そう、ある意味、東京条例と石原都知事に、正面からケンカを売ったようなアニメ。
おっぱいおっぱいと言っていても、良識ある人間に成長するかもしれない。
おっぱいなど言っていなくても、現実にロリやショタレイプをする人間になるかもしれない。
どんなに高尚な人間でも、木から落ちるのは一瞬であり、そのきっかけは些細なことが多い。
「表現の自由」に、ある意味で、真摯に取り組んだアニメ、と言ってもいいと思います。
規制の限界まで削った「TV放送版」のブルーレイ化には、規制解除してR-18(18+)未満レヴェルの「ディレクターズ・カット版」を用意。
レンタルは、DC版収録のDVDのみで、ブルーレイはセルのみという、新しいアニメのビジネスモデルを開拓。
TV版先行・のちDVD発売というモデルは、これまでもありましたが、15禁アニメでやったのは、『クェイサー』が初の試みではないでしょうか。
私も「その手があったか!」と、目から鱗でした。
「TVで流す分は、規制版にする。ディスク化だから、規制解除にすればいいじゃん」というところか?
最初から、OVAのみで販売すればいいとも思いますが、そこは業界の顰に倣って、TV先行放送させた所に、制作サイドのダークなナニかを感じてしまう。
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しかし、サーシャがクロスを首にかけていたり、原作では、「正教会」が登場したり。 もとカトリックの身としては、非常に興味深いお話です。
カトリック、プロテスタントを「分派」として、サーシャたちの属す正教会が「正統」。
(多分、東方正教会のパロだと思いますが…原作は1巻しか読んでませんので…。
というか、2巻以降は読めませんでした。アニメを観た後は、なおさら )
「我々は、正統な教えを守り受け継ぐ。奇蹟を知っている」との台詞。
ふんふん…キリスト教をモチーフにしたのね。
で…その「奇蹟」は、おっぱい(聖乳)を吸って起こすってことは、イエスもおっぱいを吸って数々の奇蹟を行ったと言いたいの…って、ヴァティカンがキレるのでは?
まぁ、マンガなので、「ユニークな設定」 で済むところ。 アニメでは、さすがにキリスト教云々はぼかされていました。
しかし、ラストバトルで、マリアと幼子イエスの聖像を出して、そこから「触手」を出したり、聖像の前でおっぱいおっぱい言わせてたのは、イエローカードだろうと苦笑。
上記の「奇蹟ネタ」表現を、アニメで流したらどうなったか…興味ありますね。
『ダ・ヴィンチ・コード』 が、ヴァティカンの怒りを買ったのは、「事実に基づく」云々を原作で書いたからですが、「作者の妄想・おっぱい好きに基づく」云々でアニメ化しても、アレほどヴァティカンが反応してくれるかどうか?
「生神女」が前面に出てるから、正教会のほうが反応するか?
現実の正教会について、特に設定変更はしていないようで、無駄にリアルすぎる。
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ちょっと、内容がアレですが、多分にシュールなギャグが盛り込まれ、ハイセンスなギャグアニメ…というのが、私のレヴュです。
むしろ、表現の限界に、ある意味挑戦したアニメとして、後世評価されるかもしれません。
テーマがアレでも、日本のアニメクリエイターの、ある意味実力を発揮したアニメだった、とも…。
ナニであれ、首尾一貫してブレがなく、シュールなギャグを連発したこのアニメ。
老若男女を問わず、一度はご覧になることは、おすすめします。
しかし、そう、ご覧になるのは自己責任。
開けなくてもよい扉があるのは、事実。 しかし、開けてみる事もまた、ある意味で人間性を豊かにしてくれるのではないでしょうか。
TV版放送は終了していますが、ネット有料配信は継続中。
さらに、今月になってアニメ第二期制作決定が発表。 女子高に、サーシャが「女装潜入」という設定だとか。
東京都青少年健全育成条例が、昨年12月に可決され、TV版にとどまらずネット配信アニメも、お上が手を回すかも知れない状況下、この第二期がどのような動向をみせるか、私的に目が離せません。
しかし、このディレクターズ・カット版DVD、一応パッケージ裏には、
「15歳以上視聴推奨 一部過激シーンあり ご了承のうえご視聴」
…云々が表示されてましたが、私がレンタルしに行くと、なぜか「レイトン教授」DVDと同じ並びに置いてました。
置く場所、考えてよ、TSUTAYA!!(笑)