呆老冷水録-Don’t be silly Grand'pa

80すぎたら横と後ろだけ見て過ごそうか!

悲しきリニモ

2005年08月14日 | 遠近旅録-国内/近郊
万博の旅客輸送を動機に、愛知県や名鉄が出資の第3セクタが運行しているリニアモータカー、リニモは傍で見ていて近づいて来るのが分からないくらい静かな乗り物であることは確かです。

このリニモのアイディアはドイツのメッサーシュミット社の発案で、むかし成田空港建設に際し成田-東京間に敷設が企画されたが、当時の某共産党系都知事の反対で頓挫したHSSTと言うものと同じシステムなのです。
私もその当時、会社の新事業計画の一環でHSSTの技術検討のほんの一部を下働きで手伝ったことがあり、そのことと今のリニモとは直接の関係はないが、JRのリニアモータカーとは次のような違いがあります。

① 極低温の超電導(今では必要なくなったそうだが)でなく、常温の磁気回路でOK。
② 浮き上がる高さも1センチほどでJR式(浮上高は15センチ規模)のように超高速は無理だが車輪がない分騒音が低いのがメリット。
③ 駅に止まっているときも常に浮いている。つまりJR式が固定翼の航空機だとすればリニモはヘリコプタ。またJR式が磁石の反発力で浮上するのに対しこちらは吸引力で浮上。(懸吊と言うほうが適切か)
④ 技術的開発要素が少なく建設コストも安い。等々

それが1/4世紀あまりを経て、この愛知万博で漸く実用化されたことは技術的には大変興味深いが、車輪がなくわずかに宙に浮いて走っている事など乗客には全く実感がないし、満員の乗り心地は従来の通勤電車となんら変わらず、一体乗客の何割がリニアモータを意識して乗っているのか…???
つまり技術の価値や中身の新規性が実感として理解され難い地味なものの代表作品なんですね~リニモは!
身内である駅のアナウンスでさえ「このデンシャ(車)は××行き…」なんて「車輪」がないことをスッカリ忘れているし…!
しかし、これがもしリニモでなく在来の地下鉄延長計画だったとしたら、予算と工期面から当然地上式を採用することになり、きっとガメツイ周辺住民は便乗補償を求めてプライバシイだ騒音だ振動だと騒ぎ、補償金やら防音壁やらでそれは大変だったに違いないでしょう。

結果として「特段の問題がない」事は、水や空気の存在のように当たり前のこととされ、それが如何なる努力の成果なのかなどマスコミや一般大衆は全く無関心で、有難いとも何とも思わぬ(ブタに真珠)という、実にセツナイことが今の日本ではあちこちにあるのデス!!
明日は終戦記念日だが、あれから60年間も続いた平和のことだって同じ感覚かも知れないデスね~? (2005年8月記)


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