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原油が高騰して、逆に物価が下がる…日本のデフレのナゾ

2012-09-11 19:19:38 | 考えるもの

98年から08年の10年間で輸入物価は26.9%上昇し、これは国内物価を3.3%押し上げる要因。しかしGDPデフレーターの国内物価は14.5%下落。つまり何らかの要因で17%以上も物価が下がっている。この激しいデフレ要因は何か?

これに見合う数値は賃金デフレがまず第一にあげられます。73年以来上昇を続けている資源価格を前提にすると、高騰する資源コストを価格に転嫁できない中小企業が、80%前後という労働分配率の高さから、ダイレクトにリストラ(賃金カットと人員整理)をしたことが「厚生労働白書」(厚労省)「経済財政白書」(内閣府)で指摘されています。

90年代後半以降の賃金の低下率は物価の下落率より激しく、デフレは賃金低下が先導していることがわかります。

日本において中小企業は企業数で99.7%。従業員数で69.7%を占めています。その9割が資源価格を転嫁できないために労働分配率を下げることで対応し、そのために賃金デフレに先導されるかたちでデフレが起こっています。

資源価格の高騰が物価に反映されない事実関係を説明できない経済認識はほとんど無効なのが、今の日本をめぐる状況。マネーサプライはBIS規制などでほぼ固定しているのでマネーの需給バランスでデフレというのは虚偽。リフレ派最高の理論家岩田規久男さんが貨幣数量説をとらない(とれない)理由はたぶんこれ。


この事実を多くの人が実感できないのは大企業とそれにぶら下がる企業のある範囲まではリストラが及んでいないため。

リーマン・ショックの後、大企業は労働分配率を12%も上昇させた。つまり莫大な社内留保で雇用や賃金をヘッジした。この雇用や賃金の保証が連合労組と大企業の交渉であり、その結果としての民主党政権の登場…。問題は大企業の労働分配率の上昇分だけ中小企業は凹んだという事実。資源価格が高騰し始めた98年から、それを転嫁できない中小企業はリーマン・ショックで最終的なとどめを刺されたかもしれない…。自殺者が3万人を超えたのも98年からであり、これら「1998年問題」について本経済の奇妙な常識』で詳細な分析がされています。


 


 日経ビジネスオンライン不況が自殺を増加させるのはなぜか/背景にある2段階で労働者を「放出」するメカニズムに詳細なデータがあります。


*blog内関連記事…「1998年資源高騰のなかで始まる日本だけのデフレ・格差・自殺の原因は…」



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