旅の途中・・・

食と音と人の旅

ガンガーにて

2008年03月20日 19時57分57秒 | 
赤い花、黄色い花、奇麗だね。
穏やかな顔の少女
そんなに楽しい夢なのかい?
担架を肩に担いだ男たちが通りすぎようとしている。その中の一人がある程度の間をとりながら弔いの大きな声を張り上げている。
一軒半ほどのこの狭い道を巧みに通り抜けていく。最初は遠くから聞こえていたその声に、今度は何がくるのだろうと待ち構えていたのであった。
男が張り上げる声の後の静寂の瞬間はボートでガンガーに出て空を見上げていた時に似ていた。私の祖母が死んだ時に、お棺に眠る祖母を見ながら、口紅をつけたのは結婚式と今だけだと誰かが言った事を思い出した。
私の真下に彼女の顔がある。宿のバルコニーから眺めている。笑ってもいない。泣いてもいない。怒ってもいない。真っ白な夢を見てただ眠っているのか・・
声がだんだん遠ざかっていく。インド人もこの世に死者を残さない。私たちと同じように火葬にする。
赤い花、オレンジの花、ふわふわとガンガーに浮いていた。