目に見えない力。

日々の力の積み重ねは直ぐに結果としてみえるものでは有りません。
特に若い子達には何故こんなに辛い事を繰り返さなければならないのか理解に苦しむでしょう。
しかしその努力の結果はおそらく半年後、一年後には確実に目に見える力となって出てくるでしょう。
去年ここを卒業していった生徒達に一年前の作品、半年前の作品、そして受験直前の作品をそれぞれ並べさせて、自分の力の付く道程を辿らせますと「こんなデッサンを描いていたんだ」と笑いが起きます。
ただ平坦に描くだけではそうはならないかもしれませんが、そこに自分なりの課題を与えながら進む事によって、確実な力となって現れるのです。
今は辛いデッサンも描く力が付いた時から楽しくて仕方が無くなる物です。
時間の経過を苦しむ時から、時間の経過を惜しむ時が来るまでの道のりは日々の地道な努力が有って初めて得られる喜びなのです。


にほんブログ村

人気ブログランキングへ

感動無くして人の心は動かない。

生徒達に「物を描いたり作ったりする時に感動を忘れないようにしなさい。」と言います。
「こんなつまらない石膏を描いてどうやって感動すればいいの？」と言うかもしれませんが、どんな状況下においても感動することは出来るのです。
今、貴方達が奇跡のような確率でこうして存在している事。生命の存在が有るこの地球にいて、幸せな家族と過ごしている事。大好きな絵や彫刻がこの先描いたり作ったり出来る事への修練をさせてもらっている事。何でも気持ち一つで感動の中に自分を置けるのだと思います。日々は何もしなければただ平坦に過ぎて行ってしまいます。しかしこの日が凄い奇跡の中で存在していると思った時から気持ちの持ち方すら違ってきます。

今受験という特別な状況下にいる時、人生の中でこんなにも集中して一日中デッサンを出来る時などこれから先作ろうとしても出来ないでしょう。
しかし、これはただ単に技術を高めるだけのそんな薄っぺらな事ではこの先物を作り続ける事など到底無理だと思います。
上手ければ良い。これではこの先この世界では生き残って行く事など出来ません。
受験はそんな人の一番大切な心を削ぎ取ってしまう可能性が有ります。
技術だけをひけらかしたような絵を描いても人は感動などしてくれません。作り手が本当に心を動かされ作ったものだからこそ人はそれに共感してくれるのだと思います。


にほんブログ村

受験の為のデッサンは本質ではない。

受験をするに当たって、どこそこの大学の傾向はこんな感じだからこういった描き方をしなさい。どこそこ大学向けの描き方、その大学に向けたコースなど大手予備校では有るようだが、私はその傾向に沿った描き方など存在しないと思っている。
ある生徒が私はここの大学に行きたいのでそれに沿った描き方を学んだ方が良いのでしょうか？と言ってきた。私はその子に「折角自分の持ち味を持っているのだから、その大学に合わせた描き方をする必要など無い。」とはっきり言いました。
本当にその絵に魅力が有るならば何処の大学でも合格出来ると思っているからです。
大学側も没個性の人を必要としていないはずです。最も必要とされる根底にある基礎力。その人の作品に対する真っすぐな姿勢。そこにその人の本来持っている個性が光っている事。
私のここでの指導は物を作る時の姿勢と、素直な気持ち真っすぐな気持ちで物を見れるか。
という事です。
デッサンは何のためにするのか？それは大学に合格する為では有りません。自分の目を養い、それを表現出来るまでの力を付ける為にするのです。
本当に良い物は誰が見ても良いと思うと私は信じています。


にほんブログ村