      カバーも大好きです。
CD2-10曲目 Some Folks Is Even Whiter Than Me
      引き続きトッドのPOPワールド、1st、2ndからそのまま
      3rdまで続けてくれました

今回は長くたくさん書いてしまったが、これだけ思い入れのあるアルバムです。
今回は面白くしようとも(えっ)思わなかったけど
何か時々、引っ張り出しては2枚とも長時間かけて聴いてしまいます。
     

新しいもの創りたいなら

2006年10月21日 01時57分01秒 | 1970~1974
ラント:ザ バラッド オブ トッドラングレン/トッドラングレン(1971)

トッドラングレン ソロ2nd

ダウンタウン松本人志の本からの一言
「常識はずれのことをやりたいなら、常識をたくさん知らないとね。」
笑の神様は「ただのお馬鹿ちゃんには、新しい常識は創れないよ。」と
皮肉まじりに言ったと思う。
これは笑の世界だけでは無く、あらゆるジャンルに当てはまることではないか。

「基本」それが全てだと
芸術家は基本の描写が出来ないとはじまりません
ピカソは絵画の常識やデッサンの対象物を一度こわして、再び組み上げ
新しい常識「キュビズム」を創った。そんな彼の若かりし青年期の作品の描写は
とても緻密で上手。その絵画の基本を元に、確実な技術の上に
新しい世界を作ったのです。

トッドの場合、彼の中にあるビートルズ、ビーチボーイズ、黒人音楽、
その基本を身につけ。
職業としてでも、レコーディングエンジニアとしてキャリアを積み
録音の基本を学んだ彼は、その後自身の音楽世界を創るべく、作業に入る
「天才は一日してならず」と言うこと。

だが、そこにはリスクがともなう
自分以外の人の評価だ、創ったものの完成度が高くても、人に受けなければ
それがまったくの無意味になることだ。
紙一重である。

トッドのソロ2枚目は、僕が勝手に解釈するに、自分の音楽の基本を見直し
次の工程に進む一歩前なのではないか、と考える。
このアルバムはシンプルに出来ているし、加工も最小限、バンドの構成もシンプル
トッドは自身のソングライティングの基本に重点を置いていると思う。
なので、良い曲が多くある。

1曲目Long Flowing Robeからポップだ、アルバムタイトルとジャケ画のイメージは何なんだ。
2曲目The Ballad シンプルな弾き語り、清らかなコーラス、さわやか、
 だからジャケ画の悪趣味はなんなんだ。
4曲目Wailing Wall ご存知、前述のニックデカロのキレイなアレンジも
 この曲自体の完成度が高いから、秀逸なのですね。
6曲目Chain Letter ビートルズのような吹き出すたくさんのメロディのパターン
7曲目A Long Time, A Long Way To Go ピアノとオルガンの構成が絶妙脱帽
9曲目Be Nice To Me 弾き語り、楽器の構成を極端にそぎ落とし
   曲自体を前に出している。引き算的方法のような曲、好きです。
10曲目Hope I'm Around 全曲に引き続き、キレイなサビとコーラスの曲
11曲目Parole この曲を聴くとビートルズのマネーを思い出す、別のアルバムで
 トッドはマネーを演奏しているからね。好きです、この手のロックンロール。

この次のアルバムからトッドの壮大な創作が始まる。その前のアルバムです。

そう言えば、ジミー大西の絵には何かあるとは、思うが、
彼が基本を積み上げた形跡を見ることが出来ない
筆をとったら絵が出来ちゃった、という人も中には居るのかもね。


偏屈な自分が気になる、偏屈そうなこの人

2006年10月14日 18時10分43秒 | 1970~1974
ラント/トッドラングレン(1970)


前述のボビーチャールズと同じベアズヴィルからトッドラングレンのソロ1st

プロフィールにある通り、僕は大衆的でない性格があるようで。。
小学生のころから「君は変わっているね」と言われていた
一時は真剣に直したいと思った時もあるが、オッサンになってからは
人に迷惑をかけそうな所を気をつけ、基本的な所はそのままでいる。
おかげさまで結婚までさせてもらった。

そんな個性的な人の周りには、変人ではなくて個性的な人たちは互いに引かれ合い
集まる事が多い。
接していて興味深くて楽しいので、それぞれの個性を楽しんでいる

こんな自分が20代前半から気になっていたのが、この人トッドラングレン
この人の音楽を聞く前から、音楽誌のインタビューから個性的であった
彼の経歴も、ザ バンドのエンジニアからその他のミュージシャンのプロデュース
技術屋畑の所もあり
トッドの作品自体POPでポピュラーソング(大衆音楽)にもかかわらず
チャートのトップを飾る大ヒットが無いのである
がしかし、数ある名うてのミュージシャンが彼にプロデュースを依頼し
その作品がトッドプロデュースと話題になる。
この後の彼のアルバムもセールス的にではなくても、名盤との評価を受ける。
「玄人好み」なのである。
その時代の最先端の技術を最大に使いこなし、新しいものを生み出す
「先見の明」がある。

トッドの彼の挙動や作品自体の裏づけが気になりはじめたときから、3rdの
SOMETHINNG/ANYTHINGから聴き始めたら、後はハマりこんで行くばかりでした。

このアルバムはソロ1stです
今後出してゆくアルバムに比べるとコンパクトにまとまっているようですが、
彼の実験し続ける音楽の基礎になっているアルバムです。

1曲目BROKE DOWN AND BUSTED は男気ロックでオープニング
2曲目BELIEVE IN ME 実はこの手のスローな曲に弱い私、何度も聴く。
3曲目WE GOTTA GET YOU A WOMAN ビートルズの曲にありそうなポップな曲
5曲目ONCE BURNED だからこの手のスローな曲は弱いんだって。。。
7曲目即興性が高いソロパートが多く楽しめる
8曲目THERE ARE NO WARDS タイトル通り詩は無く、コーラスのみ
   この辺は実験的になっていますね
9曲目メドレー曲、ポップな曲ばかり
10曲目BIRTHDAY CAROL 実験性丸出しの組曲編成、この手の曲にも弱い私。

実はPOPで正当派なメロディアスなアルバムだったりする。
私はそこを突かれると弱いみたい。。。




よくも、まあ、こんなにメンバー揃ったな

2006年10月09日 11時34分46秒 | 1970~1974
ボビーチャールズ/ボビーチャールズ(1972)


前述のマリアマルダーの元夫ジェフマルダーと
前述のDrジョンこと、マークレベナックなど参加に関連してこのアルバムの紹介

このアルバムを知ったのは、ザ バンドを聴いていたり、ウッドストック系を
好んで聴いていた時期に、友達から紹介してもらい、一発で気に入り
中古屋でスグに出会い購入、そこからの出会いです。
ジェフとマリアマルダーはもっと後に聴いたので、直接ここからつながって
聴くことになった訳ではないけど
音楽ってホントつながってますよね。
このCDの裏には参加ミュージシャンの名が連ねていますが
ザ バンドのロビーをのぞく4人、エイモスギャレット、ドクタージョン
ジェフマルダー、他多数豪華メンバー勢ぞろい
その豪華さゆえに本人はビビリはしなかったのだろうか?
内容の彼の歌には緊張感は無く(良い意味で)リラックスして音を楽しんでる
「どうしたらこんなメンバー集められるのよ」って、思ってしまう。
音楽の力ってホントすごいですね。

自分の在籍しているバンドはそんなに頻繁にスタジオに入れない
この歳になると家庭の用事、仕事の都合、諸事情で全員揃うのが難しい
仕方が無い、誰が悪いわけでもない、でもみんなバンドの愛情は熱い
顔を会わせると楽しいし、そろった時にみんなが力を発揮してレベルの高い
演奏が出来た時の感動はクセになる。

それと比べてはならないが、このアルバムにも、そんな音の力の集合が感じられる
そんな1枚。

内容は
1曲目STREET PEOPLE はこのアルバムの雰囲気が分かるほどメンバーの力強い曲
3曲目I MUST BE IN A GOOD PLACE NOW はスローな趣のあるバラード
4曲目SAVE ME JESUS はタイトル通り「どうか神様っ」と繰り返し
 なにをお願いしているかは不明(私の英語力では。。。)
6曲目SMALL TOWN TALK この曲でノックアウトっ!欲しいものリストに即登録
8,9曲目はオールドタイムなピアノが刻むシンプルでニューオリンズフレーバー
 も感じられる曲

最後にやはり、メンバーを集めることの苦労と喜びを知っている人は
ホントにこのアルバムのメンバーが集まったすごさが分かるのではないでしょうか。


こちらもサザン、でもウインズで、お客様、

2006年10月08日 21時35分12秒 | 1975~1979
サザン・ウインズ / マリア・マルダー (1978)


前述の「サザンナイツ/アラントゥーサン」と「サザン」だけかかっているだけで
今日は強引にこのアルバムに。。。
少しニューオリンズが続きましたが、ここで変化球。
ブログのはじめからアメリカンルーツミュージックが続いてますが
「わらしべ長者」とうたっていいる以上多少のつながりが無いと次に行けない
システムになっております、お客様
ので、この様な選曲になっております。

マリアマルダーは前述で1枚目「オールドタイムレイディ(1973)」を紹介しました
これはジャズ、カントリー、ニューオリンズのスタイルで
マリアはこのスタイルが売りで、これは2枚目の「ドーナッツショップのウェイトレス」(1974)でも同様

1枚目が気に入った人も引き続き2枚目に行けるシステムになっております
お客様

しかし4枚目「サザンウインズ」はAOR、フュージョンの本にも紹介されているので、その方面の曲調なのです
嗜好は変わりますが僕は好きで、楽しく聴けます。
参加ミュージシャンは、おなじみエイモスギャレット(G)は引き続きおりますが
他はガラリと変わりました。
ストリングスやAOR的SAXの使い方、マリアの歌い方も変化球で方向性を
見直した意欲作と思います。

1曲目Make Love To The Music はメロウ&グルーヴな曲、僕好み
タイトルとおり甘い曲、レオンラッセル作
2曲目Say You Willもレオンラッセル作
3曲目I'll Keep My Light In My Window はロックな一面も
9曲目Joyful Noise もレオンラッセル作 マリアは特徴的な高い声を捨て
低いシャウトでロックして歌います。

これはこれで良いアルバムですよ、お客様

ジャケ画と曲の相乗効果

2006年10月07日 00時23分42秒 | 1975~1979
サザンナイツ / アラン・トゥーサン(1975)


「ジャケ買い」という言葉があるように、アルバムを試聴しないで買う時は
本の表紙にあたるジャケットが視覚的に重要になりますよね
サイケな絵ですと中身もなんとなく分かるような気がしてきます

また、はじめにCDやレコードをかけて出てくる音と共にジャケットの絵が
本のさし絵のようにイマジネーションをかき立てる補助になったりします
まず、このアルバムのジャケ画はニューオリンズに行った事のない私をその場に
連れて行ってくれるようでした。

ニューオリンズの南の夜(サザンナイツ)と言うか日が沈む前のどこかの
湖か川岸で、杖をついた男性とお供する愛犬の後姿
そこには大きな木がしげり、スローな時間が流れるように見えます
そこにB面の1曲目、CDだと6曲目に
そしてアルバムのタイトル曲、この二つがそろえば、至福の時間です。
ついでにライナーの日本語訳詩を読んでしまえっ!

「君は感じたことがあるかい、南部の夜を
 自由なそよ風のように
 君が心で知っている調べを奏でる木々…

 南部に空は目を閉じない限り、いつも晴れ渡っている
 これ以上に素晴らしい生き方を
 見つけたという奴がいたら僕は頭を下げよう

 最高の気分
 恐ろしいくらいだ
 世界も争うことをやめて欲しいものさ
 Da da da da da …」(以下省略)

キレイな鍵盤の旋律からはじまるイントロ
何故かこの曲だけ声にエフェクトをかけています
これはねらいなのか、雰囲気出しすぎ

この曲を作ったアラントゥーサンが実際に見た風景なのか、心象風景か、
想像上の風景か、分からないが
ここまで用意されたら、後はリスナーの受け止め方に任せましょう

他の曲もとても良いです。今日は書ききれないなあ(省略
前述のドクタージョンのアルバム作成のメンバーがほとんど名をそろえているから
音的には似てきますが
ドクタージョンと違うのは、ホーンの使い方が派手でないとか
探してもあんまり見つかりませんでしたが

この1曲を聴くために買うってのも良いのではないでしょうか
そしたら他の曲も良かったよってなるから




極上の練習用名盤(上級編)

2006年10月01日 00時31分05秒 | 1970~1974
ディスティヴィリーボナルー/ドクタージョン(1974)


この方の長い活動の中で多くのアルバムを出しております
「グリ・グリ」「ガンボ」その後の「インザライトプレイス」この辺りは好んで
よく聴きます。
と言うより後期のアルバムをちゃんと聞いていませんが正直
たぶん良いのでしょうね。

前述の名盤「ガンボ」が楽器の指ならしであるならば
この「ディスティヴィリーボナルー」はその上級編にあたります。
バックにアラントゥーサン、ミーターズが参加
その中のジョージポーターJr(B)とジョセフモディリスティ(Dr)
がニューオリンズのリズムをガッチリ固めます。
そのリズムを自分の体に刻み込む為にこのアルバムを使います
自分のベースの練習の上級になる訳です。
(練習用名盤はこれからも度々出てきます。)
(ドラムとベースの組み合わせで絶妙なミュージシャンも出てきます)

1曲目QUITTERS NEVER WINからユニゾンのキメが一発入ります
演奏と同じように決まったらキモチ良いですね。
後は地を這うようなベースとリズムです。1曲目からテンション高くファンキーですね。
2曲目STEALIN'はベースがイニシアチブを取ってしまっている曲です。楽しい
3曲目WHAT COMES AROUNDはロックの様な展開が面白い。
4曲目ME-YOU=LONELINESSなんてドクタージョンの
人なつっこいオヤジ声のスローバラード
上級な楽曲はバラエティにその後もつづき
6曲目RITE AWAYはファンキーな曲にカッコいい女性バックコーラス
9曲目SING ALONG SONGは個人的にこのアルバムの中で一番好きな曲
かわいいメロディに素敵な女性コーラス
この曲の女性コーラスのパートを鼻歌で真似てみてくださいレッツトライ
どこでブレスしているか判らないし、難しい
11曲目GO TELL THE PEOPLEはプロデューサーのアラントゥーサンのコーラスが
ハッキリ聴き取れます。
12曲目アルバムタイトル曲は、またテンションを上げ最後の一汗をしぼります

このアルバム1枚練習して終わって上手になれるかどうかは
う~ん、みなさん次第

このブログに訪問くださる方で楽器をやってる方、
自分はこのアルバムで楽器を練習していますっ
コメントいただけたらありがたいです。
はじめて訪問する方もどうぞ、今回は問いかけてみます。