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『わたしの脇役人生』

2012-11-19 17:25:38 | 日記
沢村貞子
『わたしの脇役人生』 を読んで


元日の朝―どこの家もシンと静まり返っている。

雨戸の隙間から洩れる陽の色が、暖かそう。

ゆっくり床を離れて、髪を結う。

いつもより念入りに、ちょっと前髪をふくらませ、粉白粉(コナオシロイ)をかるくはたき、口紅も気持ちだけ・・・・・すこし派手めだけれど好きな着物に色どりよく帯を結ぶと、なんとなく改まった気持ちになる。
  
  (中略)

老人の独り住まいは寂しい。
何とか家族と暮らしたいと願うのは当たり前である。

けれど、もし運よく同居出来ることになったら、まず、孤独に耐える覚悟をしなければならない。

  (中略)

一日のほとんどは独りを楽しむようにしないと・・・・・間もなく、誰にも相手にされなくなる。

家族同居の中の疎外は、独り住居の寂しさよりずっと辛いに違いない。



私は沢村貞子の大ファンであったが、同時に彼女の生き方が好きである。

前段は、下町の女性の元日の光景が目に浮かぶようだ。
後段は、八十を迎えようとする彼女の覚悟が伝わってくる。

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